葉の直径は3メートル超、世界最大種となる巨大スイレンの新種が発見される

GIZMODO

177年間もひっそりと。

これまで2種類だけだと思われていた巨大スイレンに3種めが存在することを国際色豊かな研究チームが突き止めました。しかもこの新種は世界最大種で、野生だと葉が直径10.5フィート(約3.2m)に達することも分かりました。

巨大スイレン「オオオニバス属」の新種である「Victoria boliviana」は、南米に分布するオオオニバス属の2種、Victoria amazonica(オオオニバス)とVictoria cruziana(パラグアイオニバス)の仲間になります。キュー王立植物園のプレスリリースによると、巨大スイレンの新種発見は1世紀ぶりになるとのこと。

かねてから存在すると目されていた「第3の種」

オオオニバス属(学名: Victoria)と言う属名はイギリスのビクトリア女王に由来し、19世紀初頭に認められたものの、当初は唯一種だと考えられていました。この見過ごしはのちに訂正され、オオオニバスとパラグアイオニバスの2種に分けられました。そして今、科学ジャーナル「Frontiers in Plant Science」に掲載された最新論文でオオオニバス属の3つ目の種が誕生したのです。この新種は非常に大きく、ボリビアのラ・リンコナダ植物園にある新種V. bolivianaにある標本は、記録破りの直径10.5フィート(約3.2m)に及ぶ葉を持ち、世界最大種となりました。

英国にあるキュー王立植物園の上級植物園芸官でこの研究の共著者であるCarlos Magdalena氏は、かねてから第3の種が存在するかもしれないとにらんでいました。標本の中には葉、花、そして種が特徴的で、既存の2種のどちらのようにも見えないものがあることに彼は気づいていたのです。

こういった疑念を踏まえ、Magdalena氏は同僚たちと「オオオニバス属の系統だった知識を向上させる目的」とした研究に乗り出すことにしたと、論文には書かれています。彼らは「シチズン・サイエンスを用いた形態学的なデータセットと植物標本庫やリビング・コレクションからの標本」を収集しつつ、歴史、園芸学、地理学を徹底的に調べたと記されていました。

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ボリビアで、自生するV. bolivianaと写る植物学者のCarlos Magdalena氏
Photo: Cesar David Salazar

ボリビア国立植物標本室からの植物学者も加わった研究チームは、ボリビアにあるサンタ・クルス・デ・ラ・シエラ植物園とラ・リンコナダ植物園から得たサンプルを研究。彼らはまた、3つ目の種類と思われるスイレンを種から育てたため、他の巨大スイレンと並べての比較もできたのです。

トゲの独特な分布や形状やサイズの異なる種など、重要な相違点がいくつも記録されました。DNAサンプルはV. bolivianaが葉緑体に結び付く特殊な分子マーカーを有することから、既存の2種とは遺伝学的に異なることも示しました。物的証拠と遺伝学的証拠が合わさって、これまで見過ごされていた品種が特定されたのです。

また、研究チームは、この新種の標本が1845年からキュー王立植物園に保管されていたことに気づきました。これまでオオオニバスだと間違われていたため、別個の種であることに誰も気づかなかったとか。

新種V. bolivianaの原産地はボリビアで、世界最大の湿地の1つであるベニ県リャノス・デ・モホスに自生しています。毎年たくさんの花をつけますが、花が開くのはたった2日のみで白からピンクへと変わっていくそう。研究の余地がまだあるようで、論文にはさらなる研究と調査の必要性が綴られていました。

Source: Kew Gardens, Frontiers in Plant Science,

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