自民党総裁選(2021年9月17日告示、29日投開票)で最初に立候補を表明した高市早苗衆院議員がJ-CASTニュースの取材に応じ、「危機管理」をめぐる政策について重点的に打ち出したい考えを明らかにした。「危機管理」の分野は、国外の邦人救出、新型コロナ対応、電力需要増大など多岐に及び、具体的な政策について約30分にわたって語った。「危機管理投資=成長投資」と位置づけ、太陽と同様の反応を地上で再現する「核融合炉」や、量子コンピューターの開発を国家プロジェクトとして推進したい考えだ。
立候補に必要な推薦人20人の確保については、「もう、そういう段階は終わっていると自分では認識をしている」と発言。確保のめどがついたことを明らかにした。取材は9月1日に行った。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集部 工藤博司)
フルスペック総裁選と衆院選経験していない菅政権は「強さがどうしても見えてこない」
―― 内閣支持率が最低を更新しています。何が原因だと分析していますか。菅政権に問題があるとすれば、どこに問題があるとお考えですか。出馬表明した「文藝春秋」9月号への寄稿では「発する言葉からは自信も力強さも伝わらなくなってしまっており、残念でたまらない」と指摘しています。ただ、「月刊Hanada」のインタビューでは「私が『菅降ろし』と言われるような行動を起こす意図はまったくない」とも述べています。それでも出馬を決意した理由を教えてください。
高市: 本会議場で最も重い1票を入れて、菅総理を誕生させた、総理になっていただいたわけですから、総理の任期中は精いっぱい頑張っていただきたいと思ってますし、応援します。私が勇気を振り絞って手を挙げたのはむしろ内閣に強くなって欲しかったからです。
安倍内閣にはいろいろなことがありましたが、国政選挙で勝ち続けたことが長期政権になった理由です。国民の皆様の審判を、政権選択選挙と言われる衆院選でしっかり受けているということが一つ。それ以前に、やはり「フルスペック」の総裁選をやっているので、党員みなが参加しています。そうすると、たまたま安倍(前)総理以外に入れられた党員がおられても、みんな自分たちが参加した選挙で選ばれた総裁だ、という納得感も絶対あるんですよ。そうすると、内閣が批判を浴びていても、党員の方々が「それはこういうことだから」と自分たちなりの表現で、周りに対して擁護してくださるし、応援してくださいます。
でも菅総理の場合、残念ながら安倍総理の体調不良による突然の退任(による就任)でしたから、党員投票を経験されていない。政権選択選挙である衆院選も経験されていない。そこが、強さがどうしても見えてこない。ご自身が自信を持って、国民の皆様にとって、一時的に不利益なことであっても、都合の悪い情報であっても、自信を持って「協力してください、これをやります」と打ち出せない。そこは心配していたので、1回段階を踏まれた方が菅内閣は強くなると私は思ったんです。
だって私が出て、菅総理に立ち向かうって言ったら、何かアリが象に立ち向かっていくような話なので…。最初はそういう、やむにやまれぬ気持ち、「もっと強い内閣になってよ、私も1票入れたんです」という気持ちの方が強かったですね。
それと別に、菅総理の任期はもう今年の9月までということで、多くの国会議員は安倍総理が突然の体調不良を起こされた後、菅総理が引き継いでくださったという感謝の気持ちを持ってるし、持ちつつも、あと1年の残任期間をしっかりこなしていただくには菅総理が一番いいと(判断した)。
つまり、官邸の中にいて官房長官としてしっかり安倍総理を支えてこられたので、アベノミクスも含めて、要は安倍内閣の方針を引き継ぐと言い切られた唯一の候補でした。それが、私が総裁選挙でも、本会議場でも1票入れた理由なんです。あくまでも残存任期であり、そしてまた安倍内閣の方針を引き継いでくださる唯一の候補者だった、というのが、私が(菅首相を)選択した理由でした。