個人の問題、社会の問題を問わず、問題解決においてどれだけ当事者の話に耳を傾けられているだろうか。他者の意見を表面的に聞き、相手の話が終わるとすぐに口を挟んでいるなら、問題解決にいたらないどころか衝突を生む可能性すらある。
著者のオードリー・タンは「IQ180の天才」という異名を持ち、史上最年少の若さで台湾の行政院に入閣した人物だ。新型コロナウイルスの蔓延で国民に不安が広がっていた当時、マスクマップの開発で日本でも注目を集めたのは記憶に新しい。
「すべての人の側に立つ」。これがオードリーの問題解決における基本的姿勢だ。すべての人の立場に立ち、理解を示すなど、途方もないことのように感じるかもしれない。だが、この姿勢をなおざりにすると誰かを置き去りにすることになる。
すべての情報を開示して全員で議論をすれば、全体のコンセンサスを伴う最適解を導き出せるだろう。そうした発想のもと、問題解決の4つのステップと15のキーワードが紹介されるのが本書だ。
いつかログアウトするときの世界を、ログインしたときよりもよい世界にする――。オードリーが問題解決のアプローチで傾聴と共感の姿勢を重視するのは、すべてこの信念に通じている。インターネットという最強のツールを手に入れた私たちは、もう一歩先のやさしい未来へと歩き始めるべきかもしれない。
今回ご紹介した「天才IT大臣オードリー・タンが初めて明かす 問題解決の4ステップと15キーワード」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。