パナソニック ハウジングシステム事業部は、4月1日の事業会社化を前に、発足発表会を開催した。住宅業界における環境の変化や今後新たにシフトしていく市場などについて話した。
パナソニック ハウジングシステム事業部は、4月1日に「パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社」へと事業会社化する。同日から代表取締役社長執行役員となる山田昌司氏は「パナソニックの1事業部から事業会社になることで、その分の責任は重くなると受け止めている。会社組織になることで、意思決定の速度を上げ、権限移譲などもすすめることで、成長を加速させる。社員のモチベーションも変えなければいけないし、変わりつつあると思っている」と事業会社化に向けてコメントした。
4月1日からパナソニック ハウジングソリューションズ 代表取締役社長執行役員となる山田昌司氏
山田氏は「脱炭素化が大きな社会課題として取り組みが始まり、建設業界においては大きな転換期を迎えるといえる。人手不足やインフラの老朽化、空き家の増加などが事業の持続性に大きな課題となって見えてきた。そうした環境下で人々の暮らし方価値観が代わり、業界内でも互いの垣根がなくなり、多様化が加速している。これを私たちは機会と捉え、事業を成長させていく」と現状について話す。
パナソニック ハウジングソリューションズでは、「くらしの空間から持続性のある豊かな社会をつくっていく。」をミッション、「住空間に関わる確かな技術で、領域を広げ、ともにまだない日常を生み出す。」をビジョンに据え、「くらし設備建材ソリューション」「くらし価値イノベーション」「くらしテクノロジーイノベーション」の3つにチャレンジしていく方針だ。
ミッション、ビジョンと3つのチャレンジ
くらしテクノロジーイノベーションとして、プラズマディスプレイパネル開発で培った技術をいかし開発した、真空断熱ガラス「Glavenir(グラベニール)」と、アブラヤシ廃材を活用した再生ボード化技術「PALM LOOP(パームループ)」を紹介。「アブラヤシを利用した木質ボードや真空断熱ガラスに加え、家の建て方をもっと工業化させることによってCO2はもっと下げられる。私たちは、自分らしいくらしと環境への優しさを両立できる暮らしづくりに舵を切る」(山田氏)とし、「Green Housing(グリーンハウジング)」という事業スローガンを掲げた。
椅子の座面と背板の部分にアブラヤシ廃材再生ボード化技術「PALM LOOP」を使用
会場では4月1日から流される蒼井優さん出演によるCMも披露。ショールームも訪れたという蒼井さんは「いろいろなものが実寸大で見られて楽しい。いつか自分で床を選ぶのが夢の一つなので、床材を見るのが特に楽しかった。日常の先を見るのはワクワクする」とコメントしていた。
2020年度の売上高は4298億円。パナソニック ハウジングソリューションズでは、2030年までに売上高4500〜5500億円を目指す。海外市場へとシフトしていくほか、住宅着工数が下がると予想される国内ではリフォームに着目。また非住宅での売上を伸ばしていく計画だ。
山田氏は「私たちが目指すのは、単なる住設、建材メーカーではなく、住空間、オフィス空間で新しい価値を創造できるかということ。今までとは異なる総合建材メーカーとして大きく変わっていかなければならないと考えている」と今後について話した。