ランサーズ株式会社は11月12日、「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」を発表した。2021年10月時点でフリーランス人口は約1577万人、経済規模は約23.8兆円であることが分かった。調査を開始した2015年と比較すると、フリーランス人口が約640万人、経済規模が約9.2兆円増加している。推移を見ると、2020年に一旦減少したものの、2021年1月に人口・経済規模がいずれも大きく増加。「コロナ禍でフリーランス市場は大きく拡大したことが分かる」(ランサーズ)としている。
内訳としては、1)常時雇用されているが、副業としてフリーランスの仕事を行う「副業系すきまワーカー」、2)雇用形態に関係なく、2社以上の企業と契約ベースで仕事をこなす「複業系パラレルワーカー」、3)特定の勤務先を持たない独立したプロフェッショナルの「自由業系フリーワーカー」、4)1人で経営しているオーナー「自営業系独立オーナー」の4形態のうち、特に「自由業系フリーワーカー」と「自営業系独立オーナー」の2形態が大きく増加した。これは米国の状況と似ているという。
調査は9月30日~10月4日、過去12カ月に仕事の対価として報酬を得た国内20歳以上の3094人(うち、フリーランス1548人)を対象にオンラインで行った。
フリーランスの3割以上が「マネジメント経験」、在宅勤務で時間に余裕か
また、フリーランスの5割近くの839万人が、業務をオンラインで完結させたことがあることが分かった。オンラインで働くフリーランスは、フリーランス全体の平均よりも年間報酬額が10万円ほど高く、1週間の勤務時間が1時間短い結果となっている。
さらに、過去・現在にマネジメント経験がある人が518万人と、フリーランスの3割以上となった。これは、コロナ禍の影響で拡大した在宅勤務により、時間に余裕ができたマネジメント層がフリーランスとしての働き方を実施したためだと考えられるという。
このほか、フリーランスの77.1%にあたる1216万人が、「自身の仕事に対してプロフェッショナルな意識を持っている」と回答しており、仕事への意識の高さがうかがえた。
「スキルの学びへの意欲」が高いフリーランス、特に若年層で
今回の調査では、フリーランスとノンフリーランスでスキルの学びについて質問したところ、「仕事をしながら新しい学びを得ていきたい」と回答したのは、フリーランスが60.9%、ノンフリーランスが52.8%となり、フリーランスのほうが学びに対する意欲が高いことが分かった。特に20~40代の若い層のほうが新しいスキルを学ぶ意欲が高かったという。
今後新たに学びたいスキルについては、20~40代では「プログラミング」という回答が最も多く、そのほかには「動画撮影・編集」や「ウェブデザイン」といったスキルが上位となった。また、現在持っているスキルとしては、「接客スキル」や「営業スキル」との回答が多く、デジタルスキルを持つ人はまだ少ないことが分かった。今後、デジタルスキルの「リスキリング(学び直し)」は広まっていくことが考えられ、デジタルスキルの取得がフリーランスの間で広まることにより、今後拡大するIT人材不足に貢献できるとランサーズでは予想している。