絶滅寸前のカリフォルニアコンドルが「無精卵」から生まれていたことが判明

GIGAZINE


By Stacy Spensley

アメリカ西部に生息しているカリフォルニアコンドルは、生息数の少なさから国際自然保護連合によって絶滅寸前と評価されています。そんなカリフォルニアコンドルの繁殖プログラムを実施しているサンディエゴ動物園の研究チームが、「無精卵からカリフォルニアコンドルが生まれていた」ことを明らかにしました。

Facultative Parthenogenesis in California Condors | Journal of Heredity | Oxford Academic
https://academic.oup.com/jhered/advance-article/doi/10.1093/jhered/esab052/6412509

San Diego Zoo Wildlife Alliance Conservation Scientists Report First Confirmed Hatchings of Two California Condor Chicks from Unfertilized Eggs – San Diego Zoo Wildlife Alliance Stories
https://stories.sandiegozoo.org/2021/10/28/san-diego-zoo-wildlife-alliance-conservation-scientists-report-first-confirmed-hatchings-of-two-california-condor-chicks-from-unfertilized-eggs/


California condors can have ‘virgin births,’ study finds
https://www.nbcnews.com/science/science-news/california-condors-can-virgin-births-study-finds-rcna4087

サンディエゴ動物園を運営するSan Diego Zoo Wildlife Allianceでは、カリフォルニアコンドルの遺伝的多様性を確保することを目的に、30年間で911羽のカリフォルニアコンドルから遺伝情報を収集しています。その遺伝情報を分析する過程で、2羽のカルフォニアコンドルが「母親の遺伝子」のみを持っていることが判明しました。

San Diego Zoo Wildlife Allianceの研究チームは遺伝情報データベースから父親として適当な遺伝子を持つ個体を探しましたが、父親は見つかりませんでした。このことから、研究チームは「2羽のカルフォニアコンドルには、生物学的に父親がいない」と結論づけました。


研究チームによると、鳥類における単為生殖の例は、「オスと接触できないメスの鳥類」からはまれに観察されるとのこと。しかし今回発見された単為生殖個体の母親はオスと共に生息しており、片方は11羽のヒナを、もう一方は23羽のヒナを有性生殖で産んでいました。加えて、後者の母親は単為生殖個体の出産後に2羽のヒナを有性生殖で産んでいたとのこと。このことから、研究チームは「今回の単為生殖個体の発見はカリフォルニアコンドルとして初めてで、オスと通常の有性生殖を行っている鳥類としても初めての発見です」と述べ、その重要性を強調しています。

カリフォルニアコンドルの中には約60年生きる個体もいますが、単為生殖個体の2羽は片方が2003年に2歳で死亡し、もう一方は2017年に8歳で死亡したとのこと。また、研究チームは分子遺伝学的手法を用いた単為生殖個体の探索はこれまで行われてこなかったと主張。研究チームの一員であるオリバー・ライダー氏は「今回の発見は、検出されていないだけで実際には他の種でも単為生殖が行われていた可能性を示唆しています」と述べています。

なお、鳥類における単為生殖はまれですが、は虫類や魚類では多くの種が単為生殖による繁殖を行うことが知られています。また、2017年にはオスから引き離されたメスのサメが有性生殖から単為生殖へ繁殖戦略を変更した事例も報告されています。

オスから引き離されたサメが単独で産卵、有性生殖から無性生殖へと素早く繁殖戦略を変更した事例が観察される – GIGAZINE


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