廃村に泊まる(デジタルリマスター)

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山間の無人集落に宿泊する

宿泊できる廃村が長野県飯田市にあるらしい。

廃村とは、つまり人がいなくなった村のことであろう。 そのようなところに宿泊とは、なにやらアウトローな雰囲気が漂ってくるが、そうではない。

その廃村は、無人となった今でも元住人や市によって管理されており、 希望すれば民家を宿泊用に貸してくれるらしいのだ。

実際に行って、泊まってきた。

2007年8月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

その村の名は、大平宿

その廃村とは、長野県南部の飯田市から20kmほど離れた山の中、 標高約1100mのところにある大平宿(おおだいらじゅく)である。

大平宿は、江戸時代中期より南木曽の妻籠宿と城下町飯田を結ぶ 大平街道の宿場町として栄えた山村集落であった。 しかしながら、時代の流れと共に大平街道は使われなくなり、 昭和45年、住民たちは集団離村で大平を離れ、この村は廃村となった。

その後、無人になった大平の町並みを保存しようと「大平宿をのこす会」が発足、 その努力があり、大平には今でも20戸以上もの古い民家が現存しているらしい。 最近では山田洋次監督の映画「隠し剣 鬼の爪」のロケ地にも使われたそうだ。へぇ~

それではいざ大平へ

大平宿に宿泊する場合、 飯田市街地にある「大平宿をのこす会」の事務所で手続きをし、 そこで宿泊する民家の鍵を受け取ってから大平宿へ向かうことになる。 現地での鍵の受け渡しはできない。

列車で飯田に着いた私は、その足で事務所に行き鍵を受け取った。 時間は午後1時。体調、天気はおおむね良好である。 早速、私は大平宿に向かうべく大平街道を山に向け、走り出した。

走り出した、とは言っても、私は車やバイクの免許を持っていない。 今回は東京から折りたたみ自転車を持参してきたので、これで行く。

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山道20km、これでなんとかがんばります

心もとない安物の小さな折りたたみ自転車があるが、 でも、まぁ、多分、大丈夫だろう。 これでも私は、ママチャリで箱根の峠を越えたことだってあるのだ。

ちなみに今回、同行者はいない。私一人きりの旅行である。 写真は全て、三脚を立てて自分で撮った。

飯田山麓に私泣く

走り出してからおおよそ15分、市街地を抜けると辺りの景色ががらりと変わった。

そこには青々とした田畑が広がり、 りんご畑ではほんのり赤く色づき始めたりんごがポツポツと実り始めていた。 それは、まさしく典型的な夏の山麓という光景。

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15分も走ればこの通り
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まだまだ青いりんご畑。飯田はりんごの町でもある

と、まぁ、最初はそんな余裕もあった。まだ勾配もゆるく、自転車をこぎながら周辺の風景を楽しむこともできた。

しかし、徐々に坂道の傾斜がきつくなっていくにつれ、それもままらなくなってくる。まだ走り始めてさほど時間が経ってもいないのに、既に足腰がガクガクしてきた。

暑い。ものすごく暑い。夏なのだから暑いのは当たり前ではあるが、それにしても、暑い。

山間部の飯田とはいえ、夏の太陽は全くもって容赦ない。汗はとめどなく流れ、下を向いただけでボタボタと地面に滴り落ちる。 既にシャツはびしょぬれだ。パンツの中までびしょぬれだ。

さらに追い討ちをかけるように、ドーンとかパーンとかいう音がひっきりなしに響いている。猟銃の射撃音だ。かなり近い場所で猟をやっているようで、その音は相当でかい。思わず恐怖を感じてしまう。どうか流れ弾が飛んできませんように。

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もうすっかり山の中
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ダムを横目にレッツらゴー
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結局ほとんど歩いてた

さて、飯田から5~6kmを過ぎ、いよいよ道は厳しくなってきた。自転車をこぐのも厳しくなってきた。というか、実はもうこの頃には自転車こぐのはやめていた。もう傾斜的にも体力的にもきつく、私は自転車を押しながら歩いていた。

そういえば、箱根峠を越えた時も、結局はほとんど自転車押して登ったっけなぁ……

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いやしんどいっす
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勘弁してください

しかし、自転車を降りてみると、何気に周囲を見渡す余裕が出てくる。標高が上がったためか、雲が出てきて太陽は隠れ、気温も良い感じに下がってくれた。

聞こえてくるのは風の音、ヒグラシの鳴き声。あっちでカナカナカナとやれば、続いてこっちからカナカナカナ……それはまるで会話しているようでもある。

あーいい感じのハイキング日和だなぁ……って、これなら自転車いらなかったじゃん。

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そしてついに峠に到着!

最大の難所であった飯田峠を越えると、後はもう下り坂のみであった。ほとんど車の通らないこの道路、風を切って突っ走るのが最高に気持ち良い。

あぁ、この坂を下る為に私は自転車をここまで転がしてきたんだなぁ。自転車君、さっきはいらなかったなんて言ってごめんなさい。自転車は最高デース!

とまぁ、そんなこんなで午後5時過ぎに大平宿に到着。そこには、私の想像を上回る光景が存在していた。

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その山あいの集落は
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まるで時が止まっていたかのように
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ひっそりと、そう、ただひっそりと
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静かにたたずんでいた

……いやはや、見事である。 無人となって久しいこの集落にこのような家屋が20戸以上、 今も立派に現存しているというのは凄いことだ。

それも、これらの家屋は、江戸時代末期から昭和初期にかけて建てられたものであるという。 それだけ歴史のある伝統的な家屋群なのだ。 これだけの家屋、維持だけでも相当大変だろうに。う~ん、凄い。

私は興奮しながらこれらの民家を眺めつつ、自転車を押して集落の奥へ進んで行った。 集落の最も奥まった場所、そこに今晩私が泊まる民家がある。

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今回お世話になる「八丁屋」

八丁屋と名は付いているものの、当然それは無人の民家。 この大平の家屋は、一つ一つに屋号がつけられ区別されている。 なんとも粋なはからいだ。

ちなみに、この八丁屋は江戸時代末期の建造であり、集落で最も古い家屋の一つ。 簡素ながらも洗練された美しい意匠であると私は思う。

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さぁ、早速中へ入ってみよう

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八丁屋内部の様子

どうだろう、なかなか良い感じではないだろうか。 囲炉裏にはだか電球と、雰囲気も凄くある。 まさに、これでもかというくらいの古民家だ。

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シンプルながらチャーミングな囲炉裏
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奥の障子の破け具合がちょっと生々しい奥の部屋
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機能美溢れる炊事用かまど
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風呂はレトロなボイラーで沸かす
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トイレはもちろんボットン便所(使用した紙は持ち帰り)
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あちらこちらに隙間が多いのはご愛嬌

とにもかくにも火が必要だ

さて、荷物を下ろしたところで、まずは風呂に入って汗を流しさっぱりしたい。 ということは火の確保だ。よし、火を起こそう。

火を起こす為の薪は、集落の中央にある薪小屋で管理されている。 それを取りに行くのが火起こしの第一歩。

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薪小屋も雰囲気たっぷり
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中には薪がみっしり

ところで、なぜかこの薪小屋、鍵がかかっていなかった。 飯田で八丁屋の鍵を受け取った際、薪小屋の鍵も渡されていたので この薪小屋にも鍵がかかってるべきなのであるが。

そんなことを疑問に思っていたところ……

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……あ!

いつの間にか誰かが着いていたようで、集落の入口近くの民家の横に見知らぬ車があった。 自分の他に人がいるということに安堵感を覚える反面、少しだけ不気味にも思う。

薪を運ぶがてら、その車がある民家の様子をちょっとだけ伺ってみると、 そこには楽しげに炊事を行う親子連れの姿があった。 なるほど、どうやらこの家族も本日の宿泊者であるようだ。 薪小屋の鍵を開けたのも、きっとこの人たちなのだろう。

と、その時、その家族のご主人と目が合った。 微妙な雰囲気の中、私は軽く会釈をし、そそくさと自分の民家へ帰っていく。 同じ場を共有するということで妙な親近感を覚える反面、 ちょっとばかり気まずくもある今日この頃だ。

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火起こしにチャレンジ

持ってきた薪をかまどの側に起き、私は風呂の火起こしにかかった。 ボイラーの中に薪を組み、新聞紙に火を付け中へ入れる。

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どれどれ……
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お、火がついた!いい感じだ!
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ちりとりをウチワ代わりに風を送る
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……って、アレ?消えちゃった

う~ん、なぜだろう。うまくいかない。 最初はうまい感じに燃えてくれていたのだが、 その後10分も経たずに火は消えてしまった。

再度試してみるものの、やっぱり途中で消えてしまう。 なかなか大きな薪に火が移ってくれないのだ。 たとえ薪に火が移ったとしても、一部が焼けただけで鎮火してしまう。 ……困った。

だが、これしきのことで諦めるワケにはいかない。 諦めたらそこで試合は終了だ、と三度目のチャレンジ。 しかし、やはり結果は同じであった。

この薪、シケってるんじゃないか? ……いやいや、私の腕が悪いだけだろう。

このままではラチが明かないので、 まずはボイラーではなく炊事用のかまどで火を起こしてみることにした。 内部が狭いボイラーよりも、かまどの方が難易度低そうに思えたのだ。

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今度こそ!
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竹筒で空気を送る
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が、やっぱりまた消えた
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……もう、諦めよう。試合は終了だ

いくら粘っても火がつけられなかった私は、 しょうがなく水を含ませたタオルで体を拭いた。 夏とはいえ、ここは標高の高い山間部。 水風呂を浴びるには少々水が冷たすぎる。

切なさをかみ締めながら背中をごしごしとやっていたその時、 どこからともなく子どもの声が聞こえてきた。 正直、びっくりした。こんな山の中で子どもの声が聞こえるなんて。

まさか、それは昔この付近で亡くなった子どもの……

「あー中に誰かいるよー!」

驚きのあまり声が出そうになった。 恐る恐る振り返ると、戸の外には小学生らしい子どもがいた。

「ほらほら、静かに。迷惑でしょ。二人ずつ順番に行くよー」
「この先行くのー?怖いよぉー」

どうやらそれは、ボーイスカウトか何かの子どもたちのようであった。 夜のレクリエーションとして肝試しでもをやっているのだろう。 この近くにキャンプ場か何かあるのだろうか。

「嫌だぁ~!怖い~!行きたくないよぉ~」
「じゃぁ、ここで待ってる?」
「それも嫌だぁ~!」

子どもって面白いなぁと思いながら、私は夕食を準備に入った。

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さぁ、夕食だ

残念ながら火は無いので炊事はできない。 しかし、心配には及ばない。 こんなこともあろうかと、私はあらかじめ夕食を用意してきていたのだ。

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これ以上のご馳走をあなたは作れますか?

うん、これはうまそうだ。 ワカメのふりかけご飯にサンマの蒲焼、イワシの生姜煮。 冷酒に焼酎、そしてデザートには白桃。 まさか、こんな山の中でこれほどのご馳走にありつけるとは。 準備はしておくものだ。すばらしい。

それでは、いただきます!

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わびしくなんかなーいモン
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さみしくなんかなーいモン
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なーいモン
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……モン

朝の大平を散歩してみよう

さて、朝になった。

夜はかなり冷え込んでいた。 持ってきた衣類をすべて着込んでもなお寒さを感じるほどであった。 申込書に書かれた注意事項として「寝袋は持参」とあったが、 別に夏は必要ないだろうと思い私は寝袋を持ってこなかったのだ。 しかしそれが間違いだった。

また、夜中はたびたびスコールのような雨が降った。 一時的にザーと降って、ぴたりと止む。 そんな雨が何度か繰り返され、その度に私は起こされた。 おかげで寝不足である。

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冷たい清水で顔を洗う

集落の中を流れる冷たい清水で顔を洗った私は、 せっかくなので周囲を散歩してみることにした。 朝霧がかかる静かな集落を、テクテクと歩いていく。

ふと、国道沿いにやや大きめの木造建築があるのに気がついた。 門を見る限り、どうやらそれは学校であるようだ。

その学校の校庭には、いくつかのテントが張ってあるのが見えた。 なるほど、どうやらこれは、昨晩私の家屋の前を通っていった ボーイスカウトたちのテントであるらしい。 ここにキャンプを張っていたのだ。

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学校跡にはテントがちらほら

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子どもたちが怖がっていた八丁屋の奥へ

そういえば、昨晩のボーイスカウトたちは、 私の八丁屋を通り過ぎそのまま集落奥へと消えていった。 私はまだそちらの方へ行ったことがない。

その先には一体何があるのだろう。 気になった私は、ふらふらとそちらへ足を進めて行った。

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八丁屋の奥は林の中へ続いている

八丁屋からさらに奥へ進む道は、鬱蒼とした林の中へ伸びている。 確かにここは、夜子どもが歩くには辛い道だろう。 進むのを嫌がっていた子どもの気持ちも分かる。

というか、実は私もちょっと腰が引けている。ちょっとだけ、だが。

気合を入れて林を進んで行くと、突如視界が開けて目の前に橋が現れた。 それは、集落に平行して流れる沢を渡るための橋であった。

その橋は得も言われぬような異様さを放っていた。

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その先には見たことないくらいワイルドな橋が

コンクリートの橋の上は、草がもっさりと生い茂っていた。 いや、草どころか木まで生えてる。膝ぐらいの高さの木が。 これはかなり衝撃的な光景だ。

大平の氏神神社

橋を渡りさらに進むと、古びた細い石階段が見えた。 木立に囲まれた薄暗いその階段の上には鳥居が見える。 その鳥居はまるで私を見下ろしているかのようだ。

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階段の上には……鳥居

神社か……少々おっかないが、やはりここはお参りしておくべきだろう。

意を決した私は、苔むして滑りやすくなった階段を一歩一歩踏みしめ上がっていく。 鳥居をくぐってさらに湿気の多い山道を歩いていくと、 その先にはこれまた古びた神社の建物が見えた。

しかし、この神社の拝殿……戸が開いてる!

人気が無く、薄暗いその神社は非常に不気味極まりない。 ぽっかりと開いた拝殿の入口からは、わずかながら奥の本殿が見えている。 しかし、それ以外は暗くてよく見えない。

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ひっそり立つ神社の拝殿

しょ、正直……ちょっと……いや、かなり怖い!

私は急いでお参りを済ませ、そのまま後ずさり逃げるように階段を下りていった。 後ろを向いた瞬間、あの拝殿の中からナタとか持った化け物が現れ、 襲い掛かってくるような気がした。

馬鹿げているかもしれないが、そこには確かにそんな雰囲気があったのだ。 あー怖かった。

それは人々の愛ゆえ残った町並みだった

大平宿は無住の廃村とはいえ、決して廃棄された村などではなかった。 大平宿を大事に思う方々の努力によって、今に残された文化財なのである。

一つ誤解してもらいたくないのは、 大平宿は決して旅館やバンガローなどといったレジャー施設ではないということだ。 あくまで原始生活の体験、学習の場という位置付けなのである。

大平宿の「利用しながら保存する」という保存手法は、とても画期的だと私は思う。 これからも末永く、この素晴らしい村を残していってもらいたいものだ。

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当然、家屋はしっかり掃除してから返す

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