株式会社Deepworkは、改正電子帳簿保存法(改正電帳法)における電子取引情報の電子保存義務化に関して、企業の経理部門担当者などを対象に実施した調査の結果を発表した。2022年1月1日に施行された改正電帳法は、電子化された取引情報は電子データのまま保存することを義務化し、紙へ印刷しての保存は認めないというものだが、やむを得ない事情がある場合に2年間の猶予を認める経過措置が設けられた。この電子取引情報の書面保存廃止について92.5%が認識しており、経過措置についても75.7%が知っていたが、対応時期がまだ決まっていない企業も32.5%あった。
Deepworkは、「invox受取請求書」「invox電子帳簿保存」といったサービスを提供している事業者。今回の調査は「電子取引情報の電子保存義務化に関するアンケート」として、2021年12月15日~12月20日にインターネットで実施。過去にDeepworkのセミナーに参加、資料請求、名刺交換を行った543人を対象に行っており、回答者のうち約6割は経理部門またはDeepworkの電子帳簿保存サービスに興味を示している人が想定されるとしている。
調査では「あなたは、電子帳簿保存法の改正により、2022年1月1日から電子取引情報(メールに添付されて届くPDFの請求書など)を紙に印刷しての書面保存が廃止され、電子保存が義務化されることをご存知でしたか。また、電子保存ができないことについてやむを得ない事情があると認められ、従来どおり電子取引情報を紙で保存していれば、令和5年末までの2年間は、引き続き書面保存が可能になる2年間の経過措置が令和4年度税制改正大綱に記載されたことをご存知でしたか」と質問したところ、「電子取引情報の書面保存廃止」について「内容まで知っている」が92.5%、「聞いたことがある程度」が6.4%、「知らない」が1.1%だった。
また、「2年間の経過措置」については「内容まで知っている」が75.7%、「聞いたことがある程度」が19.9%、「知らない」が4.4%だった。
電子取引情報の書面保存の廃止と2年間の経過措置は多くの人が知っているが、具体的なスケジュールや導入するサービスが決定していない企業は多いようだ。「主なお勤め先では、電子取引情報の書面保存廃止について、いつから運用をはじめる予定ですか」との質問では、「2022年1月1日から運用をはじめる」が26.5%、「2022年中に運用をはじめる」が24.9%で、合わせて51.4%が2022年中に対応する予定とした。また、「2023年中に運用をはじめる」が10.6%、「2024年1月1日から運用をはじめる」が4.0%あった一方、「対応しない」が1.5%、「まだ決まっていない」が32.5%だった。
本来、電子取引情報の書面保存廃止は2022年1月1日から開始される予定だった。しかし、それに間に合ったのは26.5%に過ぎなかった。その一方で「対応しない」「まだ決まっていない」との回答が合わせて34.0%にも上る。
「電子保存ができないことについてやむを得ない事情があると認められ、従来どおり電子取引情報を紙で保存していれば、令和5年末までの2年間は、引き続き書面保存が可能になる2年間の経過措置について、あなたは好意的にとらえていますか」との質問には、「全く好意的ではない」が8.2%、「あまり好意的ではない」が16.8%、「やや好意的」が41.5%、「非常に好意的」が33.6%だった。
また、自由回答欄には「法改正に間に合うように準備してきた苦労が無駄になった感覚がある」「十分な準備が進められず単なる法律対応に留まってしまう恐れがあった」「2年あれば付け焼き刃の対応ではない効率的な業務フローが構築できる」などという意見もあったという。
電子取引情報の電子保存の運用開始時期について、導入済みまたは明確に開始時期を決めている企業の担当者229人を対象に「電子取引情報の書面保存廃止への対応は何らかサービスを導入して行いますか」と質問したところ、「サービスを導入して対応する」が58.5%、「サービスを導入せずに対応する」が21.4%、「まだ決まっていない」が20.1%だった。