老舗オークションハウスがNFTやメタバースに進出、オークションはどう変わっていくのか?

GIGAZINE


by Marco Verch Professional Photographer

非代替性トークン(NFT)アートが史上最高額の75億円で落札されたことで注目を集めたオークションハウス・Christie’sでアメリカでのマーケティング責任者を務めるネダ・ホイットニー氏が、NFTやメタバースとオークションの新しい関係について語っています。

How Christie’s Is Pitching Its Expansion From Picassos to NFTs – WSJ
https://www.wsj.com/articles/how-christies-is-pitching-its-expansion-from-picassos-to-nfts-11637700438

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、オークションハウスの利用者に占める若者の割合は急増しつつあり、記事作成時点では入札者の4分の1がミレニアル世代とのこと。さらに、新型コロナウイルスにより多くのオークションがインターネットに移行したことで、インターネットと親和性が高いNFTのような新しい分野のアート作品が台頭するようになっており、1766年にイギリスで発足したChristie’sなどのオークションハウスもこの流れを積極的に取り入れています。


そんなChristie’sに2021年1月に入社したホイットニー氏は、WSJの取材に対し「私の目標は、Christie’sのストーリーをあらゆるお客様の心に届けることです。多くの人にとって、Christie’sはピカソの絵画を1億ドル(約114億円)で売るオークションハウスというイメージですが、実際にはスニーカーなどのストリートウェアからワイン、時計、ジュエリーなどさまざま品物を手がけており、NFTもその1つです」と話しました。

ホイットニー氏によると、Christie’sの買い手の34%は新規の顧客であり、2021年にNFTを買ったり入札したりした人の72%はChristie’sを利用し始めたばかりの顧客とのこと。NFTや暗号資産への関心が高い、若く裕福な顧客の増加により「ラグジュアリー」という言葉の定義も変わりつつあるそうです。

こうしたオークションを取り巻く環境の変化について、ホイットニー氏は「これまでで最も大きな変化は、NFTコミュニティとの交流を始めたことです。私たちはTwitterでも活動していますし、Discordアカウントを持っている人もいます」と話しました。

NFTへの参入を進めるChristie’sが特に力を入れているのが、TwitterやTikTokなどのSNSの活用です。例えば、Christie’sは9月にサルのプロフィール用画像のNFTコレクションである「Bored Ape Yacht Club」のうちスーツを着たイラストの特集を行い、その際に使った「#suitson4christies」というハッシュタグはChristie’sにとって初めてのトレンドになりました。


また、Christie’sはメタバースへの進出も検討しています。ホイットニー氏によると、Christie’sはすでにさまざまなベンダーとメタバースについての協議を開始しており、その中にはブロックチェーンをベースにしたVRプラットフォームであるDecentralandも含まれているとのこと。また、メタバースの中にバーチャルなギャラリーを展示することも考えているそうです。

by Duncan Rawlinson – Duncan.co

そんなChristie’sの成功をどのように捉えていくのかについて、ホイットニー氏は「成功にはさまざまな指標があり、その中には新規顧客の獲得や投資収益率といった直接的なものもあります。また、顧客がブランドに抱く親近感の指標であるブランドアフィニティなどの測定も12月から開始する予定です」と述べて、さまざまな角度から新しい時代のオークションへの適応度を推し量っていく考えを示しました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

Source

タイトルとURLをコピーしました