[再]1時間前の自分を見ながら飲む「録画飲み会」がおもしろい

デイリーポータルZ

飲み会は楽しい。お酒の力を借りて、スイスイ喋ることができる。

ただ毎回終わった後に「私きょう変なこと言ったかも」という反省におそわれる。急に頭が冷静になるのだ。

だったら、最初から飲み会を録画して、後半はみんなで録画を見つつ反省するのはどうだろうか。実験しました。

「録画飲み会」のやり方

簡単にやり方を説明すると

①前半はふつうに飲み会をし、録画しておく
②後半はその動画を見ながら飲む。これだけである

自粛と録画のしやすさも考え、今回はリモート飲み会の形式をとった。

参加者はこちら。郡司さんと鳴海さんは初対面だ。みんな「もう録画してる?」「まずは普通に飲むだけでいいの?」と探りさぐりである。
そして乾杯をした。録画しているが、特に緊張することもない。

本当にただの飲み会だった。「これ見返して面白いかな…?」と途中不安になる。

あっという間に1時間がたった。

後半戦「振り返り」開始

あとは前半の飲み会の様子をみながら、お酒を飲むだけだ。まずは画面共有で録画をうつした。

左が1時間前の私たち、右がそれを見ている現在の飲み会だ。カオスだったので、これ以降は現在と過去の枠をつけます。

まず2人で待っていると 

日西さん(過去)が「こんにちわぁ↑↑」と前髪をなおしながら入ってきた。謎の抑揚、数回にわたる前髪の調節。「ちょっと止めて!」混乱してストップの合図がかかる。
「なんだこの変な合コンみたいな入りは」と鳴海さん(現在)が引いている。​​​​​​郡司さんも「あっこれ…地獄かも…」と力なく言う。

たった1時間前の映像で、まだ乾杯すらしていないのにもうえぐみがすごい。怖い。

深呼吸して続きを再生していくと

鳴海さん(過去)がゆっくり入ってきて、すごい人見知りをしたあと「……おつかれさま、です…」と小さな声でつぶやいた
「俺きっっっっしょ」と鳴海さんが叫ぶ。さっき日西さんに投げたブーメランがすぐに自分にも刺さった。その後も「テンション低すぎるだろ」「後輩が気を使うだろ」と自分に対する怒りがおさまらない。
「これ飲み会の最初は、元気よくしないとだめだ」と学びを得た鳴海さん。郡司さんはおもしろさを通り越して泣く人になってしまった。

後半開始から6分経ったが、録画はまだ1分しか再生してされていない。

いいシーンは巻き戻して何回も見てしまうのだ。恐ろしい。沼だ。これほんとに怖いやつなのではないか。

たしか、この後はラジオの話で盛り上がったはずだ。すすめていくと

夢中に話をする3人のそばで、日西さんがキンミヤ焼酎を用意していた。「お前全然聞いてないじゃん」と野次が飛ぶ。1時間前は全然気が付かなかった。

すると日西さん(現在)が

「思い出した。私、このあとお酒の配合間違えて、すごい『濃いな』って顔するはずだから見てて」と謎の予告をした。どういうこと?

しばらくすると、キンミヤをグラスに注ぐ日西さんがうつり

そのあと本搾り(お酒)を注ぐ様子がうつった。「え?キンミヤを本搾りで割ってる?」と現在側が全員ドン引きしている。過去の我々は一切気がついていない。
「この後です」日西さんが言う。そして一口飲んだあと
話の邪魔をしないよう、ひとり酒の濃さとたたかう様子が記録されていた。
息をのむように見つめてこれだったので、もう全員わけがわからなくなってしまった。「どうでもいい」「こんなしょうもない予告をするな」「あの配合はそうなるだろ」とめちゃくちゃに言われる

一度経験した時には気がつかず、あとから新事実を言われる。これがウソみたいにおもしろい。しかも気づかない過去の自分たちの滑稽さもしんどい。

飲み会は、本人だけが知っていることがたくさんあるらしい。「どうしてこの発言や表情をしたか」すぐ答え合わせができるのだ。

「前半と立場が逆転する」体験

そのあと、話題は郡司さんの「人生の悩み」にうつった。

ここで録画飲み会で一番驚いた「前半との立場の逆転」を体験する。

過去郡司さんが悩みや自分の考えを話している。が、下2人がすでに賛同できない顔で聞いている。 

郡司さんはこの時点で「もうこのあと2人に論破されるだけだな」とわかっていたという。私も当時「これは郡司やられる!」とすぐにわかった。

郡司さんのターンが終わった瞬間、日西さん、鳴海さんがロジカルに「なぜそれがうまくいかないのか」を説明しはじめた。隙のないド正論で、郡司さんはただ耐え、私も助けるのをあきらめポテトをたべた。
その様子を改めてみた2人が「私ってこんなに怖かったのか?」「俺らこーーーーわ」と1時間前の自分に引いてしまった。
そこで郡司さん(現在)が「そうなんです!お二人は正しいけど怖いんです!!」と1時間ごしに反旗をひるがえす。

このあと、2人はひたすら郡司さんに謝罪するばかりになった。

「正しさだけが全てじゃない」「おじさんがおじさんとしてふるまうことにすごく気をつけていたのに、客観的にみたら俺はおじさんだ」2人ともポエムみたいな反省が続く。

わかってもらえた郡司さんは嬉しすぎて「お前ら本当に気をつけたほうがいいぞ!」としまいにタメ口になった。

同じ事柄なのに、振り返っただけで1時間前と立場が逆転したのである。これはすごかった。

「録画飲み会」でわかったこと

結局、1時間の飲み会をずっと笑いながら2時間かけてみた。

たくさん発見があったのでまとめると

発見① 全員がたのしく過ごそうとしていた努力がわかる

「良い話題の波がきた!」と思ったらみんな気持ち大きめに笑っていたことがわかった。また、序盤でアイスブレイクかましてる!などの気遣いもよくわかった。

意見が割れるときもだいたい「会をよくしよう」とそれぞれが動いた結果だった。「みんないいやつじゃ〜ん」と素直に思えた。 

発見② 伝えられなかったことを補足でき、モヤモヤが残らない

一回目にイマイチだった話題も、「実はこう言いたかった」と補足できた。これは消化不良にならずとてもよかった。

また「実は言われてうれしかった」「これうざかった!」など全員で確認できるので、普段よりスッキリした状態で終われた。

発見③ 伏線回収的なおもしろさが続く

やっぱりいちばんはこれだ。録画を見出してからは、ずっと「あの時実はああだった」しらない情報が押し寄せる。この仕組みがとにかく爽快でおもしろい。最後にたたみかける映画みたいな2時間だった。

なんだかすごい体験だった。もうへとへとである。もう終わろう。

……と、ここで思いついてしまった「もしかしたらこの振り返りすら、録画してたから振り返れるのではないか?」

おまけ:「飲み会の振り返りの振り返り」を見る

とはいえHPがもうゼロに近い。ラスト5分だけ、いま終わった振り返りをかるく再生してみることにした。 

もうZoomの録画にバグがでている。大過去という表現が正しいかもわからない。すぐ前の自分と、その前の自分たちがうつっている。「これはもう神の視点だ」「2人の自分を見ると脳がバグるな」

そして「正気を保ったつもり」だったさっきまでの振り返りも、見返すとえぐみがすごい。全員めちゃくちゃいらないことを言う。

「もう自分はこういう性格なんだ」各々が悟りを開いた瞬間だった。

そして鳴海さんの登場シーンで、また全員笑ってしまった。「同じことがまた起きてる」「この未来はもう変えられない」疲れと酔いで、口調の思想だけが強まっていった。

ただ前半を録画するだけで、飲み会がこんなにもしたことない体験になった。軽くタイムトラベルした気分だった。

ぜひみなさんも、元気な時にやってみてください。

「振り返り」のおもしろさは最強

1時間でこんなにボロが出るなら、日常をうつしたら人はどうなるのだろう。本当におもしろ恐ろしかった。そういえば、バラエティ番組でVTRを見たりするのも「振り返り」である。過去を記録して冷静な頭でみることは、たのしい鉄板の一つだったんだなと気がついた。

個人的には郡司さんがまあまあな量のカルパスを食べていたことに、一回目少しも気が付かなかった。全然人のことを見ていないんだな…

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