影響は宇宙にまで。
ウクライナで戦争が始まってから、世界に大混乱が広がっています。ロシアへの制裁で深刻な亀裂が生じていますが、このほど欧州宇宙機関(ESA)は、ロシアの国営宇宙開発企業となるRoscosmos(ロスコスモス)と共同で進めてきた、火星探査計画の「ExoMars」をめぐる公式見解を発表しました。
加盟国によるロシアへの制裁が実施されている。ExoMarsの計画を継続することに関しては、この制裁ならびに多くの背景事情からして、2022年の打ち上げは非常に困難なものとなった。
こんなふうにESAは説明しています。最初のExoMarsの打ち上げミッションによって、すでに2016年には、火星の周回軌道へ「Trace Gas Orbiter」の観測衛星を投入することに成功。しかしながら、同時に火星の地表面で観測をスタートするはずだった、火星探査車の「Schiaparelli」は、着陸に失敗してしまいました。続くミッションを2020年に実施する予定でしたが、開発の遅れと新型コロナウイルス感染症の影響で、今年の秋へと打ち上げは延期に…。
地球から火星へ最短距離で到達するため、ロケットは「ホーマン軌道」へ投入して打ち上げる必要があるそうですが、今秋のタイミングを逃すと、次は26か月後までやってきません。そうなると、火星への到達は早くとも2025年以降になるんだとか。科学研究の分野にまで、今回のウクライナ侵攻問題は大きな波紋を投げかけていますよね。
Source: ESA