「とりあえず、水」
いつも飲み会でビールをジョッキ4杯ぐらい飲む。飲み会が2時間だとして、そのあいだに約1.6リットルの水分をとっていることになる。
水で同じ量を飲めと言われても無理だろう。ビールって量が飲めちゃうよね。
いや、ほんとうにそうだろうか。飲み会で水を飲んだことがないので分からないだけで、つまみがあれば水だってたくさん飲めるのではないか。
検証するために、水だけの飲み会を開きました。
※2006年4月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
今回の概要
水飲み会は2時間制。飲めるものは水のみ。ウーロン茶も禁止である。水はどれぐらい飲めるか、水で食べるつまみはおいしいかを検証する。飲み会であるため、ごはんは出ない。
なお、場所は南青山にある和食処「京菜」に協力してもらった。
参加メンバーは、お酒を飲む2名と飲めない2名の計4名である。飲み会でウーロン茶を飲んでいる人間からも水についての感想を得たい。
実験参加メンバーと意気込み
飲み会でお酒を飲んでいる 住正徳(木曜日担当ライター) 林雄司(火曜日担当ライター) |
飲み会でお茶を飲んでいる 三土たつお(木曜担当ライター) べつやくれい(土曜日担当ライター) |
乾杯
まずは水で乾杯する。ビールのように勢いよく水を飲み干しておかわりを頼むと金沢さんが壺を持ってきた。壺?
「これに水入れておいたんで、自分で汲んでよ」
忙しいのに(この日、京菜は満席だった)、ただの水のために従業員が動くのはまずいと判断したのだろう。笑顔のなかにもビジネスライクである。
わかったこと1 水はおかわりしても持ってきてくれない |
どれくらい飲めるか、という前に意外な発見である。
お通しはウニが乗ってる茄子の湯葉包みだった。ウニを食べたあとに水を飲むと、濃厚な味があっというまに薄くてぼんやりした味になった。遠くのほうにウニの匂いがする水が口の中にたまっている。ぎゅうぎゅうにつまっていた味がほどけてゆく。
わかったこと2 水でつまみを食べると味がばらばらになる |
ふだんウーロン茶を飲んでいる三土さんいわく
三土:「ウーロン茶は味を洗い流すけど、水は薄まりますね」
だそうだ。そのあとにやってきた焼はまぐりもうまみ成分があっというまに薄まって海水浴場みたいな味になった。
水でつまみを食べるのが面白くて、開始20分も経たずに全員が水のおかわりをもらっている。意外なハイピッチで進む水飲み会だ。でも全員シラフ。
住さんの様子が変だ
開始40分後、全員が3杯以上の水を飲んでいる。住さんだけが4杯目に突入したころにあることに気づいた。
住さんが優しいのだ。
三土さんに水を汲んだり、料理を取り分けたり。住さんといっしょに仕事をするようになって6年近く経つが、飲み会でここまで働くようすは見たことがない。受け取るほうもシラフであるため、全体に飲み会の腰が低い。
わかったこと3 水だとみんなやさしい |
ただ、オーダーしたときに金沢さんがふざけて「なんだっけ、忘れちゃった」と言ったときに
住:「メモしてくださいよ」
と的確で冷静なつっこみを見せていた。酔ってないことの弊害である。
酒の味がしてきた
続いては銀だら西京焼。うまみ成分たっぷりの味である。要はうまい。ひとくち食べて水をごくごく飲むと後味にかすかに焼酎の味がした!西京焼に(きっと)使われているみりんの味が口の中でよみがえったのかもしれない。
興奮してほかのメンバーに伝えたが誰も同意してくれず、ものすごく酒が飲みたいひとみたいになってしまった。外れてはいないのだが。
水の冷たさで喉がまひしていた、という可能性もあるが、とりあえず言っておきたい
わかったこと4 4杯目から後味が焼酎になった(気がする) |
正直、冷えてきた
開始から1時間、全員が4杯以上の水を飲んでいる。ひとりあたり約1.5リットルの水を飲んだことになる。さすがにからだが冷えてきた。
住さんが首の筋を痛がりはじめた。気圧の関係で痛かったりするのだという。
住: 「お酒を飲むと痛くなくなるんですけどね…。」
住さんがやんわりとお酒を要求しはじめた。僕が冷たい水を4杯ぐらい一気飲みすると焼酎みたいな味になると言っても信じない。
場が盛り下がってしまうため、仕方なく新たなドリンクを投入することにした。
お湯だ。
お湯はいいぞ
さっきと同じ壺にお湯が入って出てきた。ぐい呑みでお湯を飲んでみると…、うまい! 冷えた胃にしみこんでゆくようだ。
林:「うまい!」
三土:「胃がほっとしますね」
住:「お湯、あっつい!」
べつやく:「これからはお湯の時代だ!」
明らかに言い過ぎである。 冷静に考えれば水のあとにお湯を飲んだだけのことなのだが、湯だけでこんなにフィーバーできたのは水飲み会のミラクルである。
わかったこと5 お湯最高! |
お湯で胃が復活したので、これで水がまた何杯でも飲める気がする。もっと水もってこい! そんな気分です。
宴たけなわに
勝手に汲んで飲んでいると何杯飲んだか分からなくなってきた。いよいよ飲み会も後半である。このころになると
・テーブルの脚をけっ飛ばして三土さんに謝る。三土さんの脚だと思ったらしい。(住)
・手前の取り皿につまみを取ってあるのにそれを忘れてまたとる(林)
・フラフラしはじめる (べつやく)
・「おれのお湯が飲めないのか。」とからみだす。(三土)
といった行動をとりはじめた。いままでこういう行動は酔ったせいにしていたのだが、酔ってないでやってしまったのは、人としてまずい気がする。脳年齢が何歳とかそういうレベルではなくまずい。
しかし、お酒を飲む人も飲まない人も等しくだめになると言う点ではとても公平なイベントである。
わかったこと6 みんな酔っぱらいみたいで楽しい |
はじめのうちは「水を飲むぞ!」と意識して飲んでいたが、お湯にかわってからはそんなことを意識せずにいける。
お湯ならば飲み会OKである。
約1.6リットル飲めちゃった
結局2時間でひとりあたり約1.6リットルの水を飲んだ(お湯含む)。お酒でなくてもおいしい料理と楽しい場所があれば水が飲めるということが実証された。酒もいけるけど、水もいけますよ。こんどから人にそう言おう。
でも、これだけ水分を取ったのに、それからまたビールを1.5リットルぐらい飲んでしまったのはやっぱりビールが飲みたかったからかもしれません。
今回の企画は事前に了解を得て行っています。「水だけのお客さんがたくさん来たらどうしよう」と金沢さん心配してましたので、行かれる際はお酒かソフトドリンクを頼んでください。