本当に「河野総理」でいいのか

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9月15日に生放送された「大下容子ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系列)に出演した河野太郎ワクチン担当大臣が、番組の杉村太蔵コメンテーター(元自民党代議士)から、こう問われた。

総裁選の出陣式をオンラインで開催した河野太郎氏 河野太郎氏@自民党総裁選 twitterより

「河野さんは役人を怒鳴るでしょ。立場の弱い人をガンガン責め立てるでしょ、言葉で。これは河野総理総裁が誕生した時に一番心配していることなんです」

「週刊文春」(9月9日号)のスクープ記事を受けた発言であろう。8月24日、内閣府参事官、資源エネルギー庁次長、統括調整官が参加したオンライン会議で、河野大臣はこう発言した。

「日本語では、36~38以上と言うのが日本語だろ」

「だから36~38以上だろ!」

「積み上げて36~38になるんだったら、以上は36~38を含むじゃないか!日本語わかる奴出せよ、じゃあ!」

官僚に対する罵声が続き、「はい、次」とか「はい、ダメ」と連発される“ダメ出し”は計13回。大臣の地位を悪用したパワハラである。

防衛大臣として自衛隊内のパワハラを叱責、処分を厳格化した御本人による悪質なパワハラである。

自衛官のパワハラは許さないが、大臣はOKらしい。自分に甘く、部下には厳しい。最低最悪のパワハラ上司ではないか。

「週刊文春」は河野大臣に事実関係を尋ねたが、回答はなかったとも報じた。その上で9月1日配信「電子版」で、大臣が約28分間にわたって怒鳴り上げる様子を、音声とともに公開した。もはや言い逃れできない。

さて、生放送で「河野さんは役人を怒鳴るでしょ。立場の弱い人をガンガン責め立てるでしょ、言葉で」と問われた河野大臣はどうしたか。

「時々、言葉遣いがぞんざいになるのは直さなきゃいけないと思いますけど、多分、今回のワクチン接種がこれだけうまくできているのは、ワクチンチームの働きが非常に大きいと思います。外務大臣、防衛大臣の時もチームで支えてもらったからこそ、あれだけの成果を出すことができたと思うんです」

こう釈明した上で、「おかしいものはおかしいよ、と指摘をしなければいけない。そういうところがあるんだと思います」と、自身のパワハラ発言を正当化した。

いや、「時々、言葉遣いがぞんざいになる」といったレベルのパワハラ発言ではあるまい。加えて「ワクチン接種がこれだけうまくできている」と自画自賛する始末。あえて、河野大臣と同じ自民党麻生派に所属する甘利明税調会長の皮肉を借りよう。

「菅(義偉)総理がダメだと、たたかれた一番の原因がワクチンの迷走といわれているのに、ワクチン担当大臣の評価が上がるとは、よくわからない」(9月6日に国会内で行われた講演での発言・朝日新聞記事参照)

甘利会長に「座布団に1枚!」――記事を読み、思わず、そうツイートした次第である。

外務大臣、防衛大臣として「あれだけの成果を出すことができた」とも誇るが、具体的に何を指すのか。まるで見当つかない。

実際どうだったか。「外務省の能力ではODA予算をこなしきれない」、「ODA予算は大幅に減額しなければならない」と宣言しておきながら、結局、ODA予算を増額させた上、外務大臣専用機を所望し、周囲を唖然とさせた。さらに、陸上配備型「イージス・アショア」の配備をドタキャン。ミサイル防衛上、死活的に重要な装備を、大臣自ら台無しにした。

9月10日、河野大臣は都内で会見を開き、自民党総裁選への出馬を正式表明した。記者との質疑応答で、他候補と比べた「強みと弱み」を聞かれ、ニヤリと笑いながら、「ありがとうございます」、「実行力、突破力は誰にも引けをとらないと思っております」と即答した。他方、自身の弱みは具体的に語らなかった。

官僚の説明は聞く耳持たず。悪口は速攻ブロック。自身の能力を過信し、部下や他人を見下す。そんな自分自身の弱みを自覚できない。それこそが弱みであろう。

なるほど河野大臣は、安全保障基盤を台無しにする実行力や突破力なら、誰にも引けをとらない。9月17日の記者会見でも、いわゆる敵基地攻撃能力の保有について、「おそらく昭和の時代の概念だ」と退け、高市早苗総裁候補の発言を念頭に「電磁パルスを使うにしろ何しろ、いま議論すべきなのは日米同盟でいかに抑止力を高めていくかだ」と煙に巻いた。

米国が供与するはずだった「イージス・アショア」という圧倒的な「抑止力」を、自ら台無しにしておきながら、よくもそんなことが言える。

べつに「昭和の時代の概念」などではない。はるか昔から攻撃力は存在する。「専守防衛」こそ「昭和の時代の概念」に過ぎない。

敵基地攻撃能力という「矛」も持たず、「イージス・アショア」という「盾」も平気でポイ捨て(イージスはギリシャ語で盾)。それで、どう日本を守るのか。

蛇足ながら、岸信夫防衛大臣も、中山泰秀防衛副大臣も、松川るい防衛政務官も、みな高市早苗候補への支持を明言した。当然のごとく、河野候補を支持する声は、防衛省・自衛隊から一向に聞こえてこない(9月19日現在)。

日本の安全保障上、どちらが総理総裁にふさわしいか。もはや論じるまでもあるまい。

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