「Arduino」はオープンソースで開発されている小型マイコンで、Arduinoを用いれば比較的簡単に自作ハードウェアを作成できます。ハードウェアやソフトウェアの開発者として活動するジェシカ氏は、Arduinoを使って「脳波から感情を読み取って動く猫耳デバイス」を自作する過程を自身のブログ上で解説しています。
EEG Cat Ears — Jazz DiMauro
https://i2nk.co/mindwave-cat-ears
ジェシカ氏は、感情に合わせて動く猫耳デバイス「necomimi」のムービーを見て、市販されている脳波ヘッドセットをカスタマイズして猫耳デバイスに変化させるプロジェクトを思いついたとのこと。ジェシカ氏が参考にしたと思われる「necomimi」が実際に動作する様子は、以下の東京ゲームショウ2012で撮影したムービーで確認できます。
「necomimi」が脳波をキャッチしてクルクルと動くところを撮影してみた – YouTube
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ジェシカ氏によると、問題の猫耳デバイスを自作するために、まず最初にサーボモーターに耳型の模型を取り付けて、耳を動かす機構を作成するところから始めたとのこと。この耳を動かす機構の実演ムービーが以下。
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上記のサーボモーターを脳波読み取りヘッドセット「MindWave」に取り付けるべく、ジェシカ氏はCADツール「SOLIDWORKS」で取り付け部の設計を行い、3Dプリンターで出力しました。
実際に出力した取り付け部品でサーボモーター&猫耳をヘッドセットに取り付けるとこんな感じに。プロトタイプ版の取り付け部品は装着者の頭の形や毛髪の量を考慮していなかったため、猫耳の位置が左右非対称になってしまうという問題がありました。
そこで、ジェシカ氏は取り付け部品をヘッドセットの曲面や装着者の頭部にフィットするように再設計しました。再設計した取り付け部品が以下。これで、猫耳取り付け部分の課題はクリアされました。
MindWaveは脳波を読み取って注意の度合を0~100の数値として出力するヘッドセットです。ジェシカ氏は「着用者の集中が途切れると悲しむ猫のように耳が垂れ下がる」という動作を目指して、閾値(いきち)を上回ると耳が立ち、下回ると耳が垂れ下がるというプログラムをArduinoに書き込んでMindWaveに接続しました。
記事作成時点のMindWaveはBluetoothによる無線通信をサポートしていますが、猫耳デバイス作成プロジェクトが行われた2011年当時には無線通信がサポートされていなかったとのこと。そこで、ジェシカ氏はMindWaveとArduinoを接続するための専用モジュールも設計しました。
猫耳デバイスのプロトタイプはこんな感じ。脳波読み取りヘッドセットの他にArduinoや専用モジュール、電源、配線などがゴチャゴチャと並んでいます。
電源に単三電池を採用し、配線などのコンパクト化を行った猫耳デバイスが以下。いくつかの部品は青い首飾り風のパーツに収まっています。
実際に装着するとこんな感じ。額の灰色のパーツが脳波を読み取り、感情に応じて猫耳が動きます。
ジェシカ氏の開発した猫耳デバイスが実際に動作する様子が以下。装着者がコーヒーショップでメニューを決定した瞬間に猫耳部分が動いています。
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その後、単三電池の代わりにリチウムイオンバッテリーの採用や配線の最適化によって、猫耳デバイスは以下のようにコンパクト化されました。
ジェシカ氏が作成した猫耳デバイスの3Dモデルデータは、以下のページで公開されています。
MindWave Cat Ears by whichlights – Thingiverse
https://www.thingiverse.com/thing:13390
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