おいしくっていかがわしい~中国のヤシの実ジュース「椰树牌」

デイリーポータルZ

中国のココナッツジュースの定番「椰树牌」は、怪しさとおいしいさを同時に楽しめます。

老若男女に愛される飲み物には見えない

先日、中国の友達・金さんと中国物産店に行った時に、

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圧がすごい

こんな飲み物を見つけました。

あまりの怪しさに釘付けになっていると、

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金さんが「子どもからお年寄りまで好むという定番のココナッツジュースだ」と教えてくれた

耳を疑いました。

パッと見て、怪しめの健康飲料もしくは強精剤だと思っていたからです。

特徴①カラーリングがジュースのそれではない

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黒背景に、ビビッドな黄・赤・水色

どぎつい警告文のカラーリングです。ハレーションも辞さないデザイン。

ココナッツジュースのパッケージって白と青のさわやかなものが主流だと思いますが、バリバリの逆張りです。

特徴②字多い

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オールゴシック体の力技

言いたいことが多いのでしょうか、すっごい字が多いです。

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字の大小も極端。黄バックに黒地が「しじみ70個分のちから」っぽい。

文章を読んでみると、とにかく「海南島のココナッツ」「無添加」「ロングセラー」ということを伝えたいみたいです。

主張強めの手作りポスターを彷彿とさせます。写真やイラストってある程度必要なんですね。

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写真の上にも「白白嫩嫩(白くてなめらか)」とわざわざ書いている

写真の上にダメ押しの形容詞。「言葉じゃなきゃ伝わらない主義」が垣間見えます。私も大切な人にはきちんと言葉で感謝を伝えたいと思います。

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どこが「最新パッケージ」なのか

成分表の片隅に、

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「元祖椰树、最新パッケージ!」

ギザギザでパッケージの刷新を宣伝しています。

1年前のものと比べてみると、

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左:新パッケージ、右:旧パッケージ

アホほどマイナーチェンジでした。もはやじっくり楽しむまちがいさがしです。

ロングセラーなので、デザインをガラッと変える必要も(変える気も)ないのでしょう。新パッケージは字が増えて写真が小さくなってます。言いたいことがまた一つ増えたようです。

ただ、大きく異なっているのは、パッケージの裏です。

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以前は女性モデルがいました。

このデザイン、「おや?ピンクビラ?」と見まがうばかりのいかがわしさです。グラビアの鉄板・脇見せポーズをとります。

中国の友達2人に聞いたところ「椰树牌といえばこの女性」らしいです。そして、「この人を椰树牌以外で見たことはない」そうです。これが彼女の最大の代表作なんでしょうか。

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左の赤枠には「我从小喝到大(私はこれを飲んで大きくなりました)」のコメントが

「小さいころから愛飲している」という意味でしょう。これについて金さんが、「うちの学校では、この文章を『彼女が自分の胸のことを言っている』と読みかえていました~」と教えてくれました。うん、全然アリな文脈です。

椰树牌カスタマーサービス都市伝説

もう一人の中国の友達・欧陽さんが椰树牌について、こんな話をしてくれました。

成分表の上にある赤い枠に、

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「品質、小売り、販売に関するお電話はこちら」

と、「宝くじの当選番号表?」と思うくらい長い電話番号が書いてあります。カスタマーサービスに繋がるのでしょう。

欧陽さんが言うには、「この電話番号には、『いつ電話しても全く同じ人がでる』という都市伝説がある」らしいのです。時間・季節問わず同じだそうです。

ココナッツジュースがらみの都市伝説を初めて聞きました。デザインがこんな話にも説得力を与えています。

※ほんとうに品質、小売り、販売で問題がある人だけ電話してくださいね

納得のおいしさ

やんややんや言ってきましたが、さて実際に飲んでみるとどうなのでしょうか。

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椰树牌のお味は・・・
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うまー!

ほどよい甘さに、すきっとした飲み心地です。おいしいです。ロングセラーというのもうなづけます。

金さんによると「コーラとかより添加物が少ないと言われてるから、親が子どもによく飲ませる」らしいです。だからあんなに「無添加!!」とかまびすしいパッケージなんですね。

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かなり辛いインスタント春雨「食族人」とともに

さわやかな甘さが辛い麺によく合います。

中国ではレストランで飲むことが多いらしいですが、私はスパイシーな中国の即席麺といっしょにいただくのがマイブームです。ホットな口内をやさしい椰树牌がかけ抜けていきます。やめられません。

中国物産店で椰树牌を見つけたときは、ぜひいかがわしさだけでも拝んで帰ってください。

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