鬼束ちひろ容疑者をいじるな 「メンヘラ」と安易に言ってはいけない

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鬼束ちひろが逮捕された。救急車の後部のドアをけってへこませたという。器物損壊の現行犯逮捕だ。知人の女性のために救急車を呼んで、通行人とトラブルになったそうだ。本人も容疑を認めているという。

鬼束ちひろ容疑者 現行犯逮捕 路上で救急車をける(フジテレビ系(FNN)) – Yahoo!ニュース
歌手の鬼束ちひろ容疑者(41)が、JR恵比寿駅近くで救急車をけった器物損壊の現行犯で逮捕された。 鬼束ちひろ容疑者は、28日午後4時半ごろ、渋谷区恵比寿西の路上で、救急車の後部のドアをけってへこま

鬼束ちひろさん公式HPより

いかなる理由であれ、救急車は患者を運ぶためのものであって、サンドバッグではない。蹴って凹ませてはいけない。

ただ、鬼束ちひろ逮捕をめぐるTL上の言葉で、私自身も激しく傷ついてしまった。カッコつきで説明するが「メンヘラ」というコメントである。彼女の過去のビジュアルなどを利用した大喜利まで始まった。

たしかに、過去に彼女の言動が明らかに奇異に感じる時期があったことは事実ではある。ログも残っているし、報じられてもいる。特に一部の著名芸能人に対する誹謗中傷、さらには脅迫は容認されるべきものではない。

ただ、状況もよくわからないままに、逮捕の事実だけで「メンヘラ」を「いじる」のもこれまた暴力的である。そして、仮に心の問題があったとしたら、なおさら「いじって」はいけない。本人の自己管理や、心の強さだけの問題ではないからだ。そもそも、アーティストは存在自体が不安定でもある。


編集部より:この記事は千葉商科大学准教授、常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2021年11月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。