一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(フリーランス協会)は3月29日、フードデリバリー配達員の稼働時間や収入、満足度などを調査した「フードデリバリー配達員実態調査」の結果を発表した。調査期間は2021年12月20日~2022年1月16日で、回答者数は1万7153人(うち集計対象者は1万3844人)。また、インターネットでのアンケートだけでなく、24人を対象にグループインタビューも行っている。
収入全体における配達員収入の割合が「10割」の人が28.1%
まず、「1週間の平均稼働時間」については、「5時間未満」が20.5%、「5~10時間未満」が21.8%、「10~20時間未満」が17.3%、20~40時間未満が「19.2%」で、週40時間未満が78.8%を占めた。一方、「収入全体に占めるフードデリバリー配達員収入の割合」については、「10割」が28.1%、「8~9割」が11.4%で、収入の8割以上を占める人が合計39.5%。逆に3割以下と割合が少ない人は合計43.0%だった。
続いて、「フードデリバリー配達員としての1週間の報酬額」については、1週間の平均報酬額が「10,000円~30,000円未満」が29.4%と最も多く、そのほかは「30,000円~50,000円未満」が15.0%、「50,000円~100,000円未満」が19.1%など。
1週間の最高報酬額については、「50,000円~100,000円未満」が27.9%と最も多く、そのほか、「10,000円~30,000円未満」が21.4%、「30,000円~50,000円未満」が17.6%など。
就業期間「1年未満」が58.1%
次に、「フードデリバリー配達員としての就業期間」については、「1カ月未満」が6.9%、「1~3カ月未満」が14.4%、「3~6カ月」が14.8%、「6カ月~1年未満」が22.0%で、1年未満の人が58.1%を占めた。
また、「直近1カ月で稼働したプラットフォーム事業者数」については、「1つ」が55.1%と半数以上を占め、「2つ」が29.9%、「3つ」が10.7%、「4つ」が2.9%、「5つ以上が1.4%。アンケートの回答やグループインタビューによると、プラットフォーム事業者が開催するキャンペーンやシステム変更によって使い分けをしているという声が多かったという。
なお、会社に雇用されながら配達業務を行う人について分析したところ、ランチタイムや終業後の時間を使って週に10時間未満稼働し、全収入の1割程度にあたる週1~3万円の報酬を得ている人が多いことが分かった。
また、1週間の平均報酬額が10万円以上の回答者について属性や就業状況を分析したところ、稼働時間や就業時間が長い個人事業主であるとともに、複数のプラットフォームを活用し、原付バイクを使用するなど、待機時間や配達時間を短縮して配達を行っていることが分かった。
62.5%がフードデリバリー配達業務に「満足」、81.9%が「続けたい」
「フードデリバリー配達員を始める前の課題」については、「収入が低い」(42.1%)、「働く時間に制約がある」(30.2%)、「自分の裁量で働けない」(26.5%)、「収入が安定しない」(24.2%)が多く挙げられたほか、「コロナで収入が減った」(21.4%)、「コロナで仕事を失った」(10.6%)など、コロナ禍による収入減を挙げた人もいた。
こうした課題に対して「フードデリバリー配達員として働くことで、その課題は解決したか」という質問については、「解決した」と回答した人が各項目とも半数を超えており、特に「働く時間に制約がある」「自分の裁量で働けない」といった課題を挙げていた人については、約9割が「解決した」と回答している。
フードデリバリー配達業務に対する全体の満足度については、「非常に満足」と回答した人が13.9%、「やや満足」が48.5%となり、満足している人が合計62.5%となった。さらに、フードデリバリー配達員を「ずっと続けたい」「しばらくは続けたい」と回答している人も合計で81.9%となり、高い割合の人が継続の意向を示していることが分かった。
フリーランス協会は今回、フリーランスの仕事に対する意識や実態などを調査した「フリーランス白書2022」も発表している(別記事『フリーランスが「最も収入が得られる仕事獲得経路」として「エージェントサービス」が増加、「人脈」は減少~コロナ禍で』参照)。「フリーランス白書2022(全文)」および「フリーランスの最新実態調査 自由回答(全件)」、「フードデリバリー配達員実態調査 自由回答(全件)」のPDFファイルが、同協会のウェブサイトよりダウンロードできる。