甘利氏のワクチン巡る発言が波紋 – 中村ゆきつぐ

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甘利さんのツイートに医療クラスターがざわついています。

シオノギのデータはそこまで悪いわけではありません。少なくともアンジェスとかテラ社案件とは比べものになりません

ただ公表されているものがPhase 2a partですから投与された人数が本当に少ないし、まして主要評価項目はウイルス量の減少という抗ウイルス効果で、本来必要な臨床的症状の軽減、重症化予防、死亡予防とかではありません。

例えばスライド10にみられるプラセボ群の状態悪化の2例がもしワクチン接種者じゃなければ、正直投薬群の方がワクチン接種の割合が多いみたいですので、この予防効果はワクチンのおかげで薬のおかげでは無い可能性があります。それを否定するにはもっとたくさんの人数の解析をしなければいけないのです。

この発言自身に法的には問題無いようなのですが、相変わらずの政治家の忖度をご希望のようです。本当安倍元首相のアビガン推しからの反省はなく懲りてないんでしょう。製薬会社が持ってくる少し曖昧なデータを信じてはいけません。

どうしても自民党の政治家は創薬等について科学的対応という言葉を少し無視してしまうようです。あの反HPVワクチンの池田としえ氏も元自民党ですし、片山さつき氏も少し変な発言が目立ちます。正直忙しい現場混乱させてどうするのと思うのですが。

>これに続くP2bパートは、計画していた症例数400人超の登録が8日に完了予定。P2aと同等以上の安全性や有効性を確認できた場合は、P2b結果を根拠にして承認申請に持ち込む。手代木社長は記者会見で、「来週、再来週にはP2b結果をとりまとめ、P2aを再現する結果であれば、速やかに国に承認申請したい」と述べた。

>塩野義の手代木功社長は同日開いた記者会見で、約50人分の治験データを解析し、体内のウイルス量を下げる効果を確認したと説明。続けて実施中の治験について「約400人分の結果が来週か再来週にまとまる。良好であれば速やかに申請したい」と話した。

この400人規模のデータを社長が甘利氏に説明していたとしたらまだ救いですが、PMDAや厚労省は変な圧力に負けずしっかり仕事していただければと思います。(でもそうしたら法的にインサイダー?)

まだまだ感染者は高止まりしています。施設のクラスターも出てきて高齢者の死亡も増えてきています。この薬の投与で本当に死亡が減るかどうかは何の証明もされていません。「ウイルスは減らした、しかし患者は亡くなった」なんてことは実は臨床現場で良くあることと説明しておきます。だから医療者はこの手のいい加減なデータに基づいた報道に文句をつけるのです。

前回の記事を書いた後、ワクチン接種1日100万回のニュースがながれました。政府はいったい何をやっているのかと思います。

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