元フィギュアスケート選手の町田樹(まちだ・たつき)さん(31)による、北京オリンピックのテレビ解説が注目を集めている。
現役時代は「氷上の哲学者」の愛称で親しまれ、現在は国学院大助教の町田さん。2022年2月6日のNHKスタジオ解説では、知的で落ち着いた語り口を披露し、ツイッター上で「国文学の先生みたい」「ずっと聞いていたい」と反響が広がった。
「町田語録」で人気集める
14年のソチ五輪では5位入賞。自身の美学を貫いたコメントは「町田語録」として、フィギュアスケートファンから愛された。同年24歳の若さで現役を退くと、15年には早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に進学。現在は国学院大で助教を務める。
今大会ではNHKの解説に起用されている町田さん。6日はフィギュアスケート団体の録画放送のスタジオ解説に登場した。
女子ショートで74.73の高得点を記録した樋口新葉選手の滑りについては「よく『神は細部に宿る』って言いますけれど、女子フィギュアスケート個人種目の場合は、勝利がコンマ0.なんぼの差で明暗が分かれるというような、接戦になるケースが多いので、まさに女子は『勝利は細部に宿る』という感じなんですよね。ですから、そういう細かなところまで、ちゃんと磨きをかけているということが証明されている。そういう演技だったと思います」と評した。
一方で、今大会ではROC(ロシア・オリンピック委員会)のカミラ・ワリエワ選手が、五輪初の「女子4回転ジャンプ」を成功させるかに注目が集まっていた(その後、7日のフリーで成功)。ワリエワ選手に、日本の選手はどう戦えばいいかとアナウンサーから聞かれると、町田さんは「これは複雑なんですけれども、ワリエワ選手がノーミスの演技をしてしまえば、だれも勝てないというくらい、圧倒的な競技力です」と実力差を冷静に評価。
その上で、「むしろ、彼女を視野に入れない。成績よりも、自分が五輪という舞台で何を成し遂げたいのか、どういう演技を世界中に届けたいのか。その思いだけで舞台に立てばいいんじゃないかなと思います。そうすればおのずと、日本の選手、いい成績もついてくると思っています」と現実的な目線でアドバイスを送った。