アフガニスタンの「地上の星たち」

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時間は確実に過ぎ去っていく。2021年も2週間あまりとなった。コロナ禍で開け、閉じる1年となるが、感染症は2022年に入ってもその牙を治める気配がないどころか、さらに激しくなることが予想される。コロナ禍で開催された第32回東京夏季五輪大会は記憶の中で一輪の花のような輝きを残してくれたことは多くの人に救いとなった。忘れてならないのはアフガニスタンだ。イスラム原理主義組織「タリバン」が8月15日、アフガンを再び占領し、駐アフガンの米軍撤退で同国の情勢は激変した。

アフガンで女性の教育に献身するサケナ・ヤコ―ビ博士 wikimediaより(編集部)

アフガンで女性の教育を推進してきたサケナ・ヤコ―ビ博士(Sakena Yacoobi)からこの激動の年を振り返ったメールが届いた。博士は女性たちに教育の場を提供するために「Afghan Institut of Leraning」(AIL)という名称の非政府機関(NGO)の責任者だ。

博士は「私はより良い年を望んでいました。愛するアフガニスタンが混乱に陥るとは、予想だにしなかったことでした。アフガンから米軍の撤退後、誰も次に何が起こるかを予測することができませんでした。アフガンのガニ政府は崩壊し、私たちの国をタリバンの支配下に置いた時、私は私の人生の仕事が無に崩れ落ちたのを感じ、私たちの30年間の努力と国の再建における大きな進歩が消えてしまうのではないかと恐れました」と述べている。

そして、「戦争は公平な殺人者ではありません。女性と子供は常にこの男たちのゲームでの究極の犠牲です。アフガンもこの事実の例外ではありません。飢餓とトラウマは今や私たちの女性と子供たちの絶え間ない同伴者となっています」と説明している。

アフガンでは今年初めから新型コロナウイルスの感染が広がってきた。同時に、国土の半分以上は残忍な干ばつに見舞われ、食糧不足に直面する一方、多くの国民は仕事を失っていった。女性に対する暴力、家庭内暴力、幼児結婚、児童労働、人身売買は増加していった。

ヤコービ博士は、「コロナ禍、干ばつ、そして米軍の撤退…、アフガンの人々はこれまで経験したことがなかったほどの孤独さを感じ、恐怖すら感じた」と語っている。彼女はメールの中で、「ガニ政権は国の資産と私たちに残っていたわずかな希望さえ持って逃げました」と表現している。

そのような中で、博士が築き上げたチームのもとに多くの人々が救いを求めてきたという。栄養失調の子供たち、ロケットや弾丸で家を失った人々が息を切らして逃げてきた。「私たちはまだドアが開いている数少ない保健センターの1つでもあったので、多くの人が私たちの診療所に殺到し、助けを求めてきました。私たちの診療所や学校は国内避難民で一杯となりました」という。

「私たちは祈り始めました。目を覚ました時、平和と民主主義を教え、健康と法を教えている私たちの女性がいつまで安全であるか不安になりました」と正直に告白している。タリバンの統治者たちは、学校と学習センターを再開することを認めたため、少し呼吸できたが、銀行は閉鎖され、食べ物も薬もない状況が続いている。

「暗い日が続く時、私は何時間も泣き、絶望で圧倒されていた時、あなた方は救いの手を差し伸べてくれた。世界中から多くの人々が私たちの働きのために寄付し、支援し、擁護し、私たちに継続する力を与えてくれました」と報告し、感謝している。

最後に、「爆弾の落下が止まった今、AILは強力です。ラーニングセンターのカリキュラムを拡張して、6年生以降も引き続き、女の子に教えています。2つの新しい診療所を開設します。新しい統治者は女子生徒に女性教師のみを要求しているので、より多くの教師を訓練しています。私たちは、人々を保護し、自分たちと私たちの国のために、より良い未来を創造する能力を持つ人材を育成するために、必要なことは何でもするつもりです。子供たちに本を渡します。私たちは彼らに読み書き、そして数学を教えます。私たちは彼らに夢を教えるでしょう。平和で繁栄するアフガニスタンが必ず実現できるという夢を彼らが見失わないように今後も歩んでいきます」と記している。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2021年12月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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