地方自治体向けソリューションの開発・販売を行うGcomホールディングス株式会社と、AIとIoTを活用して空き情報を配信する株式会社バカンは、宮崎県都城市にて、避難所の混雑可視化や非接触型の避難所受付をはじめとしたサービスを提供する。2社によると、このサービスの本格運用は同市が全国初。
同市は、宮崎県の南西端に位置し、県庁所在地である宮崎市に次ぐ主要都市。「都城デジタル化推進宣言」のもと、「誰一人取り残さない、人の優しいデジタル化」をテーマに全国に先駆けて行政のDXを推進している。
近年、全国的に大雨や台風による被害が甚大化しているほか、コロナ禍においてソーシャルディスタンスなどが求められ、各避難所の収容可能人数が従来と比べて少なくなる可能性がある。また、自治体などの避難所を運営する側においては、避難者の情報登録などの情報集計・共有、備蓄物の管理などの多くの課題が発生する。同市ではほかの自治体に先駆けてこれらの課題を解決することを目的とし、Gcomホールディングス、バカンの2社と連携。官民による避難所のデジタル化サービス構築に着手したという。
本サービスで提供する主な機能は、「避難所の定員管理と空き避難所検索」「非接触型スマート受付」「避難所の在庫管理」「避難所伝言板」の4つ。
1つ目の避難所の定員管理と空き避難所検索は、避難所の混雑可視化サービスのことで、PCやスマートフォンから利用できる地図サービスを利用した「マップ型リアルタイム混雑情報配信サービス」にアクセスし、各避難所の位置や込み具合を確認できる。これにより、住民の判断で分散避難を図れるほか、職員の案内業務の軽減も期待できるとしている。
2つ目の非接触型スマート受付は、スマートフォンを用いて、事前にユーザー登録をしておき、避難所でQRコードを提示するだけで受付ができるもの。ほかにもマイナンバーカードや免許証などの身分証をカメラ式OCRで読み取ることで受付ができるため、避難者の負担を軽減、自治体による避難者の情報登録や集計の時間を大幅に短縮できるとしている。
3つ目の避難所の在庫管理は、各避難所にある保管物資などの情報を集約し、災害対策本部で一括管理ができる。これにより物資補給がスムーズになるという。
4つ目の避難所伝言版は、対策本部と各支部や避難所との間でコミュニケーションを取るためのサービス。本部から各避難所への全体配信で速やかな情報共有を図ったり、さまざまな検索機能によって情報が急増する中でも必要な情報を的確に見つけたりできるという。
同市および2社は、この取り組みを通して、避難者へ負担をかけることなく、スムーズな避難所運営を図るために、避難者、避難所運営者、そして災害対策本部の効率化が期待できる仕組みの構築を目指していくとしている。