維新は抗議の委員長辞職
こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
国会の終盤、維新の井上英孝代議士は、衆議院における特別委員会の改革(整理統合)が進まないことに抗議の意を示し、辞任をされました。
なかなか世間一般の方には知られていないことではありますが、国会には特定テーマを集中的に審議するために「特別委員会」というものが設置されることがあり、衆議院は現在9つの特別委員会が存在します。
がっ!
集中的に審議するためにもかかわらず、開催実績がほとんどない委員会も散見される状態になっており、特に臨時国会の時は、わざわざ開会日に設置を議決するにもかかわらず、そのまま何も行われないことが常態化してきました。
どの委員会も開会実績は2回で数分程度。つまり、開会日と閉会日に手続き的に集まっただけで、審議・質疑など1分たりともしていません。
■
なぜこのように形骸化した特別委員会が多く残されているかと言えば、
・「委員長」というポストが欲しい、党内で回したい
・年間を通して配車される公用車を使いたい
・会期中は不開催でもなぜか出される委員長手当(日当6,000円)が美味しい
という身も蓋もない理由にほかなりません。
政界に入ってからずっと私には理解できないことですが、とにかく政治家・議員というのは「◯◯大臣」「◯◯長」等のポストと公用車が大好きで、みんな喉から手が出るほど欲しがっています。
しかし大臣ポストはなかなか回ってこないし、野党であればそもそも来ない。だからこの委員長ポストを所属議員たちに論考勲章的に回していき、委員長になった議員は名刺に嬉々として「◯◯委員会委員長」とか書くわけです。
こんな美味しい委員長ポストを減らすわけにはいかない、常任委員会だけではとても足りないから、開催する予定がなくても特別委員会はたくさん作っておいておけ!
ということが慣例化し、今に至る体たらくとなっています。
■
言うまでもないことですが、「特別」に審議をするためにわざわざ別立てで設置されている委員会なのですから、設置した以上は活発に開催して審議・質疑を行うべきです。
今回の臨時国会においても、予算委員会以外の常任委員会はほぼ開催されずに眠っていたわけですから、時間を持て余していた議員はいくらでもいたはずです。特別委員会を開いて審議をすればよかったのです。
こう言うとまたやれ「大臣の日程がつかない」「大臣が来ない質疑では意味がない」などと言い出すのですが、なんのために副大臣や政務官がいるのでしょうか。
審議実績がない特別委員会は廃止をして、常任委員会に吸収する。
審議時間が少ない特別委員会同士を統合して、数を減らす。
こうした努力・見直しをしなければ、とてもではないですが国民の理解を得られるとは思えません。
公用車も委員長手当も税金ですし、審議をしない委員会を儀式的に設置するためだけに、多くの官僚が振り回されていることも単なる無駄なコストです。
■
こうした問題は衆議院だけでなく、参議院も同様に起こっています。
「地方創生及び消費者問題に関する特別委員会」のように活発なものもある一方で、1~3時間程度しか審議がされていない特別委員会は、独立して存在している意義がどこまであるかと言われれば疑問符がつきます。
7つの特別委員会も、4ないしは5つくらいまで絞れるのではないでしょうか。現在は取り急ぎ、「災害対策特別委員会」と「東日本大震災復興特別委員会」という親和性の高い2つの委員会の統合を提言しているところです。
今回の衆議院では力及ばず改革が進みませんでしたが、維新は生産性・合理性の高い国会運営を目指し、前例にとらわれず改革案を提示して参ります。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2021年12月22日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。