2021年10月21日から11月3日までの期間限定で、全国のはま寿司にて始まった「九州・瀬戸内フェア」。今回もどのような感じか探るべく、さっそく食べにいってみることに。
公式HPによると、「活〆ぶりや高級魚のどぐろが登場!」とのこと。ぶりと言えば12月ごろから(いわゆる「寒ぶり」)が旬だと思うが、少し早めの今の時期に食べた経験はほとんどなかった気がする。じっくり食べていこう。
・ぶり祭り
とりあえず公式HPの期間限定メニューに載っているものから……と思ったのだが、今回は店舗のテーブルに置いてあったフェア対象商品のメニュー表に載っているものも含め、それらから過去のフェアから引き続き登場しているものを省いて注文してみた。
理由は単に、HPには掲載されていないが店舗のメニュー表には載っているものの中に、面白そうなものがいくつかあったからだ。
そういうわけで、最終的に注文したのは全19種! 多いなオイ。
・ぶり
それら19種のうち5種類が ぶり の寿司だ。ということで、まずは先に全てのぶりシリーズを紹介していこう。まずは「九州・瀬戸内産 活〆ぶり(税込み110円)」。
全てのぶりシリーズの基本。食べてみると、ほど良い歯ごたえと、多すぎず少なすぎない脂を感じさせる旨味と柔らかさ。冬のでっぷりと太って脂がのりまくった状態もイイが、沢山食べるなら今の時期の方がアリかもしれない。
ぶりに限った話ではないが、旬に脂がのりまくっている状態はどの魚もとても美味いものの、沢山食べようとすると、その脂が重く感じられるものだ。旬の少し前というのは、割とアリなのかもしれない。
値段が税込み110円のぶりシリーズには、他に「ゆず塩炙り」と「漁師漬け」がある。
「ゆず塩炙り」は、炙ったことによって脂の旨味が強調され、これはこれで美味い。テーブル備え付けの藻塩で塩気を強めてもグッド! 「漁師漬け」は柔らかい食感が面白いが、漬けフレーバーが少し物足りない感。個人的にはノーマルか「ゆず塩炙り」の2択だと感じた。
続いてはお値段が税込み165円のぶりシリーズだ。まずは「九州・瀬戸内産 活〆ぶり おろし盛り」。
そして、「九州・瀬戸内産 活〆ぶり すだちおろし」。
ちょ、待てよ。大根おろしを追加してプラス55円なのは、まあわかる。しかし、すだちがついてもお値段一緒とはいかに。いちおう両方食べてみたが、ぶっちゃけ「すだちおろし」1択だと思う。
大根おろしが加わると、どうしても水っぽさが増す。今の時期のぶりはまだ脂が乗りきっておらず、味はややさっぱりしている。それは良さでもあると思うのだが、風味が希釈される大根おろしと合わせる難易度は高いと思う。
一方で「すだちおろし」版はアリだ。ただし、大根おろしは自分で程よい量に減らした(勿体ないとは思うが)方が良いだろう。いくら何でも盛りすぎだ。大根おろしを減らし、ガッツリとすだちを絞る! そして醤油を垂らして食べると、フレッシュなサラダ的な感じでパクパクいける。
という感じで、税込み110円と165円の異なる価格帯で、九州・瀬戸内産のぶりが合計5種も出ている今回のフェア。そんなにぶりばっか出さなくても……と思ったが、食べてみたら様々なスタイルでぶりを楽しむことができた。実質ぶり祭り。
・生さば
ぶりが圧倒的勢いを見せる中で筆者が個人的に気になったのが「九州産 生さば(税込み110円)」だ。鯖の生食文化は、日本全体で見ると一般的ではないと思う。
理由はまずアニサキスだろう。鯖にはよくアニサキスがいるし、逆にまとまった数のアニサキスが欲しい時は生の鯖を買えばいい。アニサキスを殺すには特定の条件下で、1日以上冷凍しなければならない。
また、傷むのがめちゃくちゃ速いというのもあると思う。鯖は、自らが持つ消化酵素がゆえに傷むのが早い魚の一つ。それらが重なり、他の地域では鯖の生食が定着し辛いのではなかろうか。
しかし九州には鯖の生食文化がある。特に愛媛県と大分県を隔てる豊予海峡で捕れる「関サバ」の刺身は有名。筆者も子供の頃に九州で生の鯖を体験した。まあ、それはちょっとしたトラウマになったのだが……。
そんな鯖だが、今回のフェアで「はま寿司」はしれっと生の鯖をブチ込んできている。もしかしたら、今フェアで最も九州らしい寿司かもしれない。
鯖シリーズも3種展開で、他に「九州産 炙りさば(税込み110円)」と、「生さばの漁師漬け(税込み110円)」がある。
それぞれ食べてみたが、やはり生が一番だ。とはいえ、炙りと漬けも中々美味い。これは3種コンプをお勧めしたい。炙りは表面の火の通った鯖のウマさと、裏側の生の鯖のウマさの両方が同居している。
漬けは初めて食べる不思議な感じ。醤油無しにそのまま食べてもいい。生姜の風味と、少し甘めな漬けのフレーバーのコントラスト。そして漬けた魚肉特有の柔らかさが面白い。
・生しらす
面白さで言えば、「瀬戸内海産 生しらす握り(税込み110円)」も見逃せない。
東京や埼玉、神奈川辺りだと、江の島などでよく出てくるので割と馴染みがあるのだが、土地によっては縁遠いのではなかろうか。チュルッとしていて美味い。ちなみに近くのテーブルで幼児が「こっち見てる」と言ってビビッていた。まあ、シラスと目が合うこともあるよね。
・鰹のたたきと炙りのどぐろ
さて、お次は「鹿児島県産 藁焼き鰹たたき(税込み110円)」について。
これは美味い。間違いなく美味いし、コスパ的にも強い方。だがしかし、9月に開催された「中とろ祭」で最高だった「大切りかつお」と比べると、パワーダウンしている感は否めない。美味さは同じくらいだが、サイズが違いすぎる。
そして同じことが「下関産 炙りのどぐろ(税込み308円)」にも起きている。こちらも「中とろ祭」では1皿2貫で165円だった。それが、今回は1皿1貫で308円。下関のノドグロは確かに有名だが、やはりパワーダウン感。産地が有名だと、コスパ的に厳しくなるのは逃れられないか。
とまあこんな感じで、割とバリエーションが豊かかつ、九州・瀬戸内方面の特徴がよく感じられるフェアだと思う。特にぶり好きと、生さば好きにお勧めだ!