陰謀論が猛威を振るった1年を振り返る–ワクチンめぐり生死も左右

CNET Japan

 陰謀論は新しいものではない。John F. Kennedy大統領暗殺をめぐる陰謀論は50年以上も続いている。「地球平面説」には多数の信者がおり、驚いたことにかなりの割合のミレニアル世代を含む。だが、2021年は陰謀論が致命的な結果をもたらす年になった。


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 2021年は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが続いた。これにより、健康と経済的困難に加え、陰謀論への関心の高まりももたらされたようだ。

 オーストラリア国立大学でソーシャルメディアにおける偽情報を研究するSimon Copland氏は「新型コロナウイルスのパンデミックで、オンラインでは予防接種、ロックダウン、その他の健康対策をめぐる偽情報が爆発的に増加している。こうした偽情報の多くは他の陰謀論由来のもので、パンデミックにおおわれた2年間で欲求不満が募る中、さらに多くの人々が陰謀論に巻き込まれている」と語った。

 そうした陰謀論はソーシャルメディアやインターネット全体にまん延した。FacebookやTwitterなどの企業は偽情報と戦うために新たなポリシーを導入しているが、それで問題が解消するとは思えない。

 2020年の米大統領選と新型コロナワクチンに関する陰謀論は、現実世界に影響を与えた点で、今年の多くの陰謀論の中でも際立っていた。陰謀論のすべてが危険なわけではないが、ソーシャルメディア上の偽情報に支えられた陰謀論は、1月6日の米議事堂襲撃と、パンデミックと戦うためのワクチンと健康対策への躊躇や怒りに貢献した。

新年早々の暴動

 2020年は、メディアとDonald Trump前大統領の双方がそれぞれ異なる理由で「大きな嘘」と呼んだもので幕を開けた。Trump氏は大統領選で敗北したが、この敗北は不正投票によるものだと主張した。ソーシャルメディアプラットフォームは、不正選挙に関する投稿の増加を抑制しようとモグラたたきを続けたが、追いつくのに苦労した。


1月6日に「盗みを阻止しろ」集会で演説するTrump大統領(当時)。集会の参加者が国会議事堂を襲撃したのは、この演説の直後だった。
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 Joe Biden氏の大統領就任を連邦議会が公式承認した1月6日、Trump氏の数千人のファンは「盗みを阻止しろ」集会に集った後、米国会議事堂を襲撃した。

 暴動や警察によって数百人が負傷し、4人の参加者が死亡した。2人は心臓発作で、1人は偶発的な急性アンフェタミン中毒で、別の1人は銃で撃たれたことが元で死亡した。4人は全員、陰謀論を信じ、Trump氏の大統領選での敗北を認めない支持者だった。議事堂の警察官も、暴動後に5人亡くなった。1人は翌日に脳卒中で、他の4人は数カ月のうちに自殺した。

 暴動の参加者の一部はQAnonの支持者でもあることが確認されている。QAnonは極右の陰謀論で、民主党員とハリウッドの著名人が参加する悪魔主義の陰謀団とTrump氏が密かに戦っていると主張するもの。Biden氏の大統領就任後もQAnon運動は続いており、Trump氏こそが米国の秘密の大統領だと何度も宣言している。QAnon支持者の中には、暗殺されたJohn F. Kennedy大統領の息子で1999年に亡くなったJohn F. Kennedy Jr.氏の復活を祈念する11月の集会に参加した者もいる。8月には、QAnon信奉者の男性が、陰謀論の啓示を受けたとして自分の息子を殺害した。

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