売店の「あのマツコデラックスさんも絶賛」という紹介文を集めた

デイリーポータルZ

観光地やサービスエリアなどの売店で、「あのマツコデラックスさんも絶賛」という紹介文を見かけることがある。芸能界には数多くのタレントがいるはずなのに、売店の紹介文で見かけるのはなぜかマツコデラックスさんばかり。これは集めるしかない。

マツコデラックスさんが絶賛している

マツコデラックスさん(以後、親しみを込めて「マツコさん」「マツコ」と呼ばせてもらいます。)の出演する番組をよく見る。中でも「月曜から夜ふかし」「マツコの知らない世界」「かりそめ天国」が好きだ。歯に衣着せぬコメントっぷりが面白いし、それでいて相手へのリスペクトも忘れない。絶妙だ。

それぞれの番組で各地のお菓子や料理を召し上がり、コメントを残すマツコさん。いつからか、観光地やサービスエリアなどの売店では「あのマツコデラックスさんも絶賛」という張り紙やポップであふれかえるようになった。私はそれを集めている。

記念すべき初の「マツコも絶賛あつめ」。商品は完売である。やはりマツコさんが絶賛していると説得力が違う。

こちらのツイートの通り、Twitterにてハッシュタグ #マツコも絶賛あつめ をつけ、マツコさんに紹介してもらった旨の紹介文を集めることにした。「マツコも絶賛あつめ」のルールは次の2点。

「マツコも絶賛あつめ」のルール
・お店の張り紙やポップなどで「マツコも絶賛」と書かれているものを集める (ただし絶賛していなくてもよい)
・撮影するときはマナーやお店のルールを守る

集め始めて早5年。これまでに多くのマツコが集まっているのでこの記事ではそれを紹介したい。すべて私のコレクションである。

「マツコも絶賛」コレクション

さっそくだが、「マツコも絶賛」コレクションである。

まずは先ほどのマツコを改めて見てみよう。「おいしい!これ!」というセリフ付きである。実際に完売しており、マツコ絶賛効果が高いのかもしれない。おいしそうだな…。
家族で飛騨に行ったときに見かけたマツコ。ポップのクオリティが高い。乙女なマツコさんだ。「スープみたい♡」と絶賛している。「買いなさいよ!!」は番組内での発言か、店長の思いか。
これも飛騨に行ったときに見かけたマツコ。大絶賛なのでポイント高い。
拡大してみる。イラストがなんとも味わい深い。「おいっっしい~!これいくらでもご飯食べられちゃう!」は余裕でマツコさんの声で脳内再生される。
ドーミーインの夜鳴きそばもマツコが絶賛している。しかも大絶賛だ。

たしかこれは「マツコの知らないビジネスホテルの世界」の回だ。番組を見た記憶がある。番組を見た後で実際にこうして張り紙を見ると、テレビの世界と現実の世界がつながっているような感覚になる。

よく見るとシルエットで登場し「美味しかったわよ」と言っている。過去形なので番組中でのセリフではなさそうだ。
ジャニーズグループ、マツコ、ビートたけし。大物が並ぶ。よく見ると「etc…」なので他にも大絶賛している人がいることがうかがえる。他にもいる中で御三家の一角をなすマツコさん。そして一番下のイラストは誰なんだ…。
「アタシこれ、すごい好き!」熱量が伝わってくる。「絶賛」とは書かれていないものの、実質絶賛である。
シルシルミシル、懐かしい。マツコも絶賛あつめにおいて当番組はレアだ。「ウマイ!」というコメントから、当時からすでにシンプルでまっすぐなコメントスタイルが確立されていたことがわかる。
「あの人も絶賛の…」余韻を感じさせる良いポップだ。イラストのマツコさんがお若い。
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絶賛しない場合もある

ここまでマツコが絶賛している紹介文ばかりお見せしたが、実は「絶賛」でない場合もある。そういうのも集めている。

「紹介して頂きました」謙虚だ。

マツコさんは素直にコメントされることが多いので、残念ながら絶賛に至らないケースもある。ポップに「絶賛されました」と書いてもバレないだろうに、正直者だ。そういう商品はますます応援したくなる。

今や多くの商品がマツコさんにコメントをもらおうと群がる中、マツコさんに取り上げてもらえただけでも非常に価値のあることだ。紹介されただけでも胸を張ってよいだろう。

「紹介されました!」ビックリマークが付いており喜びが染み出している。そう、それでいいのよ。
「この価格帯ならイヤホンよりヘッドホンがいいわね。」と的確なコメント。確かに大絶賛という感じではない。正直だ。

中華街はマツコ絶賛ばっかり

話は変わるが、横浜の中華街には「マツコ」がたくさんある。中華街を歩きながらそんなことを考えているのは私だけだと思う。

「マツコDXも愛用♡」ほんまか~?(後述しますが調べたら本当でした。)
これはなんか本当っぽい。しかもよく見るとマツコだけじゃなくアド街にも出てる。これはもうM-1とキングオブコントの両方に出場したぐらいのレベルだ。
中華っぽくないけど中華街で見つけた。自分の作ったラーメンがマツコに「このスープすごい!」と言われたらうれしすぎて叫ぶと思う。
ホマレえび。マツコさんが食べたり持ったりするとインパクトがすごい。
先ほどの花文字も中華街。下の看板本体よりも目立っている気がする。

マツコさんが中華街と相性が良いのか、それとも中華街サイドがマツコさんに猛アタックしているのか、真相はわからないが、とにかく中華街を一周するだけでたくさんのマツコが集まる。コレクターにとってみれば聖地である。

マツコとジョンレノン

話はさらに変わり、軽井沢での「マツコも絶賛小話」をひとつ。

数年前、軽井沢に旅行に行った時のこと。軽井沢にはジョンレノンが愛した「フランスベーカリー」というパン屋さんがある。(オノヨーコの実家の別荘が軽井沢にあり、ジョンレノンもよく軽井沢を訪れたようだ。) フランスベーカリーではジョンレノンが大好きだったというフランスパンが今も売られている。そこにはジョンレノン来店時の写真と共に「あの人も買いました!!」というポップが飾られている。当然、ここではあの人=ジョンレノンと考えるのが自然である。マツコではない。

しかし驚くべきことに、その店の奥にあるジャムコーナーではひっそりと「あのマツコデラックスも絶賛のジャム」と書かれていたのである。あのジョンレノンが来たお店で、あのマツコデラックスも絶賛したジャムが売られている。不意に実現したジョンとマツコの夢のコラボに私は大変感激したのであった。しかし店内撮影禁止だったので写真は無い。皆さま勝手に想像してください。

漠然とした軽井沢の写真ならあります。
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本当に絶賛していたのか?

ある日、いつものようにマツコさんの出演する番組を見ていると、マツコさんが驚くべき発言をしていた。

「最近、マツコデラックス大絶賛ってよく見かけるけど、食べた記憶ないのよ」

びっくりした。どうやら、マツコさんが食べた記憶ないのに勝手に「大絶賛」と謳っているものがあるようだ。これは大問題だ。本当に大絶賛された商品たちの信用にも関わる。

ならば私が検証するしかない。Twitterにて #マツコも絶賛あつめ として2021年8月24日時点で投稿されている全ツイート(筆者以外のツイートも含む)を確認し、マツコが取り上げたとされる商品をリストアップする。そして、本当にマツコが取り上げていたのかを、過去の番組情報をインターネットで調査し検証する。

マツコさんが隕石を愛用しているのは本当?→本当でした。(出典:tv asahi

番組公式YouTubeでも宝石販売店「BigBang」の店主と会っていることが確認できた。先ほどは疑ってすいませんでした。

岐阜の味わい深マツコ(あじわいぶかまつこ)は本当?→絶賛してました。(出典:価格.com)

といった感じで、実際に絶賛されていたものがほとんどだった。よかった~。

調査結果をこちらに置いておきます。スプレッドシートも置いておきます。

40件中39件で、実際にマツコが取り上げていたことが確認できた。残りの1件だが、貼られた商品と似た名前の商品が番組で紹介されており、紹介文を書いた人の勘違いの可能性が高い。悪気はなさそうだ。もしくは私のリサーチ不足の可能性もある。

その他、検証の結果わかったことを簡単にまとめる。

・「絶賛」は40件中11件(28%)、そのうち「大絶賛」は7件(18%)

・紹介文でのマツコの形態は、写真が35.0%、イラストが32.5%、写真もイラストも無し(文字のみ)が32.5%拮抗している

・紹介文でマツコのセリフが書かれているのは40%

「絶賛」が11件でそのうち「大絶賛」が7件というのが面白かった。つまり「大」のつかないただの「絶賛」は4件である。「絶賛」か「大絶賛」かは紹介文を書く人が決めるので、「どうせなら大絶賛にしよう」という思いが見え隠れする。もしくは、マツコさんの絶賛はインパクトが強く「大絶賛」のほうがふさわしいように見えるというのもあるだろう。

マツコみたいに絶賛しよう

最後に、私もマツコみたいに絶賛しようと思う。一体何を言っているんだという感じですが、私も絶賛してみたいのです。温かく見守ってほしい。

写真を撮って、油性ペンと画用紙を用意する。
写真を切り抜いて、しゃべらせる。大物になった気分。
かざる。私が大絶賛したのはカップヌードルの高たんぱく&低糖質のやつ。太らなそうだし普通にうまいので箱買いしている。

広告記事でもないのに一方的な愛で勝手に絶賛した。やはりマツコさんと違い知名度や見た目のインパクトが圧倒的に無いので説得力に欠ける。私のことを知らない多くの人から見れば、知らないおじさんが大絶賛しているだけだ。

しかしやってみると楽しい。私にも絶賛したいものはたくさんあるし、絶賛するのは個人の自由だ。これからも個人的に絶賛していきたい。

セリフにも着目しよう

マツコさんが絶賛するときのセリフに着目してみるのもおもしろい。「アタシこれ、すごい好き!」「このスープすごい!」「おいしい!これ!」「ウマイ!」のようにシンプルな感想が際立つ。理屈を並べるのではなく、マツコさんが強い熱意をもって端的な感想を述べることで、我々は「あぁこれはすごいものだ」と納得する。そういうお人柄なのだと思う。これからもマツコさんが何かを絶賛してくれたらうれしいし、私はそれをあつめたい。

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