荒川下流河川事務所 管理課
竹内 秀二さんのお話
管理課課長の竹内さん。インタビューの為にわざわざ朝早くに出勤してくださいました。 |
そもそもの発端
河原に住んでいる人が飼っていたウサギがものすごく増えちゃって、1月から減らしてくださいってずっと言っていたんです。その後、2月8日に私も含めた職員が、現場でウサギが夜間に堤防の地面 を掘っている現場を目撃したんですね。目で見た範囲では20羽くらいがみんなシャカシャカ穴を掘っていて、見た目には可愛かったんですけど(笑)、堤防に穴が空いていると危険なので、 翌週の15日には堤防の方にこないようにしてくれっていう話をしたんです。 けれど、それは無理だということなんで、22日に廃材を利用して柵を作ることになったんです。
10メートル四方くらいの柵で、真ん中に仕切があるんですけど、使い方はこれから相談して、飼い主ご本人にウサギを柵の中にいれていただくことにして。
今後は、数を減らしてもらうっていうのが一番重要なことだと考えています。今回はいろいろ報道されたおかげで、結構もらっていく人が増えてきて、数は減っているみたいなんですけど。
私たちはウサギ自身が憎い訳じゃないんで、ウサギをいじめようと思ってやっている訳じゃないし(笑)、その辺は生き物ですから充分気を使いながら対応させて頂いているつもりなんですが、「うさぎをいじめるな」とか「柵を作って税金を無駄 遣いするな」などの批判の声があると、ちょっと寂しいですね。お金もかけないように素早く対応して、堤防のためにもウサギのためにもなるようにしたと思っているんですけど。
手探りで進むウサギへの配慮
後は衛生状態とか生態系への影響っていうものの確認なんですけど、私たちはそういうことに関しては素人なんで、実はよくわからないんです。
このあたりは少しずつ勉強してるんですが、知識もないしどういう機関にやってもらえるかも分からないので、我々ができることをやるしかないのが現状なんです。
保健所やそれに準ずるような組織にも連絡をしてはいるんですけど、どなたに電話しても「うちの担当じゃない」っていうところばかりで、「私が担当です」っていう方はひとりもいらっしゃらないので、本当に困っています(笑)。 これを読んでいるどこかの機関の方が、名乗りを挙げてくれると大変に助かるんですけどね(笑)。
実は毎日地道にしていた作業
あと、これは土木関係のモグラの研究論文のレポートなんですけど(下図参照)、ウサギの穴も同じで、小さい穴でもだんだん水が入ったり染みたりして浸食すると大変危険なんです。そういうことを口で説明してもなかなか分かってもらえないんで、こうしてイラストをお見せするようにしているんですけど。
モグラの被害も結構深刻なものなのだとか(土木技術資料39-9より引用させていただきました)。 |
今回はウサギの穴だったということで、堤防の補修しているところをカメラに撮られたりしましたが、それは私たちが通 常の業務の中でいつもやっていることなんですよ。
堤防を造ったら後はなにもしてないようにみえるかもしれませんが、毎日、60kmくらいある堤防を巡視していて、例えばコンクリートのひび割れがあれば直したり、土が削れているところは直したり、そういうことは日々行っているんです。年に1・2回は、60kmを歩いて危険なところがないか点検もしますし。
やっぱり皆さんの住んでいるところを全部管理していかないと、「ここだけ強い」とか「ここだけ弱い」とかっていう風になっちゃうと、洪水の時に機能しないですからね。
ウサギがいるところだけ補修していると誤解されないかと、ちょっと心配しているんですけどね(笑)。