温泉に入りたい。
3月である。猫の手も借りたいほど忙しく、あまりの忙しさに痔になった。痔になったことはどうでもいいが、いやされたい気持ちがすごい。そうだ、温泉だ。前に記事で廃墟のような秘境の温泉に行ったことがある。あそこでゆっくり温泉につかりたい。
1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)
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温泉に行きたい
2015年に「秘境の温泉に行ったら人生を考えさせられた」にて取材した温泉。「ここを曲がっていいのか?」と思いながら行った記憶がある。温泉も気持ちよかったが、あのドキドキしながら向かうのが秘境感があってよかった。ボロボロではあるが、気持ちいい温泉。あの温泉にもう一度入りたい。
渋滞などがあり、25分近くかかったが最寄り駅のバス停に到着。ここから歩いて20分ほどだった気がする。
川や畑などをこえて歩く。家はあるが人通りが少ない。
工事の人に「こんにちは」と声をかけられる。「こんにちは」と返す。静かなコミュニケーション。
道に迷う
地図を見ると神社を曲がるように指示されている。ただ、その道が本当に合っているのかと不安になる道だった。
確かに「入っていいのか?」という道を進んだ記憶がある。しかし、地図で示されているのは木が倒れていたり、草が生い茂り人が通った形跡がない道だ。
ちょっと先に進んで、行ける道を探そう。
もしかして、あの温泉はまぼろしだったのか。自分の記事にヒントはないかと探すと、記事の中に載っている道と同じような道を見つけた。
そうだ、何かお店っぽいところの道を通った気がする。記事で通ったと思われる道を進んでいく。
到着した温泉は閉店していた
何かあるような雰囲気が出てきた。人が全くいないので不安ではあるが進んでいくと目的地に着いた。
ようやく見つけた「星山温泉」。ただ、人がいない。管理人のおじさんがどこにいないのだ。
周りを見ても、管理人のおじさんも入浴する人もいない。廃墟のような静けさと少しの恐怖。カラスの鳴き声が山の中にこだまする。
以前は割った薪を燃やして温泉を温めていたのだがその様子がない。釜だと思われる部分には大量のゴミが捨てられている。
浴室はどうなっているのか。入ろうとしたが、シャッターで閉められており、鍵がかかって入れない。
どうやら使用をされてないようだ。以前もギリギリの状態で営業をしていたようなので、もしかしたら閉店してしまったのかもしれない。
奥へと向かってみる。ご主人が廃材などで建てた建物は崩壊しており、ここに温泉があったとは思えない光景が広がっていた。
バス停に戻るとき、農作業している近所の方に聞いてみたところ「だいぶ前に閉店してしまった」とのことだった。やはり、もう営業をしていないらしい。いい温泉だっただけに残念である。もう一度、お風呂上がりにあのおじさんの話を聞きながら、ほてった体を涼みたかった。
温泉スタンドに行ってみる
地元の人に聞いたのだが、逗子には自分でくめる温泉があるという。そこに行ってみよう。逗子駅から歩いて30分、温泉スタンドの看板が見えてきた。
足湯に入れないのは残念だが、温泉スタンドが目的だ。この為に一度駅に戻り、100円ショップでボトルを買ってきた。癒やされたい気持ちが1年中ある。
コンビニで水を買うより安い。ただ、この温泉、飲めないので注意してほしい。
星山温泉の温泉も元々はつめたく、沸かしていたのを思い出した。この辺りはつめたい温泉が湧き出てくる地域らしい。
パンフレットには「地下400メートルから湧き出ている天然温泉」と記載がある。アトピーや切り傷、筋肉痛や関節痛、冷え性、疲労回復に効果があるそうだ。お肌もすべすべになるらしい。
このような温泉スタンドを初めて見たがなかなか味のある姿をしている。昭和の時代を感じさせる色合い、文字の雰囲気、周りの崩れた建物たちを見ていると過去にタイムスリップしてきたような感覚になる。
実際に入れてみよう
お客は自分ひとりだった。くみ放題である。100円を入れたらスタートすると思い、身構えた。
焦った。出てこないのかと思ったが、ボタンを押してなかっただけだった。
ドタバタコメディみたいな記事でなく、静かな記事をお届けしたいのだ。こういううっかりミスみたいなのはいらない。
まず、勢いよく出た温泉に「こんな勢いよく出るなんて聞いてない!」と焦り、落ち着かないまま止まっていった。止まったあと、「おれの甲子園は終わった」という気分になった。それぐらいの悲しさがある。
ポリタンクとかで入れるのが正解なのだろう。買ってきたボトルのキャップ口が小さく、全然入らない。そして、入れれば入れるほど、ズボンのすそが濡れていく。
20リットルの温泉を持ち帰る
これを自宅まで持って帰ろう。見た感じ、だいたい20キロぐらいか。子どもの重さだ。とりあえず、20分歩いて駅に戻ろう。
そう思って背負ったリュック「修行か?」と思うほどに重い。ドラゴンボールで亀仙人が悟空とクリリンにこういう修行をさせるシーンがある。
たぶん、家に帰ったら天下一武道会で優勝できる強さになっていると思う。
本当は車に積んで帰るのが正解だろうが、ペーパードライバーなので運転はできない。おれには背負って持ち帰ることしかできない。江戸時代のやり方。
確かに体全体が重く、普段よりも歩くスピードは遅いが、別に歩けるし問題ないかなと思いながら進んでいると、自然が猛威を振るう。
強風すぎるほどの強風。前に進むのも大変だ。これを読んでいる人たちに伝えたいことがある。春一番が吹いているときに温泉を運ぶのは大変なのでやめたほうがいい。すごく疲れるから。
あと、ウェブ記事の撮影もしないほうがいい。三脚がカメラごと倒れて、カメラが壊れそうになるから。悲しい気持ちになるから…。
自宅で入ってみる
駅に着き、電車に乗って自宅に着いた頃には50キロやせていた。本当はやせてないがそれぐらい疲れた。だって、家についてとりあえず寝るほどだった。1時間近く寝てしまった。
さっそくお風呂に入れていこう。ボトルから浴槽へと注がれていく温泉。特に匂いもなく、色も透明だ。
20リットル全て入れ終わった。どれぐらい貯まったのか。今までの疲れをこれで癒したい。
量が少ない。わかっていたことだがこれほどの量か。普通の浴槽がだいたい200リットルらしい。あと10回行かないとだめだ。
インターネットで調べてみると、温泉と普通のお湯を混ぜても温泉の効果があるらしい。よし、このまま沸かしてみよう。
入ってみると、肌触りがよく、肌になじむ感じがする。お風呂上りも肌がしっとりしており、体もなかなか冷めにくかった。
温泉に入れて満足なので寝ます。おやすみなさい。
温泉スタンドめぐりをしたい
温泉スタンドを初めて使ってみたが、スタンドそのものがノスタルジックな雰囲気があっていい。
ただ、老朽化や利用者の低下などで撤去されてしまっているところもあるらしい。あるうちに色々とめぐっておきたい。