2月27日の東京都のコロナ感染者は1万321人で、先週の日曜日より約2600人減少している。全国的にも同様な傾向で、新型コロナウイルス感染者数が、次第に減っていっている。1日の感染者数が10万人を超えていた2月初旬に比べると、今では7万人前後となっている。
欧米でも同様な傾向が見られ、北欧諸国、イギリスなどはコロナ規制を全面解除し、その他の欧米諸国でも大幅な規制緩和が行われている。
北欧諸国については、スウェーデンはピークアウトしたが、デンマークやノルウェーはまだ高い水準である。しかし、重症化しないというオミクロン株の特性を踏まえた上で、規制緩和へと舵を切っている。
欧米諸国が大胆な規制緩和に踏み切ったのは、大半の国民が3回目のワクチン接種を終えているからである。さらに、各種の治療薬の開発も進んでいることも大きな要因である。
日本でもメルク社の「モルヌピラビル」やファイザー社の「パキロビッド」という飲み薬が使用可能になっており、塩野義製薬の経口治療薬ももうすぐ承認される。
しかし、わが国のコロナ対策は、欧米に比べて後手後手である。ワクチンの追加接種が進まない、検査キットが手に入らない、飲み薬が入手できないという状況である。
ワクチンについては、2回目接種後8ヶ月後という最初の判断が間違っていたのであり、その政府の指示通りに動いてきた自治体にすれば、急に方針を変えられても対応できないということであろう。岸田首相は、菅前首相に習って「1日に100万回」という号令をかけ、自衛隊による大規模接種や職域接種を進めているが、まだ目標には達していない。
3回目の接種を終えた人が全人口に占める割合は17.3%であり、これは先進国の中では最低のレベルである。モデルナのワクチンを選択する人が少なく、ファイザーのワクチンに人気が集まり、これが品薄状態になっているという。2回目、3回目に別のワクチンを接種するという交差(交互)接種の有効性については、つとにデータがあり、効果もむしろ上がるとすら言われている。
交差接種の効果について、きちんとした情報発信が厚労省から行われてこなかったことが、モデルナ社のワクチンの不評につながっている。交差接種を進めて副反応などの問題が発生すると、担当の役人が責任を問われる。それを避けるためには、「何も新しいことはしない」ということになる。万事がそうで、過去2年余のコロナ対策は、その繰り返しである。
オミクロン株は重症化せず、上気道どまりで、肺炎まで引き起こすケースは稀である。この弱毒化した変異株に対して2類感染症相当というレベルの政策対応をすれば、現実との乖離が大きくなることは当然である。そこで、普通のインフルエンザ並みの5類にひき下げるべきだという声が高まっている。
今の段階で法改正をするのには賛否両論があるということで、政府は「見なし5類」という対応をしている。また、検査キットが足りないということで、患者の濃厚接種者の場合、発熱などのコロナ特有の症状があれば、医師の判断で陽性とすることができるとした。軽症者や無症状者に自宅療養を認めたのもまた、5類相当の対応である。
オミクロン株の特性を念頭に置いたとき、岸田内閣のコロナ対応は柔軟性と迅速性に欠け、後手後手になっており、大きな問題である。