お財布に優しくてDolby Atomosを堪能できる有能サウンドバー:Sonos Beam 2レビュー

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Sonosの中でももっとも手に入れやすくて性能も抜群なBeamから新製品が登場!

米Gizmodoのライター、Victoria Songの実機利用レビューをお届けします。

日本でも年内発売予定。そろそろサウンドバーを買いたい、せっかくだから音質にはにはこだわりたい、でも予算はあまりかけられない、そもそも何を買ったらいいかわからない…という人におすすめできそうですよ。


Sonos Beam 2は、ホームシアターオタクには向いている製品ではありません

新しいSonosのサウンドバーは、音質にはこだわりたい、けどそのためにいろいろ調べるのは面倒くさい…という人のためのサウンドバーです。セットアップも使い方も簡単で、最高品質のサウンドじゃなくても別に構わない(だってよくわからないし)という人にぴったりです。Beam 2は、もともと完成度の高かった既存のサウンドバーが、Dolby Atmos時代にあわせてアップデートされた感じです。

Sonos Beam 2

Photo: Victoria Song/Gizmodo US

これは何?:Sonosの中でも最も手に入れやすい価格のDolby Atmosサウンドバー。

価格:449ドル(日本では年内に5万9800円で発売)。

いいところ:高さ(部屋におけるサウンドの上下)をシミュレートできる優れたサウンドバーのうちのひとつです。音楽も映画も素晴らしいサウンドで、セットアップも簡単です。

残念なところ:Bluetoothがない。ポートの選択肢があまりない。

馴染みあるデザイン、新しいハードウェア

Beam 2はその製品名の通り、初代Sonos Beamが第2世代へとアップデートされたものです。Beam 2のサイズは初代モデルとほぼ同じ。見た目上の主な違いとしては、初代のファブリックを廃止しポリカーボネートを採用しています。Sonosによれば、これにより耐久性を高め、デバイスの掃除をしやすくするためだそうです。布製だと猫の毛がくっついてたいへんだったので、個人的にもこれはよい変更だと思いました。タッチコントロールは前モデル同様上部にあり、丸みを帯びたエッジもそのままです。

サイズは68.5×651×100mm、重量は2.8kgで、コンパクトサイズです。小型のテレビに向いていますが大型のテレビにも対応しています。試しに65インチのLG CXと組み合わせてみましたが、特に違和感はありませんでした。唯一注意したいのは高さです。我が家のテレビは薄型なので、サウンドバーが画面下にわずかにはみ出してしまいます。テレビを見るときに邪魔にならないか心配になりましたが、下の写真のように「ミッチェル家とマシンの反乱」を観ているときも、視界を遮ることがありませんでした。

Photo: Victoria Song/Gizmodo US

外見はあまり変わっていませんが、中身のソフトウェアとハードウェアは大幅にアップグレードされています。

まず、Beam 2には新しいプロセッサーが搭載されました。Sonosによるとこの処理速度の向上により、初代は3つだったスピーカーに新たに2つ加わり、合計5つのアレイスピーカーが搭載されました。これはDolby Atmosに対応するためで、2つの新しいアレイスピーカーにより臨場感あるサウンドが部屋中に広がります。ドライバーに関しては、5つのクラスDデジタルアンプ、4つの楕円形ミッドウーファー、3つのパッシブラジエーター、ひとつのセンタートゥイーターという構成になっています。

Sonosはソフトウェアに強いと言いますが、記者説明会でも2つのアレイスピーカーを加えたことで、Beams 2は初代と比べてより優れた音の調整が可能になったと話していました。

セットアップは超簡単

サウンドバーのセットアップは簡単、適切なケーブルを適切なポートに繋ぐだけです。しかしBeam 2のセットアップ方法は少し変わっています。

Beam 2にはNFCチップが搭載されました。サウンドバーをどこに設置するか決めたら、あとはテレビのHDMIポートに繋いで(より音質を求める場合はeARCまたはARC)、電源に繋いで、Sonos S2アプリにアクセスするだけです。このときにタッチコントロールの左のエリアにスマホをかざしたら、それで完了です。5分もかからずに完成しました。

そしてS2アプリから、サウンドバーと他のSonosスピーカーとグループ化したり、Amazon AlexaやGoogleアシスタントと接続したりできます。すでに音声アシスタントを使っている人は簡単にセットアップできますが、私は家中にスマートスピーカーがあるので、このテストが終わったらマイクをオフにしました。

シンプルなサウンドバー、つまりポートの選択肢が少ないということ。
Photo: Victoria Song/Gizmodo US

iOSユーザーなら、Sonosの「Trueplay」機能で、Beam 2のチューニングを行なうこともできます。このTrueplayは、部屋の壁、家具、その他の面からの音の反射を測定し、Sonosスピーカーを設置場所にかかわらず微調整して音質を向上させるという機能です。Trueplayで調整しなくても充分音はよいのですが、試しにBeam 2をTrueplayの有無でテストしてみたところ、僅かだけれども大きな音質の違いを感じることができました。

セットアップが簡単なぶん、欠点もあります。4Kパススルー対応のサウンドバーを求めるゲーマーの方にとっては、残念仕様だと思います。Beam 2のポートの数は最小限で、電源ボタン、電源プラグ、HDMIポートがひとつ、イーサネットポートがひとつしかありません。シンプルに使う人なら問題ありませんが、多くのポートを使ってしっかり構成したい人や、テレビの端子数が限られている場合は、Beam 2はベストな選択肢ではありません

またBluetoothは非搭載で、すべてWi-Fiでのオペレーションになります。これは、Bluetoothではロスレスオーディオのストリーミングができないことに起因しています。S2アプリが改善されたとはいえ、Bluetoothがないと音楽のストリーミングには不便ですよね。iPhoneユーザーであれば、Beam 2はAirplay 2に対応しているので、そんなに問題ではないと思います。

没入感のあるサウンド

ついに本題ですが、Beam 2は、正面、天井のスピーカー、サブウーファーを使った本格的なホームシアターのセットよりは音質は劣りますが、単体のサウンドバーとして非常に優れています。しかもサイズはそんなに大きくないのに、というのもポイントですね。

映画やテレビを見る場合でも、Beam 2は立体的な空間を適切に再現してくれます。リアスピーカーがなくても、自分のすぐ隣から音が聞こえてくる感覚がありました。分かりやすかった例としては「ミッドナイト・スカイ」のオープニングで、ジョージ・クルーニーが、悲劇の事件の後、孤独に朝食を電子レンジで加熱するシーンです。彼が電子レンジのドアを締めた瞬間、その音が自分の右手から聞こえてくるようでした。

しかしSonos Arcと同様、「高さ」のサウンドについては賛否両論です。 「ミッドナイト・スカイ」では、ヘリコプターが頭上を飛んでいますが、本当に自分の上にヘリコプターが飛んでいるようには感じませんでした。『ミッチェル家とマシンの反乱』のカオスなモールのシーンでも、悪のドローンがどの高さにいるのか、音からは感じ取ることができませんでした。

とはいえ、上下の音をまったく再現できていないということではありません。「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」では、頭上を旋回するタイ・ファイターや、Xウィングの音が完全に頭上にあるように感じる…とまではいきませんでしたが、頭上のどこかでシューッと音を立てているように感じることは何度もありました。完璧というわけではありませんが、Dolby Atmosの実力を堪能することができましたし、それはほとんどの人にとって充分なレベルだと思います。

Sonos Beam 2は、Dolby Atmos非対応のコンテンツでも没入感のあるサウンドを再現できます。「海街チャチャチャ」は、Dolby Atmosに対応していませんが、エピソード9で登場人物たちが家具の少ない部屋にいるシーンで、(広くてスペースが多い空間で)声がしっかり反響しているように聞こえました。私が使っているテレビの本体スピーカーでは(それが例えDolby Atmos対応の高級スピーカーであっても)そう感じることはなかったので、感動しましたね。また「最後のジェダイ」のレイとカイロ・レンのフォース対決シーンのような反響の多いシーンでも会話は鮮明に聞こえました。

Sonos Beam 2は、音楽のサウンドも素晴らしいと思います。特に、アコースティックな優しい歌では、ボーカルの声がクリアで明るく聞こえます。またダンスフロアで流れるような低音の効いたポップミュージックでも、曲の他のパートを圧倒することなく、いい感じのサウンドでした。高音も鮮明で、ガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」のように、静かな音から大きな音、そしてまた静かになるような曲でも、問題なく対応していました。

Photo: Victoria Song/Gizmodo US

Sonos Beam 2は買うべきか?

Sonos Beam 2のお値段は、日本では5万9800円(税込)で、初代の5万1480円(税込)より、8,320円も値上がりしています。それでもSonosのサウンドバーの中でもシンプルなホームシアターを構築するには最も購入しやすい値段になっています。アメリカでは、Sonosがすべてのスピーカーの価格を値上げしましたが、そのお値ごろ感は顕著になりました。例えばArcは現在12万9800円(税込)で発売されていますが、両方のサウンドバーを試した身としても、耳の肥えたオーディオマニアでない限り、Beamでも性能は充分だと思います。

Sonosのシステムのもうひとつのメリットとしては、予算を厭わなければ、時間をかけて徐々にシステムを構成していけるところにもあります。サブウーファーを買う予算が今なくても、予算が確保できたタイミングで、9万4800円の高額なSonos Subを買い足すこともできます。

Beam 2は、Sonosのシステムを試してみたい方、またはホームシアターを全面的に構築するスペースがない方に理想的な製品だと思います。またセットアップもシンプルで簡単なのもポイントです。しかしパススルーにこだわりのある方、ゲーム機をたくさん持っているなどテレビの端子数が限られてしまう方には、複数のHDMI端子があるサウンドバーのほうがよいと思います。また、サテライトスピーカーをどこに置けばいいのかわからないと思っている人も、Beam 2は向いていると思います。