メモ
Wikipediaは誰でも編集することが可能であることが特徴の1つで、記事に情報の追加を行う際には確かな情報源をもとにすることが求められていますが、実際にはルールは完全に守られているとはいえません。実際に、ある連続殺人犯に関する項目において掲載されていた写真が、同姓同名の赤の他人であるという事態が発生しています。
A victory for free knowledge: Florida judge rules Section 230 bars defamation claim against the Wikimedia Foundation – Diff
https://diff.wikimedia.org/2021/10/05/a-victory-for-free-knowledge-florida-judge-rules-section-230-bars-defamation-claim-against-the-wikimedia-foundation/
Wikipedia:Wikipedia Signpost/2021-10-31/Opinion – Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:Wikipedia_Signpost/2021-10-31/Opinion
Man confused with ‘Robocop’ killer on national TV sues Discovery Channel for defamation
https://www.tallahassee.com/story/news/2020/08/28/man-confused-robocop-killer-national-tv-sues-discovery-channel-defamation/3442125001/
問題があったのは、ニューヨーク州で1991年から1992年にかけて6人の女性を殺害したNathaniel White(ナサニエル・ホワイト)という連続殺人犯に関する記事です。
Nathaniel White – Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Nathaniel_White
記事は2008年5月12日にKafzielというユーザーによって作成されたもので、2018年5月28日、Vwanwebというユーザーにより写真が追加されました。写真のソースは「crimefeed.com」で、連続殺人犯ナサニエル・ホワイトに関する記事が2017年8月2日に掲載されたことが確認されています。
CrimeFeed – Investigation Discovery’s True Crime Blog(2017年8月3日時点のインターネットアーカイブ)
https://web.archive.org/web/20170803013144/http://crimefeed.com/
このサイトはディスカバリーチャンネルが所有するもので、ディスカバリーチャンネルは2018年8月13日にナサニエル・ホワイトに関する犯罪ドラマ「Evil Lives Here」を放送し、番組内でこの写真を使用しました。
ところが、写真は連続殺人犯とは無関係なフロリダ州在住のアフリカ系アメリカ人、ナサニエル・ホワイト氏のものでした。誤認された理由は、どちらも黒人であったことと、誤認されたホワイト氏に前科があったことなどが考えられます。誤認されたホワイト氏は2013年に釈放されていて、連続殺人犯のホワイトより7歳年上です。
CrimeFeedの写真がいつ削除されたのかは不明ですが、Wikipediaに掲載されている写真が別人のものであることは報道機関から指摘があったとのことで、2020年9月4日にIPユーザーによって削除されました。
殺人犯であるとして誤って写真を掲載されていたホワイト氏は2020年にディスカバリーチャンネルを、2021年1月にWikimedia財団を訴えました。
このうち、Wikimedia財団を相手取った裁判について、フロリダ州の裁判官は通信品位法第230条により、サービスプロバイダは第三者作成のコンテンツに対する責任が免除されているとして、訴えを却下しました。
Wikimedia財団によれば、訴えの中で原告はWikimediaがコンテンツの作成・キュレーションを行っていないにもかかわらず、すべての投稿について責任を負うべきと主張しており、これが通信品位法第230条と矛盾するため、却下されることになったとのこと。
Wikipedia内のオンライン新聞である「Wikipedia Signpost」は、写真をアップロードしたVwanweb氏はWikipediaにおいて犯罪に関する記事の編集に積極的に携わっている人物で、人種差別的な意図や悪意を持って写真をアップロードしたのではなく、単にコミュニティの慣習に従っただけだと推測しています。
なお、この件ではGoogleによって誤った情報の拡散が続いており、「ナサニエル・ホワイト」の名前で検索したとき表示される写真のうち、連続殺人犯ナサニエル・ホワイトを示すものはわずかな白黒写真だけで、カラーで表示されるアフリカ系アメリカ人男性の写真は誤って掲載されたホワイト氏のものだとのことです。
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