メモ
現地時間の2022年6月24日、アメリカの最高裁判所が女性の人工妊娠中絶を規制する法律を違憲無効とする「ロー対ウェイド判決」を覆す判決を下しました。これを受け、国内外でさまざまな意見が噴出する中、「アメリカの最高裁判所に対する信頼度は歴史的な低水準に沈んだ」と報じられています。
Confidence in U.S. Supreme Court Sinks to Historic Low
https://news.gallup.com/poll/394103/confidence-supreme-court-sinks-historic-low.aspx
マーケティング調査会社・GALLUPが毎年実施している、「アメリカの最高裁判所に対する信頼度調査」は、最高裁判所に対する信頼度を「大いに信頼している」「かなり信頼している」「多少は信頼している」「ほとんど信頼していない」の4段階で回答してもらうというもの。以下のグラフは「大いに信頼している」あるいは「かなり信頼している」と回答した割合を示しており、2022年には1973年に調査がスタートしてから最も低い「25%」という数字をたたき出しました。なお、2022年以前の最低値は2014年に記録した「30%」で、最高値は1998年に記録した「56%」です。
GALLUPによるアメリカ最高裁判所に対する信頼度調査は、2022年6月1日から20日にかけて実施されました。つまり、最高裁判所がロー対ウェイド判決を覆す前に実施された調査です。2021年の「大いに信頼している」あるいは「かなり信頼している」と回答した割合は「36%」であったため、最高裁判所の信頼度は1年で11ポイントも低下したということになります。GALLUPはアメリカの他の機関に対する信頼度調査も行っていますが、最高裁判所が記録した「前年から11ポイントダウン」という信頼度の低下は、他機関と比べて約2倍にもなるそうです。なお、GALLUPは2022年7月初旬に機関投資家向けに他機関の信頼度に関する調査データを公開する予定。
なお、アメリカの最高裁判所はロー対ウェイド判決を覆しましたが、GALLUPがこの判決が下る前のタイミングの2021年5月3~18日に実施した世論調査では、「ロー対ウェイド判決を覆すこと」に賛成する人の割合が「32%」で、反対する人の割合は「58%」でした。この結果は「ロー対ウェイド判決を覆すことに賛成か反対か」を問うアンケート調査がスタートした1989年からほとんど一貫しています。
また、GALLUPによると最高裁判所に対する信頼度の低下は、テキサス州が2021年9月に施行した中絶を禁じる法律を最高裁判所が差し止めない決定を下した時から起こっています。そのため、2022年の調査の記録的な信頼度の低さが6月24日の判決に関連しているのかは不明とGALLUPは記しています。
以下は最高裁判所の裁判官の信頼度を支持政党別に分類したもの。民主党派の裁判官の信頼度は「13%」、無所属の裁判官の信頼度は「25%」と低下していますが、共和党派の裁判官の信頼度は「39%」となっており前年から2ポイント増加しています。
GALLUPのこれまでの調査をまとめると、民主党派の裁判官への信頼度は過去最低。一方、共和党派の裁判官への信頼度は近年の数値と比べると高水準です。
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