中高年の「最適な睡眠時間」が判明、約50万人の調査により

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30代後半から70代前半までの約50万人が参加した追跡型の健康診断の結果から、中高年が良好なメンタルヘルスや幸福度、認知能力を保つ上で最適となる睡眠時間が割り出されました。

The brain structure and genetic mechanisms underlying the nonlinear association between sleep duration, cognition and mental health | Nature Aging
https://www.nature.com/articles/s43587-022-00210-2

Seven hours of sleep is optimal in middle and old age, say researchers | University of Cambridge
https://www.cam.ac.uk/research/news/seven-hours-of-sleep-is-optimal-in-middle-and-old-age-say-researchers

Huge Study Identifies The ‘Optimal’ Amount of Sleep From Middle Age Onwards
https://www.sciencealert.com/huge-study-of-uk-data-suggests-7-hours-sleep-in-middle-and-old-age-is-the-optimal-amount

中国・復旦大学のYuzhu Li氏とイギリス・ケンブリッジ大学のBarbara Sahakian氏が行った調査は、イギリスの中高年の健康状態を長期的に追跡するUKバイオバンクに登録されている38~73歳のボランティア49万8277人のデータを分析するというもの。これらのボランティア約50万人のうち、約4万8500人は脳機能イメージングによる画像を撮影し、約15万7000人はメンタルヘルスに関するアンケート調査に答えており、Li氏らはこれらのデータも含めて包括的な分析を行いました。

その分析結果をグラフ化してまとめた画像が以下。各グラフはFluid intelligence(推論パズル)やNumeric memory(短期記憶テスト)など認知機能測定テストのスコア(縦軸)と睡眠時間(横軸)の関係を示したものとなっています。獲得した得点を競うタイプのテストとクリアタイムを競うテストの2種があるため、種目ごとに放物線の上下が異なりますが、いずれも「約7時間」という睡眠時間でベストの結果が得られています。


アンケート調査によって得られた、Anxiety symptoms(不安の症状)やDepressive symptoms(うつ症状)などメンタルヘルス関連のスコア(縦軸)と睡眠時間(横軸)の関係が以下。こちらも睡眠時間が約7時間のあたりで各スコアがベストになっています。


今回の研究結果は、7時間の睡眠時間が認知機能やメンタルヘルスの良好な状態に関連することを示しているように思えますが、研究チームは「7時間未満/7時間より長い睡眠時間が実際に精神衛生・健康状態・認知能力の問題を引き起こすのか、それとも精神衛生・健康状態・認知能力の問題が7時間未満/7時間より長い睡眠時間の原因となっているのかはわからない」「睡眠時間が6時間や8時間だったからといって、健康状態に大きな変調が生じるわけではない」「8時間寝ないと頭がスッキリしない、という人は8時間眠る方が良い」など、あくまで今回の研究結果が因果関係ではなく相関関係であるという点や、7時間という睡眠時間は単なる目安である点を強調しています。

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2022年05月06日 23時00分00秒 in サイエンス, Posted by log1k_iy

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