フィリピン海の底で第二次世界大戦中に沈没した駆逐艦を捜索していた研究チームが、これまでで最も深い海を泳ぐイカの発見に成功したと報告しました。
Hadal cephalopods: first squid observation (Oegopsida, Magnapinnidae, Magnapinna sp.) and new records of finned octopods (Cirrata) at depths > 6000 m in the Philippine Trench | SpringerLink
https://link.springer.com/article/10.1007/s00227-021-03993-x
World’s deepest-dwelling squid spotted 20,000 feet under the sea | Live Science
https://www.livescience.com/worlds-deepest-squid-philippine-trench
今回、これまでで最も深い場所で生きているイカを見つけたのは、「世界で最も深い場所に沈む船」とも呼ばれるアメリカの駆逐艦・USSジョンストン沈没現場の調査を行っていた研究チームです。有人潜水艇を使って、フィリピン海に沈むUSSジョンストンの調査を行っていた研究チームは、水深6212メートルの海の底で生きたイカを発見しました。
潜水艇の位置が高すぎて鮮明な映像を撮影することはできませんでしたが、非常に大きなヒレや独特の泳ぎ方などの特徴を見ることができた研究チームは、発見したイカをミズヒキイカの仲間だと推定しました。また、ミズヒキイカは非常に長い足を持ちますが、研究チームが発見した個体は足が比較的短かったことから、まだ幼魚の可能性が高いとのこと。ミズヒキイカは、以前水深約4735メートルの海で発見されたことがありますが、今回はその記録を1477メートルも縮める最深記録です。
以下は、今回の発見を報告した論文の筆頭著者であるアラン・ジェーミソン氏が以前別の場所で撮影したミズヒキイカの写真です。
by Caladan oceanic and Alan Jamieson
さらに、研究チームは6212~6224メートルの水深で、大きなヒレが象の耳に似ていることから「ダンボダコ」とも呼ばれているCirrate octopusも4匹発見しました。Cirrate octopusがこれほど深い海で発見されたのは今回が2回目で、ミズヒキイカの事例と同様に貴重な発見記録です。
論文の共著者で、海洋大気庁(NOAA)の動物学者であるマイケル・ヴェッキオーネ氏は「今回のダイビングで、本当に深い海溝の上部にも複数の種類の頭足類が生息できることが分かりました」と話しました。
ミズヒキイカは2021年11月にも撮影されており、以下の記事を読むと「まるで宇宙人のよう」と評される奇妙な形状をしたミズヒキイカの姿を鮮明に見ることができます。
まるで火星人のような深海イカ「ミズヒキイカ」の生きた成体の映像が公開中 – GIGAZINE
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