早くから光学ディスク離れをしたAppleがオリジナル映画のDVDディスクを作成している理由とは?

GIGAZINE
2022年03月28日 17時00分
映画



映像コンテンツ配信サービスの「Apple TV+」は、数々のAppleオリジナル作品を展開しており、「Coda コーダ あいのうた」や「マクベス」といった作品はアカデミー賞6部門でノミネートを獲得するという快挙を達成しています。そんなAppleオリジナル映画「Coda コーダ あいのうた」のDVDディスクを入手したという人物が、その詳細をブログにまとめています。

An Apple Original on DVD: The Definitive Unboxing and UX Review – the nougatmachine
https://thenougatmachine.wordpress.com/2022/03/23/an-apple-original-on-dvd-the-definitive-unboxing-and-ux-review/

Appleは長らく端末の薄型化、低消費電力化、静音化を進めており、その結果として数々のI/Oポートを犠牲にしてきました。光学ドライブも例外ではなく、2017年を最後にAppleは光学ドライブを搭載したMacをリリースしていません。

また、Appleは映像ストリーミングサービスが主流となる前の時代から、iTunesで映像コンテンツを配信していました。当時のAppleのマーケティング責任者であったフィル・シラー氏は、「MacでHD映画を見るならiTunesを経由するのがベスト」と語り、光学ディスクを用いるのではなくiTunesを用いる方が映像視聴体験としては優れていると主張しています。

早くから光学ディスク離れしていたAppleですが、そんなAppleがオリジナル映画のDVDディスクを作成した理由を、ブログのthe nougatmachineは「Appleの最近の歴史と、加入者向けの独占的なコンテンツを鑑みれば、このようなディスクが存在すべきではないとわかります。それでは『Coda コーダ あいのうた』のDVDディスクが存在する理由はなんでしょうか?それはこの映画が映画館で上映されたのと同じで、賞のシーズンだからです」と記しています。

映画製作組合や批評家協会、アカデミー会員などのアカデミー賞への投票権を持つ組織に対して、配給会社が事前上映用のスクリーナーを送ることはよくあることです。こういった慣例は映像ストリーミングサービスでも行われており、Appleも例にもれず、オリジナル作品のDVDディスクを作成して批評家などに配布しています。

the nougatmachineが入手した「Appleが配布した『Coda コーダ あいのうた』のDVDディスク」が入った封筒の写真が以下。真っ黒な封筒の中身は……


「Apple Original Films」というロゴが入った「Coda コーダ あいのうた」のDVDディスクと、業界の慣例に従ってあらすじと海賊版に関する厳重注意を記した書類のみ。


この書類には「警告:この著作物を無断で複製・頒布することは違法です。金銭的な利益を伴わない侵害も含め、犯罪的な著作権侵害はFBIにより調査されます。そして、最大5年の連邦刑務所での懲役および25万ドル(約3000万円)の罰金を課される可能性があります」と記されています。


以下はワーナー・ブラザースが配布しているスクリーナーの写真。the nougatmachineは「ほとんど全てのスクリーナーがそうであるように、ディスクを収納するための隙間はとても狭く、ディスクを掴むこともスリーブを緩めることも容易ではないため、ディスクを引き出すのに驚くほどイライラします。なぜこのようなことになっているのでしょうか?市販のDVDケースと同じサイズにしたかったのかもしれませんが、市販のDVDケースには取り出しや保管に便利なツメがついています。さらに鋭い洞察力を持つ人なら、この例で挙げたスクリーナーがBlu-rayディスクであることがわかると思います。また、市販のBlu-rayケースはDVDのケースよりも短いです」と記しています。


Appleはスクリーナーディスクの表面にシールを貼りつけるのではなく、ロゴをエッチングしています。これについてthe nougatmachineは、「初期のCDを覚えている世代はレトロな魅力を感じるかもしれませんが、今は2022年なので、我々は光学メディアのパッケージにさらなる期待を寄せています。見た目の美しさはともかく、このような見た目ではディスクを逆向きに収納してしまい、読み取り面に指紋や傷をつけてしまいます」と記しました。


さらに、Appleのスクリーナーディスクのメニュー画面は以下の通り。2つのボタンが表示されるだけの非常にシンプルなメニューで、待機アニメーションなども一切なし。「ディスクを挿入し、映画を再生するだけで他には何もない」とthe nougatmachine。


「Coda コーダ あいのうた」は手話が多数登場する作品であるため、視聴者向けに手話の内容を字幕で説明しています。the nougatmachineはこの字幕について、「不格好で低解像度のテキストと魅力のないタイポグラフィーにより成り立っています」と記しています。


なお、「Coda コーダ あいのうた」は日本では2022年1月21日に公開されており、第94回アカデミー賞で作品賞・助演男優賞・脚色賞の3部門を受賞しています。

アカデミー賞最有力!サンダンス映画祭最多4冠!「コーダ あいのうた」本予告 – YouTube
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