10月19日~22日に完全オンラインで開催中の「CEATEC 2021 ONLINE」。数多くの企業・団体がブースを出展しているが、この記事では再生可能エネルギーの活用や効率化技術など、いわゆる「カーボンニュートラル」関連の見どころ展示ブースをピックアップして紹介する。本記事では「各ブースの詳細」をお伝えするのではなく、「特に注目できるブースを紹介する」視点でまとめている。気になるブースがあったなら、実際のブースで確認してもらうのがいいだろう。
SDGsへの貢献は昨年以前のCEATECでも大きなテーマとなっていたが、今年の展示ブースでは特にカーボンニュートラルに言及する企業が目立つ印象だ。国内におけるカーボンニュートラルへの注目度は、2020年10月の臨時国会での菅義偉内閣総理大臣(当時)の所信表明演説で「2050年までの脱炭素社会の実現を目指す」との宣言がなされて以降、大きく高まっているため、そのような状況を反映してのことだろう。
傾向としては太陽光や洋上風力発電といったエネルギー関連技術の割合が大きく、スマートシティ・スーパーシティ構想と絡めたソリューションを展開するブースも多く見られた。
村田製作所・戸田建設
株式会社村田製作所と戸田建設株式会社は、カーボンニュートラルに向けた取り組みでのコラボレーションを実施。現在は実証事業の段階であるバーチャルパワープラント(VPP)構築技術の検証・ノウハウの蓄積や、建設現場への太陽光発電システムの導入、コンパクトな風力発電システムなど、村田製作所の製品を活用した建築関係のソリューションを展開している。
シャープ
シャープ株式会社のブースでは、主にシャープエネルギーソリューション株式会社の法人向け太陽光発電系ソリューション「PPAサービス」や住宅向けのHEMSサービス「COCORO ENERGY」を紹介している。PPAは「Power purchance agreement」の略称で、企業の敷地などに事業者が太陽光発電設備を無償で設置し、発電した電力を自家消費することで環境貢献と電力コストの削減を実現するというもの。COCORO ENERGYは、エネルギーマネジメントを独自のAIがユーザーに代わり実現するクラウドサービスだ。
ニチコン
ニチコン株式会社のブースでは太陽電池とEV(電気自動車)の大容量電池、蓄電池の3つの電池をDCリンクしたトータルシステム「トライブリッド蓄電システム」に関する展示を行っている。太陽光で発電した電気を家庭で使いつつ、余った電力をEV充電に活用することで、カーボンニュートラルに貢献できるとしている。そのほか、同社製の無停電電源装置(UPS)や研究・医療用特殊電源の展示なども実施していた。
東芝
株式会社 東芝のブースでは、今年のCEATEC AWARDで経済産業大臣賞とカーボンニュートラル部門賞を同時受賞したペロブスカイト太陽電池、Cu2Oタンデム型太陽電池などの展示を実施。ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造の材料を用いたフィルム状の薄型かつ軽量の電池で、曲面や低耐荷重屋根など、今まで困難とされてきた場所への設置が可能になるとしている。Cu2Oタンデム型太陽電池は、亜酸化銅を用いた透明なPVセルとシリコン系太陽電池を重ね合わせることで高い発電効率を達成する新型太陽電池だ。
三菱電機
三菱電機株式会社のブースでは、建物のゼロエネルギー化を目指すことでカーボンニュートラルへの貢献が期待される「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」関連の取り組みとして、関連技術の実証棟「SUSTIE(サスティエ)」を紹介している。SUSTIEは6千平米を超える中規模建物単体では初めて設計段階での「ZEB」認証を取得しており、同施設で培ったエネルギー技術やノウハウを、将来のZEB実現に向けて活用していく見込みだ。
日立グループ
日立グループのブースでは、再生可能エネルギーソリューションについての展示を実施。日立パワーソリューションズでは、風力発電や太陽光発電システムを導入した実績があり、太陽光発電を利用したエネルギーの地産地消、風力発電を活用した災害時のライフライン確保といったソリューションの実例を紹介している。
NEC
NECのブースでは、「デジタルで拓くカーボンニュートラル」のキャッチコピーを掲げ、環境への取り組みを解説。ICTによる物流最適化、CO2排出の削減や環境負荷のモニタリングといった、デジタル技術を駆使した取り組みや、太陽光発電・風力発電やVPPを活用する再生可能エネルギーのソリューションについて言及している。
竹中工務店
株式会社竹中工務店は企業ブースを始め複数のブースを出展していたが、Society 5.0のカーボンニュートラルエリアに出展された竹中工務店のブースでは、エネルギーマネジメントシステム「I.SEM」や統合電源システム「MSEG」などのソリューションに加え、水素エネルギーに着目した技術開発の取り組みにも言及。実際に分散電源の一つとして水素実証施設を稼働し、経済産業省の仮想発電所(VPP)実証に参加するなど、
DATAFLUCT
Society 5.0のカーボンニュートラルエリアに出展された株式会社DATAFLUCTのブースでは、CO2排出量を可視化する炭素会計ツール「Carbon Accounting Calculator」やカーボンオフセットの個人単位・企業単位・トランザクション単位での取引成立を可能にする「Carbon Offset Marketplace」など、カーボンニュートラルに向けた同社製のサービスを展示している。