Appleは中国以外に生産拠点を拡大することを計画している

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世界中で20億台以上が販売されたiPhoneは、世界最大の電子機器受託生産(EMS)メーカーである中国のフォックスコンペガトロンといった企業が生産を行っています。そのため、Apple製品の生産拠点は中国に偏っているわけですが、これを中国以外にも拡大することをAppleが計画しているとウォール・ストリート・ジャーナルが報じています。

Apple Looks to Boost Production Outside China – WSJ
https://www.wsj.com/articles/apple-looks-to-boost-production-outside-china-11653142077

Report: Apple tells suppliers it wants to expand manufacturing outside of China, India and Vietnam likely future production hubs – 9to5Mac
https://9to5mac.com/2022/05/21/report-apple-suppliers-to-expand-manufacturing-outside-of-china/

Appleは製品の一部をベトナムやインドで生産していますが、その他のほとんどは中国にあるフォックスコンやペガトロンといったEMSメーカーの工場で生産しています。アナリストによると、iPhone・iPad・MacBookといったApple製品の90%以上が外部のEMSにより中国で製造されているとのこと。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、Appleはしばらくの間中国以外の地域にも生産拠点を拡大することを検討してきたそうですが、新型コロナウイルスのパンデミックによりこの計画は一時的に停止せざるを得ない状況に陥っていたそうです。しかし、2022年に入ってから中国・上海で起きている新型コロナウイルスのパンデミックによる厳格なロックダウン措置に伴い、Appleは生産拠点の多様化の必要性を再認識することとなったと指摘されています。

ウォール・ストリート・ジャーナルは関係者からの証言として、Appleは一部の契約EMSメーカーに「中国以外で生産能力を強化したい」という意図を伝えたと報じています。これに加えて、ウォール・ストリート・ジャーナルは「アメリカで最も時価総額の高いAppleが中国以外に生産拠点を拡大する動きをみせれば、生産拠点や主要材料の中国への依存を減らすことを検討している他の欧米企業に影響を与える可能性があります」とも指摘。

なお、Appleが生産拠点を中国以外に拡大する主要な要因のひとつには、「アメリカと中国の間で起きている貿易戦争」であるとも指摘されています。


中国での新型コロナウイルスのパンデミックによるロックダウン措置はAppleだけでなくさまざまな企業に影響を及ぼしています。Appleは中国での新型コロナウイルスの再流行により、今期(3~6月期)の売上が最大80億ドル(約1兆円)も影響を受ける可能性があると予測。このほか、中国が課している渡航制限や、2021年に起きた大規模な停電なども中国への信頼を落とす結果につながったとウォール・ストリート・ジャーナルは報じています。

なお、Appleが中国に生産拠点を置く理由のひとつとして、ウォール・ストリート・ジャーナルは「Apple製品が中国市場で大きな需要があること」を挙げています。実際、Appleの売上の約20%を中国が占めており、中国市場で最も人気の高いスマートフォンがiPhoneであることも明らかになっています。中国で生産した製品を中国で販売することができれば、製品の輸出入にかかる費用を節約できるため、より多くの収益を見込めるようになります。

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ただし、Appleの膨大な注文要件を満たすだけの十分な生産能力を持っている工場およびサプライチェーンが中国にしかないという問題もあるとウォール・ストリート・ジャーナルは指摘。中国以外の国で安価で能力のある労働力を見つけるのは難しいため、インドやベトナムなどの代替生産ハブへの生産拠点の移行は緩やかに行われることになるだろうと予測されています。なお、Appleの場合は今後登場するであろう新製品(ARヘッドセットなど)の生産拠点が中国以外の土地になる可能性があると9to5Macは指摘しています。

Appleと中国以外に生産拠点を拡大する計画について協議したという情報筋は、「Appleは人口が多く人件費が安いことから、インドを最も有力な候補と見ています」と語りました。なお、台湾のEMSであるフォックスコンとWistronは既にインドに生産工場を持っており、インド国内で販売するためのiPhoneを生産しています。

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Appleは輸出製品の生産にもインドで行うことを計画しており、この可能性についてEMSメーカーと協議を行っている模様。ただし、インドは中国との関係が冷え切っているため、中国を拠点とするEMSメーカーがインドで事業を拡大することが難しくなっているという問題があるそうです。

そのため、中国を拠点とするEMSメーカーは、ベトナムを含む東南アジアの国々を「中国以外の生産拠点」の候補として見ていると情報筋は語りました。なお、ベトナムでは記事作成時点ですでにAirPodsが生産されています。

なお、Appleは中国以外の生産拠点を本格的な生産拠点に発展させる可能性があるとも指摘されており、アナリストやサプライヤーは「このようなステップにはサプライヤーによる大規模な投資が必要となります。商品価格の高騰やウクライナで起きている戦争、株式市場の乱高下による世界経済の不安定さなどの問題が上がっている現在、サプライヤーは大きな不安を抱いているはずです」と述べました。

ただし、Appleのサプライヤーが現状のビジネスを維持したいと考えているならば、「Appleの行くところへついて行くしかない」と、請負業者の幹部は語っています。

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