2022年6月7日、松屋に新商品の『焼きかつ』が登場した。こちらの商品は毎年決まった時期に登場する “復刻メニュー” ではなく、正真正銘のデビューとなる完全新作となっている。
松屋も「長年何度も試行錯誤を繰り返した商品」と言っているから、これは期待大! というわけで、松屋の期待のニューフェイス『焼きかつ定食(790円)』を食べて来たのでご報告したい。
・ゴールデンルーキー
松屋によると『焼きかつ』は、イタリア・ミラノで親しまれている「ミラノ風カツレツ」を松屋流にアレンジした商品だとのこと。開発に長年の月日を費やし、ついにデビューまでたどり着いた “ゴールデンルーキー” と考えていいだろう。
毎週のように新メニューを展開し続けている松屋ならば、それこそデビュー候補生はメチャメチャ多いに違いない。商品化されないメニューも少なくないハズなので、いわばアイドルがメジャーデビューするほど、松屋の完全新作は狭き門なのだろう。
そう考えたら「頑張れ、焼きかつ!」「おじさんは応援するぞ!」「チェキもいっぱい撮るぞ!!」と意気込んでいた……のだが。残念ながら一定期間を過ぎたら、松屋で『焼きかつ』と会うことは無いハズだ。
・2度と会えない可能性
そもそも松屋の焼きかつは「薄く均一にたたいて伸ばした豚ロース」に「細かくサラサラなパン粉をまぶし鉄板でジューシーに焼き上げた新商品」らしい。さらにソースは「たっぷりのバターとにんにく」だという。
で、まずソースは安定の松屋クオリティで、かなりご飯がススムくん系の味付けだ。バター & にんにくの組み合わせはかなりの破壊力で「ソース自体はかなり美味しい」と断言できる。
だがしかし、そのソースを受け止められるほど肉は厚くなく、なんならパン粉にソースが絡みまくるため、結果的に「ソースの味しかしない何か」になってしまっていた。ズバリ、豚肉の存在感はゼロに等しい。
さらに言えば、何かと肉がもてはやされるこの時代に「薄い肉のカツレツ」がマッチしているのか? 長年にわたる開発を否定するワケではないが「今じゃない感」は否めなかった。
・そして幻へ
トータルとして松屋の『焼きかつ』は、とにかくソースの味が濃ィィイイイ揚げ物的な何か、という印象だ。松屋の得意とする「刺激的なソース」と「味が絡みまくる薄い肉」が、今回に限っては諸刃の剣と感じた次第だ。
先述のように、今後松屋で『焼きかつ』と会う可能性はかなり低い。申し訳ないが現状の『焼きかつ』では、売れる売れないの前に “松屋内での競争” に勝てないのではないか? 焼きかつも強烈なソースのおかげで余裕でウマいが、松屋にはもっとおいしいメニューがたくさんある。
だからこそ「今のうちに1回食べておくべき」というのが個人的な結論だ。松屋の『焼きかつ』は感覚的に “幻のアイドル” と非常に近い。1度食べていただければ、記者が申し上げている意味をきっとご理解いただけるハズだ。
というわけで、完全新作ではあるももの、アンバランスさが否めなかった松屋の焼きかつ。主役であるハズの豚肉よりも、エッジの効きまくったソースしか印象に残らない「諸刃の剣」的な商品であった。