雷雨でへそを隠すことに意外な合理性がありました (Photo by Kohei Fujii CC BY-SA 2.0)
気象予報士、増田雅昭さんに天気について聞く月イチ連載。今月も3回に分けて掲載します。
第2回は、気候で選ぶ住みたい町、雷雨のときにヘソを隠す理由です(構成 編集部 林)
I love 気温の変化
林:
増田さんが気候だけで街を選ぶとしたらどこですか?
増田:
僕は群馬がいいですね
西村:
おお?寒そうなのに
増田:
ダイナミックな気温変化が好きなんですよ。
西村:
あえてってことですね
増田:
夏は暑い、冬は寒い、しかも冬は北風のからっ風がビュンビュンに吹いてくるし、北にいけば雪も味わえる…最高じゃないですか?
林:
そういう視点ですか
増田:
だいぶ前に40度超えそうな日に行きましょうって話しましたけど、なかなか40℃になってから東京から行くのは大変です。群馬だったら40℃を待ち構えていればいいわけですからね。
林:
なるほど。前橋の気象台の人も同じ気分なのかも。
増田:
ダイナミックな気温変化で言うと雷雨の後、暑い時期の雷雨の後にガクンって気温が下がるじゃないですか。あの気温変化も僕は大好きなので。
西村:
気持ちいいですよね。
増田:
最高ですね
林:
あれって雨だけで下がってるんですか?
増田:
いいえ。地上が35℃とかそんな暑さでも上空は冷たい空気で、0℃近かったり、場合によっては夏でもマイナスだったりするわけですよね。
積乱雲の中って上昇気流とか下降気流が激しく空気が回っているわけなんですけど、雨が降るタイミングでそういう冷たい空気がどっと降りてくるわけですよね。
林:
冷たい空気だったんですね
増田:
ひやっと感じたら雷雨の前兆ですよって言われたりします。近くで雷雲から冷たい空気が降りてきているということなので、こちらにも雷雨がくるかもしれない。
西村:
冷たい空気が流れてきているから
増田:
僕は高校が野球部で、夏の練習が大嫌いだったんです。めちゃくちゃ暑くて。
ただ、放課後の練習中に、急にひやっとする日があるんですよ。
来る!2~30分後にざっと雨がきて練習休みになるって思って、頑張れるんですよね。
本当にそれが来たときは嬉しくてたまらなかったですね。
西村:
恵みの雨ですね。
増田:
来るぞ、来るぞっていう。
林:
野球部でずっと外にいるのは気候の変化を感じますね
増田:
気象予報士でキャスターをやってる人では、野球部出身の人がちょいちょいいますよ。
だいたい口を揃えて言うのは、練習が嫌いだったと。
林:
最近の甲子園の強豪校は屋内練習場がすごいじゃないですか。雷雨の予兆を感じることはないかもしれないですね。
増田:
強豪校からは気象予報士が出て来てないかもしれないですね。
小林:
休みにならないから
西村:
気象の変化のダイナミックさを肌で感じられないから
林:
強豪校は野球でがんばってほしい
雷様がへそを取る理由(諸説あり)
増田:
雷様におへそをとられるぞって言う話あるじゃないですか。いろんな説があるんですけど、雷雨で急に気温がさがったときに、おなか出しっぱなしで昼寝しておなか壊さないようにという説もあるんです。
おへそ取られるから、おへそを出したまま昼寝するなよ、ということですね。
林:
あの話がそんなに理にかなっていたとは
西村:
雷様におへそをとられるという理不尽さだけですね。 よくわからないのは
林:
そこまで論理的なのに
西村:
なんでへそとるんだよ(笑)
増田:
もう一説は、おへそを隠そうとすると頭をさげるから。ちょっとでも低くさせるというのがあったんじゃないかと言われてます。
林:
すげー。
西村:
姿勢を低くしろと
増田:
高いところに雷はおちるから。
西村:
すごいですね
気温変化を好まない人は海の近く
増田:
皆さんの住みたいな場所、街、地域は?
林:
瀬戸内海、広島がいいです。台風も来ないし地震もないから
西村:
波も穏やかですよね
林:
増田さんどうですか?
増田:
いいと思いますよ。夏のことを考えたら比較的海に近い所が良いと思います。日中、海からの涼しい風がはいってきますので。
ただ、瀬戸内は海風がやんで夕方とか凪の時間になるとすごく蒸し暑くなります。
林:
そうなんだすか
増田:
瀬戸内は、愛媛では雪が降ったりすることが結構ありますけれども、それ以外の地域はそんなに雪が積もることもないですから比較的住みやすいんじゃないかと。
西村:
雨もふらないんじゃないですか
増田:
特に香川とか
林:
西村さんは?
西村:
湘南とか海も近いし、そんなに雨も降らないだろうって思ったんですけど、でも海は外洋です。
増田:
外洋に面していると風がすごいことになりますよね。塩も飛んできますし。あんまり近すぎるのも…。適度に海風が入ってくるところ当たりが
林:
風力発電のプロペラがあるところはだめですね。
増田:
海風って10キロ20キロぐらい入ってくるので、海岸から10キロぐらい離れたところがいいんじゃないですか。
林:
増田さんみたいなマニアックな人はダイナミックな気候の場所で。
増田:
ダイナミックな気候ツーリズムは人を呼び込めますよ。
林:
マニアックなツアーの方が引きがありそうですね。群馬極寒、熊谷激暑ツアー
西村:
たしかに暑いときに行ってみたいですよね。
林:
一瞬外に出て、また建物に入りたいですよね。
小林:
私もダイナミック引かれますね。時雨とか好きですね。能登半島にいったときに天気がコロコロ変わって。
西村:
雨がけっこうふる地域ですもんね。逆にいいっていうのもありますね。
林:
両側が海で山だから
増田:
雨がいいという方も当然いらっしゃいますしね。
西村:
YouTubeに雨音の音だけ2時間3時間とかってありますから、
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増田:
自治体様むけにツアー企画させていただきますので(笑)
ダイナミック気候ツアー、ヒーリング気候ツアー、地吹雪でもいいですし。
林:
西村さんの地図ネタと歴史ネタをまじえて。
増田:
短期の旅行でも、移住も気候面から考えられますし。どちらでもコンサルできますね。
小林:
本気だ(笑)
月1天気 今月の問題はこちらになっています。昨日掲載のその1を読んで回答してください。
今月の問題:2022年2月22日22時22分 東京の気温 小数点1桁まで予想してください。 締め切り:2022年2月15日23:59