2位・巨人に9ゲーム差(2022年6月21日時点)をつけて首位を快走するヤクルト。21日の中日戦(バンテリンドーム)でサヨナラ負けを喫し、連勝が8で止まったが投打ががっちりかみ合った戦いぶりを見ると大崩れすることは考えにくい。
山田が爆発すれば一気に首位を独走
その中で、心配なのが山田哲人だ。今季65試合出場で打率.238、14本塁打、35打点。本塁打はコンスタントに出ているが、70三振はリーグワーストだ。プロ野球史上唯一のトリプルスリー3度を達成したシーズン全てで100三振以上を記録しており、三振が少ない打者ではないのだが、今年は多すぎる。
交流戦も14勝4敗とパリーグの全ての球団にカード勝ち越しで「完全優勝」を決めたが、山田は17試合出場で59打数9安打、打率.153、5本塁打、7打点。22三振を喫した。リーグ戦再開後も18日の広島戦(神宮)で14号ソロを含む猛打賞と気を吐いたが、その後の2試合で8打数無安打4三振と波に乗れない。
「今年は直球を空振りする場面が目立ちます。ちょっと心配ですね。本塁打は出ていますが、試行錯誤している様子が見てとれる。これから勝負の夏場に向けてギアを上げるために山田の復調は不可欠です。きっかけさえつかめば打率は一気に上がると思う。今は我慢の時期ですね」(スポーツ紙デスク)
リーグトップの21本塁打、56打点と好調の4番・村上宗隆、リーグトップの17盗塁をマークしているリードオフマン・塩見泰隆の活躍が目立つが、このチームの中心は山田だ。
20年オフにFA権を行使せず「生涯ヤクルト」を決断し、自ら立候補して主将に就任。打率.272、34本塁打、101打点で日本一に大きく貢献した。侍ジャパンでも東京五輪では全5試合に1番打者でスタメン出場して金メダル獲得。準決勝の韓国戦で決勝打を放つなどチームトップの7打点で大会MVPに選出された。
打撃の状態は良くないが、村上に次ぐリーグ2位の39四球で出塁率.346とチャンスメークに回り、チームの勝利に貢献している。打線の状態が下降線をたどった時に山田が爆発すれば一気に首位を独走するだろう。頼れる主将は好調のチームに引き上げられる形で上昇気流に乗れるか。(中町顕吾)