Ubisoftが導入したNFT取引プラットフォーム「Quartz」への批判に対する開発責任者の回答とは？

「アサシン クリード」などを手がけるゲーム開発企業のUbisoftは、2021年12月にゲーム内で非代替性トークン(NFT)を取引できるプラットフォームを導入しました。この件が大きく批判されたことを受け、開発責任者がインタビューに答えています。

Ubisoft responds to angry NFT Digits and Quartz reaction – Interview
https://www.finder.com.au/ubisoft-interview-nfts

Ubisoftが「Quartz」という名で導入したNFTプラットフォームでは、「Digit」と呼ばれる専用アイテムを使った取引を行えます。Digitは通常のアイテムや装備品と変わらない機能を持ちますが、独自のシリアルナンバーや現在および過去の所有者のプレイヤー名が紐付けられており、プレイヤー同士で自由に売り買いすることができます。

Ubisoftが「ゴーストリコン ブレイクポイント」で初の「ゲーム内NFT」をスタート – GIGAZINE

Ubisoftが長年取り組んだブロックチェーン技術の次のステップとして導入されたQuartzですが、ゲームと投資を混同させるような仕組みは一部ゲーマーから批判を受けていました。そこで、仮想通貨比較サイトFinderのジャーナリストであるChris Stead氏が、Quartzの開発責任者であるNicolas Pouard氏にインタビューを行い、批判をどのように捉えているのかを聞き出しました。

Pouard氏いわく、批判は「予期していた」とのことで、「ゲームに情熱を注ぐプレイヤーの反応は素晴らしいですが、私たちがQuartzで進めるNFTの取り組みは正しい方向に向かっていると強く信じています」と回答。NFT導入を批判するゲーマーについて「プレイヤーがアイテムを使い終えるかゲームをやめた時にアイテムを販売できるということはプレイヤーにとって真に有益なものですが、今のところ理解されていません」と述べました。

Digitの存在がゲームソフトの価格を上昇させるのではという懸念に対しては、「Digitはゲームソフトとは別で構築する経済市場で用いられるもので、あくまでオプションです。いついかなる場合でもプレイヤーにDigitとQuartzの使用を強制することはありません」と回答。Digitそのものの価格がインフレーションを起こすのではという懸念に対しては、「インフレーションが加速しないよう調整することに現在重きを置いています」と回答しました。

シューティングゲーム「ゴーストリコン ブレイクポイント」で導入されたQuartzですが、導入から数週間経過した時点での観察結果は「すべてが期待通り」とのこと。Pouard氏は投資家が市場を支配することを恐れていたとのことですが、同ゲームで取引を行うには「経験値がXPレベル5に達していること」という制限が設けられており、このハードルがゲーム内容を度外視したプレイヤーの参加を阻んでいたそう。最初の2週間で行われた取引の大部分は「非常に長い間ゲームをプレイしていた人」により行われたとのことです。

by Marco Verch

ゴーストリコン ブレイクポイント以外のゲームでもQuartzが導入される可能性については否定せず、「私たちは非常に分散化された会社なので、QuartzやDigitの導入は各プロジェクトの責任者に委ねられます」と回答しました。

Pouard氏は「ゲームのプレイで得られる価値はさまざまなものがあります。遊びを通じて歴史を学んだり、ソフトウェアのスキルを学んだりすることができます。私たちはゲームで得られる価値を可能な限り最大にしようと考えており、現実世界の報酬の追加は次の『価値』になる可能性があります」「Quartzはより大きな何かにつながる最初のステップで、これを中心に機能とサービスをリリースし続けます。NFTの概念を理解するのは簡単ではないですが、私たちの取り組みや信念はプレイヤーに少しずつ理解されていくでしょう。理解してくれることを願っています」と述べました。