引き寄せられる
塔には不思議な魅力がある。
東京タワー、通天閣、ランドマークタワー、パリのエッフェル塔、ピサの斜塔…。
民族の象徴的建築物には塔が多い。
ピラミッドだって一種の塔のようなものだ。
我々人類は塔を建てることや見ることが本能的に好きに違いない。
そんな塔の魅力に引き寄せられるがごとく、長崎は佐世保にある巨大な塔を見に行きます。
※2005年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
前の記事:長崎の巨木ロード(デジタルリマスター)
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人はなぜ生きているのか?
人は何を目的に生きているのか?
まず、食べて生き延びるために生きている。
原始時代は食べ物を探すことに行動の全てを費やしていたし、現在でも食べて生活するために金を稼ぐ。
が、食べるのに不自由しなくなると、今度はそれが目的でなくなる。次に人は社会的な秩序を築きその中で地位を得ることを目的とする。が、それもまたある程度の秩序と地位を確保し満足してしまうと、もう目的ではなくなる。すると今度は人生を楽しむことが目的となる。このように、人は段階に応じて3つの生きる目的を持つ。
…と、ここまではLinuxの創始者、リーナス・トーバルズがその著書で語っていたことだ。
が、この最終段階の「楽しむ」ということすら、一通りの楽しみを満喫してしまったら、それはもう目的ではなくなるのではなかろうか?
そうなってしまったらもう生きる目的はないのか?
否。
次の写真を見ていただきたい。
プリンは甘くてヤバいくらい美味しい。ので、娘にはまだ与えてないのだが、娘はプリンを誰に教わるともなく積み重ね始めた。プリンの塔を作り始めたのである。
これだ。
塔を建てることこそ、我々人類がその遺伝子の奥深くにインプットされている最終目的である…! (ほんとか?)
すごい塔
と、つい大げさに言ってしまったが、そんな風に言いたくなるくらいすごいインパクトのある塔が、長崎は佐世保にある。
これである。
↓
聞くところによると、第二次世界大戦の開戦の暗号電文「ニイタカヤマノボレ」を送信するのに使われたという無線塔。もちろん、現在はもう使われてない。戦争時代の遺構である。それにしてもこの塔、異様にでかい。3本建ってるのも魅力的だ。
前々からずっとこれが気になっていたものの、いつも車で遠くから見るだけだったので、今回はこの塔のふもとまで行ってみようと思う。
ちなみに、地図もなんも持ってない。
これだけデカく目立つのだから、上を見ながら車を走らせれば辿り着けるだろうという算段だが、はたしていかに。
塔を目ざして
長崎市から佐世保に向って車を走らせる。
西海橋のあたりから、この巨大な三本の塔は見えてくる。遠くから見ただけでもかっこいい。
まるで磁力で引き寄せられるがごとく、あれに向って大雑把にハンドルを切り、近づいて行く。
が、テキトーに走っているがゆえ行き止まりにぶち当たる。
これは工事中の第2西海橋の工事現場のようだ。
Uターンで引き返し別の道を当たる。
みかん畑を迷走する
行き過ぎたり戻ったりしているうちに、みかん畑の農道に入った。罠かもしれないが、とりあえず行ってみることにする。前方に塔見えてるし。
農道は道が狭く、かつ分岐が多い。
どっちに進んだら塔に近づくことができるのか迷うが、これまたテキトーに勘で選ぶ。
だんだん私の車で入っていくには場違いな感じの景色になっていく。
また行き止まり。前方には塔が堂々とそびえ立っている。ここでUターンするのはかなり難儀だった。
未知との遭遇
突如ポッと農道を抜け、広い道路が出て来た。
まるで「未知との遭遇」だ。
ここはワイオミングか?
そして私が目指しているのはデビルズタワーか?
と、ふと視線を上にやると…。
かなり間近まで近づくことができていた。
(でも目の前の広い道を走ってくればあっという間だったんだろうけど。。)
小さな手製の標識も発見。
これに従って、さらに近くまで迫っていきたい。
ついに徒歩となる
さらにもう少し車を進めてみると、ふたたび手製の標識があらわれた。これより先は山道となり私の車では無理があるので、ここで車を降り歩いて行くことにする。
軽い登山に行くような気持ちで歩み始めた矢先、
それはあまりにも突然姿をあらわした…!
↓
一瞬ドキッとするくらい、それは
「ぬっ」
と眼前にあらわれた。
なんだこの唐突な感じのビジュアルは。
唐突さ抜群
周囲は緑豊かな、みかん畑である。
ウグイスのさえずりなどが聞こえる。
心安らぐ、のどかな田舎の風景。
そこに、このすごい塔が立っている。
↓
下から見上げると、天に向ってどこまでも伸びているように見える。宇宙まで行けるエレベーターのようだ。
最初「ぬっ」と突然あらわれたように感じたのは、私の視野が赤線より下にしかなかったから。引いて見ると上空にその姿が見えていた。
少し回ってみると、入り口のようなものをみつけた。
昔のSF映画の一場面のようだ。
金網越しに中を撮ってみた。
中は真っ暗なのでフラッシュを焚いて撮ってみると、こんな感じだった。ようわからん。
戦争時代の遺構
と、なんとなく楽しそうに書いてるが、実はけっこう不気味なものも感じていた。
というのも、この塔があまりにも巨大で、よくできているから。よくGPSなんかでも軍事用と民間用とは精度が全然違うという話を聞くが、戦争のための“本気の技術力”がこの塔からも感じられ、それがなんだか不気味にさえ感じられた。ちなみにこの塔は直径12メートル、高さ137メートル、大正11年に作られたものだそうだ。
100年近く前からずっとこの姿を維持しているなんて。。
これまで全く人の気配というものがなかったが、3つの塔の中心部付近に、人の気配のある施設があった。
車が停まっている。
看板には「佐世保海上保安部」と書いてある。
訪ねてみたらもしかしたら何かいいお話が聞けたかもしれないが、アポも取ってないし、なんとなく怒られそうな雰囲気がするのでやめた。来るなって書いてあるし。
ま、塔の醍醐味はもう充分満喫したのでこのへんで引き上げることにしよう。
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余談
塔の話は以上です。
以下、少し余談を書きます。
針尾無線塔の近くの西海橋。
ここは大変景色の良い観光スポットでもあるが、地元の人には心霊スポットとしても有名だ。
私がそこに行ってきたという話をしたところ、
「ええっ!?あそこで写真撮ってきたんですか?なんか写ってますよ! 」
と言われたのだが、別に何も写ってないよねぇ??
西海橋の横では第2西海橋を建設中。
これ、今度上映される「釣りバカ日誌」の最新作では、ハマちゃんの会社(鈴木建設)が工事を請け負っている設定になっている。
佐世保名物レモンステーキ
お昼は佐世保名物レモンステーキを食べた。
前々から気になっていたものの、今まで食べたことがなかったのだ。 初レモンステーキにトライ。
このお店、いろいろ変わったオブジェがあって面白い。
入り口に至る道も遠回り・近道と2つあった。
さて、レモンステーキだが、私は最初その名前を聞いたとき、鉄板の上で大量のレモンを焼いて食べるのかと思った。が、違う。
佐世保名物レモンステーキとは、こういう食べ物である。
ステーキのレモン乗せ、である。
この店では鉄板が熱々の状態でテーブルに出される。
かけたタレは沸騰してしばらくグツグツしている。
(上の写真はその時のグツグツしている様子)
肉はほとんどレアの状態でテーブルに出され、テーブルの上で焼く感じだ。
で、味の方だが…
やばい!!
ウマ過ぎる。
今すぐ誰かに電話して伝えたくなるくらい美味しかった。
レモンステーキ恐るべし。
しかしランチとはいえ、これで980円はお得過ぎるぞ。
期間限定のサービスメニューかもしれない。
※編集部注:残念ながらお店は閉店しているようです