島というものがある。日本自体が島ではあるが、さらに島が浮かんでいる。大小様々で、無人島もあれば有人島ともある。旅行に出かけた際に、船に乗り島に行くと、遠くに来たなと感じる。
島にもよるが、アクセスが楽な印象はない。駅から港まで行くとしても、その駅がその都道府県のメインとなる駅から離れていることも少なくない。でもあるのだ、アクセスのよい島が。しかもその島は、福岡県で人口、面積が最小らしい。ぜひ行こうではないか。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)
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大都会とは北九州
大都会の定義は難しい。ただ県庁所在地だったり、政令指定都市だったりは大都会と言っても問題ないのではないだろうか。その中でも、メインとなる駅があるはずだ。たとえば政令指定都市である北九州ならば「小倉駅」がそれに当たる。新幹線の「のぞみ」も停まる駅だ。
北九州は福岡県にある政令指定都市だ。人口は100万人弱。山梨県や鳥取県の人口より多い。小倉駅からは電車はもちろん、先に書いたように新幹線も走れば、モノレールも走っている。近くにはリバーウォーク北九州という大型複合商業施設もある。
小倉駅からすぐの「魚町銀天街」は日本初の屋根つき商店街。今も多くの人で賑わっている。その先にある「旦過市場」は趣の塊のような感じで、奥にはモノレールが走り新旧が入り混じった景観を作り出す。
この旦過市場は再開発が決まっているので、もうすぐこの景色はなくなる。2022年から解体が始まり、2027年に完成予定だ。地上4階建ての複合商業施設となる予定で、1、2階部分が店舗、その上からは駐車場になるそうだ。
ここまでで小倉駅周辺が大都会であることがわかるはずだ。私が住んでいた地域でもあるので、大都会と言い切りたいと思う。北九州は大都会で小倉駅はその中心です。そしてここまで紹介した場所は基本的には小倉駅南口のお話。今回は北口である。
大都会から30分
北口には先に書いたような大きな商店街などはないが、大きなホテルや「あるあるCity」という漫画ミュージアムなど、ポップカルチャーを発信する施設がある。大都会の景色であることは間違いない。間違いないのです。
この北口から歩いて10分弱ほどの場所に小倉航路と呼ばれる渡船乗り場がある。そこから船に乗り20分で「馬島」という島に行くことができる。この馬島が福岡県の有人島では面積、人口共に最小となるのだ。
この渡船は1日3便出港している。小倉を出発して馬島を経由して藍島に行く。藍島はそこそこ大きく島内に小学校もあるし、もちろんお店もある。今回この渡船に乗った結果、多くの人が馬島では降りず、藍島へと渡っていった。
船からは「ミクニワールドスタジアム北九州」が見える。日本で一番海に近いスタジアムとも言われ、ボールが海に落ちてしまうこともある。これを「海ポチャ」と言うそうだ。船から見ると、その理由がよくわかる。もはや海だもん。そりゃ「海ポチャ」するよ。
北九州と言えば工業地帯だ。サイバーパンクでカッコいい。大きいので近いと全体像を掴むことは難しく、離れると違う建物が入ってしまうけれど、船からだとそれがない。存分に工場を楽しむことができる。
この辺りは関門海峡もあり、多くの船が走っている。なかなかにいろいろな種類の船で面白い。漁船も走れば、私が乗っているようなフェリー、工場に何かを運ぶ大きな船など、見ていて飽きない。20分があっという間。むしろ忙しいまである。見るものが多くて。
大都会から異世界へ
小倉駅から10分弱、港から20分で馬島に到着してしまった。東京・狛江に住む私が自宅から新宿に向かうのが30分くらいなので、新宿に行く感じで、県内で面積・人口共に最小の島に行けてしまうわけだ。便利。
面積は0.26平方キロメートル、2015年の情報によれば世帯数は11世帯、人口は31人とのこと。逆に小倉駅の南口からモノレールで30分行ったら企救丘なので、世帯数11、人口31なんてことはない(企救丘は住宅街なので)。30分前までは大都会にいたのに、と思うと不思議な感覚に襲われる。異世界に来た感じだ。
この島ではワケギが育てられている。畑を見ると土というより砂。わかりやすく整備されている道はそんなに多くないのだけれど、そんな道を歩くとワケギ畑を見ることができる。とてもワケギなのだ。
島には商店のようなものは存在しない。唯一あるのは自販機くらいだろうか。その自販機だって1台しかない。30分前までは商店だらけ、自販機だらけの場所にいたのに、30分でこんなに変わるのだ。逆を言えば30分で大都会に行けるのは便利だ。
港には漁船が停泊している。「アカモク」がこの島の名産の1つのようだ。アカモクは海藻で粘り気があり、 鉄、亜鉛、銅、マンガンなどを豊富に含み、食物繊維やポリフェノールなどもあり、美容と健康にいいそうだ。
馬島にはお店がないので上記のドレッシングを買うことはできない。自販機にも当然ないからね。ただ馬島のアカモクが使われたドレッシングが北九州空港で売られていた。美味しかった。粘り気と酸っぱさが適度で美味しかった。馬島は美味しいのだ。
大都会と海と化石
馬島は起伏がない地形なので歩きやすい。歩くとお腹いっぱいに自然を感じることができる一方で、遠くには工場が見える。そのアンバランスな感じが面白い。大都会から30分だからいろいろな景観を作り出すのだ。
島には1つだけ神社がある。大山祇神社だ。狛犬の代わりのように砲弾が置いてある。階段を上り振り向くと猫が歩いていた。猫の島なのだ。のんびりとした時間が流れる。大都会から30分なのに。
海は綺麗だし、緑も豊か。大都会から30分、素晴らしい場所だ。そして、この島では貝やクジラの化石、縄文時代の土器などが発見されたそうだ。海岸線を歩くと確かに化石的な何かがありそうな気配を感じる。
化石を自分で見つけてみたいという夢を私は持っている。あと、流れ星を見たことがないので、流れ星を見てみたいという夢もあるのだけれど、この島では化石の夢だ。
博物館でしか化石を見たことがなかったので、ぽいものを見つけたけれど、これが化石なのかわからない。貝の化石な気がするけれど、化石なのだろか。できれば貝ではなく、クジラの化石を見つけたかったけど。クジラの骨格の。
小倉駅から歩いて30分弱の場所に「勝山公園」がある。広い公園なのだけれど、その一角にクジラの化石っぽいものがある。これを今回私が自力で見つけた化石ということにしたい。化石なのか謎だけれど。そもそも遊具だし。
クジラがいて、シマウマがいて、ゾウがいて、タコがいて、ドラゴンもいるというカオスな公園だ。北九州は素晴らしい。小倉駅の北口から30分行けば自然豊かな異世界感ある島があり、南口から30分行けば、クジラが転がるこちらも異世界みたいな公園がある。
大都会から島へ
たまにどこかのどかなところに行きたいな、と思うことがある。住んでいる場所にもよるけれど車が必要だったり、遠かったりするので行かないのだけれど、馬島は便利だった。小倉駅から近いし、船で20分だし。合計で30分だよ。問題は1日船が3便なことかな。ただ乗ってしまえば、乗船中も楽しい。