東急、ホテルの住み放題サービス「TsugiTsugi」–移動、荷物の課題は他社と手を組み解決へ

CNET Japan

 東急は、定額制回遊型住み替えサービス「TsugiTsugi(ツギツギ)」の第2弾募集を開始する。利用可能宿泊施設を78拠点へ拡大したほか、ANAグループとの連携による「ANA SKY コイン」特典やいつでもどこでも荷物が取り出せる「サマリーポケット」など各種サービスと連携し、機能を拡充する。募集は専用ウェブサイトから11月22日の12時に開始。400名限定で受け付ける。


定額制回遊型住み替えサービス「TsugiTsugi」。ホテルの客室でテレワークもできる

 30泊、90泊、180泊の3プランを用意し、それぞれに「スタンダード」と「Enjoy+」の2スタイルを用意。特典として30泊ごとにANA SKY コインが付与されるほか、Enjoy+では東急ホテルズギフトカード2万円分がもらえる。


プランと料金

 TsugiTsugiは「旅するように暮らす」をコンセプトにした定額制住み放題サービス。4月に先行体験メンバー100名を募集したところ、応募総数は933名にのぼり、満足度88%という結果を残した。第2弾は、先行体験メンバーのアンケートやインタビューから浮かび上がってきた要望、不満点などを反映し、実施するもの。東急 ホスピタリティ事業部 アコモデーション戦略グループ 課長補佐の川元一峰氏は「非常に大きなバージョンアップをして、新しい暮らし方を定義するサービスとして帰ってきた」と表現する。

 先行体験で出てきた要望の1つが「行きたいエリアに施設がなかった」「予約がなかなかとれなかった」という滞在先に関する不満。これを受け、39だった施設数を78にまで倍増。エクセルホテル東急や東急REIホテルに加え、スノーリゾート地にある「ホテルタングラム」や長期滞在向けホテル「東急ステイ新宿イーストサイド」、テーマパークホテルである「ザ パーク フロント ホテル アット ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」などを加えた。

 また「移動費が想定以上にかかった」という声に応え、ANAグループと提携し、全プランでANA SKY コインを付与。「リゾートでは周辺での移動手段が少ない」という意見に対して、個人間でクルマをシェアするカーシェアリングサービス「Anyca(エニカ)」と提携し、20%オフで利用できるクーポンを用意する。

 荷物の取り回しについては、宅配型トランクルームを展開する「サマリーポケット」と提携したことに加え、東急ホテルズ施設で数日間の荷物預かりを実施。チェックインまでのすきま時間に仕事をする場所がほしいという声を受け、「カラオケ館」と提携し、いつでも20%オフで使えるクーポンを付与するという。


各企業、サービスとの連携

 「今回のバージョンアップは、先行体験していただいたお客様の実体験を踏まえて実施したもの。多くの企業に参画していただいたが、根底にあるのはライフスタイルの多様化。企業もそれに寄り添って対応していく必要性を認識していると思う」(川元氏)と話した。

 モニターとしてTsugiTsugiを先行体験したユーザーの小西さんは「妻と2人で利用したが、お互い旅行好きのため、ワーケーションのような働き方に憧れはあったが、移動費用などがかかるため踏ん切りがつかなかった。今回同伴者1名が無料ということもあり、チャレンジしてみようと踏み切れた。1週間に渡って利用したところ、平日は客先に行くことが多いため都心のホテルを利用し、休日は足を伸ばして富士山三島東急ホテルを利用した。一番感じたのは、移動のフットワークが軽くなるということ。加えて刺激のある毎日が送れた」とコメント。一方、不便だった点に対しては「荷物の持ち運びが大変だった。今回は1週間だったので、毎日荷物を持ち運んだが、長期利用になれば荷物を預けるなど、この部分はだいぶ解消されるのではないか」とした。


モニター体験をした小西さんの行程

対象施設の1つである「羽田エクセルホテル東急」は第2ターミナルのすぐ横に位置するという好立地。チェックアウト後すぐに飛行機に乗ることもできる

羽田エクセルホテル東急では、ファーストクラスシートを設置した客室も用意。滑走路VIEWで窓の外の風景も楽しめる

 TsugiTsugiは、東急の「社内起業家育成制度」から生まれたサービス。2016年に実施された税制改正で通勤手当非課税の上限が15万円に拡大したことを受け、川元氏がアイデアを出したという。「通勤15万円でどこまでいけるか調べたら長野県上田市だった。通勤圏内が広がる一方、当時、開通したばかりの北陸新幹線ではWi-Fiや電源が完備され、新幹線の中で仕事ができる環境が整っていた。こうしたことを受け、職場に縛られない生活やいろいろな街をめぐる暮らしができないかと考えた。しかしあの頃はテレワークという言葉も普及しておらず、事業としては保留という形になったが、3年以上を経て、新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言などもあり、今回形にできた」(川元氏)と話す。

 川元氏は「ホテルの住み放題サービスは次世代のライフスタイルとしての定着を目指し、さらなるサービスのバージョンアップを継続する。新しいライフスタイルをみんなで作っていきたい」とした。


東急 ホスピタリティ事業部 アコモデーション戦略グループ 課長補佐の川元一峰氏

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