「不思議に思ってたことがあってさー」。ある日、知人と昔のお菓子の話をしていたときのこと。彼の続けて言うには、
「パッケージにワニ書いてあるでしょ。でも、中のビスケットにはワニいないんだよ。いくら探しても見つからなかったんだよ!買うたびに探してたんだけど、ぜんぜん見たことないんだ!」と、えらく力説された。
箱にはワニが描いてある、けれども中にはいない・・・恐ろしい、ヒーッ!
と、そんな恐ろしいことではまったくないんだけども、気になったので探してみました。みんな知ってる「ギンビス たべっ子どうぶつ」のお話です。
※2007年11月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
予備調査:第一段階サンプリングおよび種別参照
さっそく一箱買ってきた。最近は年齢が年齢なだけにご無沙汰してしまっているが、小さいころにはずいぶんお世話になった一品。いろいろな動物の形のビスケット、というだけで楽しかったあのころ。
ちなみにこの見出しの調査名は専門用語でなく適当な言葉です。あしからず。
さてパッケージをよく見てみよう。
描いてあるのは、ライオン・キリン・サル・カバ・ウサギ・ワニ・ネコ・ゾウ・ひよこ。あ、ひよこは「ニワトリ」に含めることにして、このほか側面にはヒツジ・オオカミ・パンダ・コアラが見受けられた。
そういえば裏面には・・・あった、あった、こんな一覧表。そう、ビスケットにも書いてある英単語だ。まずこの一覧表で、上の動物たちがラインナップされているのか確かめてみよう。
あら!箱に描いてあるうち、「ワニ」ばかりでなく「キリン」「コアラ」も見当たらない。ワニはいざしらず、キリンやコアラは動物も動物、その2種類だけしかいなくても立派に動物園を名乗れるくらいの大物だと思う。
知人は「シークレットアイテムなのでは?」と言っていたが、果たしてその真相はどうなっているのだろうか。
予備調査終了。結果、上記3体の形体は確認できず。よって、解散!お疲れ様でした。
ではなく、もう少しサンプルを採取して調べてみなくてはなるまい。
本調査:第二段階サンプリング・種別参照および計数
いや、難しく書いてますが要は、「10個ほどどばっと買い込んで、並べて数えてみるか」ってことですな。
統計学のことには明るくないが、なんとなく10個というのがきりのいい数字のように思えるので、残りあと9箱買ってきた。近所のスーパーからほぼ買い占めたに近い。近隣の小学校に翌日遠足のないことを祈る。
同じ種類のものは縦に積んでいって展開。
「レパード、レパード・・・あ、ここだ。次はえーっと、・・・ん?“tapir”?タピー?(箱の裏見て)あ、これ“ティパー”って発音か、何?バク?!」
などとひとりごちながら積んでいくわけだが、9箱分終わったあとにはかなり英単語が頭に入った。
ビジネス英語も、こうやってビスケットで覚えたらいいんじゃないか?「regarding」とか「apologize」とかな。
結果・・・やはり、上記の「ワニ」「キリン」「コアラ」は、いませんでした。ちなみにいちばん多かったのは「ハト・19個」、少なかったのは「トラ・3個」。実にその差は16個。
この個体数の差も気になるが、いったい例の不明動物たちは、どこに行ってしまったのだろう?レッドデータブックに載っていなければいいが。
結論:製造者に聞けば早い
ということで、ここで首をひねっていても仕方が無い。製造元である、株式会社ギンビスさんに真相を聞いてみることにした。以下、「ギ」はギンビス広報・矢後さん、「乙」はわたくし乙幡です。
ワニ・キリン・コアラの不在理由について
乙:パッケージには楽しそうなワニさんやキリンさん、コアラさんが描いてありますね?
ギ:当初、イラストとビスケット型は同時進行で進んでいたんです。が、どうしてもキリンやワニは首やしっぽが長く、ビスケットにするには割れやすいんですね。それに、形を表現しやすいかどうか、というところで、今のラインナップになったようですね。
乙:ではなぜパッケージには絵が残っているんでしょうか?
ギ:やはり、デザインとしてはメジャーな動物を登場させたいですし、いろどりの面からも考えてこのようになりました。
個体数の差異について
乙: ところで、種類によって数がけっこう違ったりするのは。
ギ: 基本的には、46種類同じ数になるように生産しているんです。でも、ビスケット生地の端が機械にひっかかったりした場合、そこの型抜きが損なわれたりするので、違ってきてしまいますね。
なるほど、生地の端っこ。そんな言葉が出ると、生産現場の様子がリアルに感じられて面白い。
わかったこと:ワニ・キリン・コアラは形状の理由から、シークレットなどではなくもともと中には入っていない。
ちなみに、このような質問は「初めてです」とのこと。やった!
ふだん質問されることといえば、「動物の形が○○に見えない」というものだそうだ。
「今後、善処していきます」と答えているそうです。なのでよい子の皆さん、待っていてください。
以下、おまけ。「確かにそう見えないかも・・」という例です。