オリンピックの開催に強く反対していた医師は「心が折れそう」と嘆いた。=1日、新宿 撮影:田中龍作=
昨夜、コロナ診療にあたっている各地の医師・看護師たちがZoom会議を開いた。
参加した都内の医師によれば、「入院できず在宅で息を引き取っていく感染者は、行政当局発表の5倍はあるという見方で一致した」。
ギリギリになって(重篤化して)病院に搬送され、わずか2~3時間で死亡した場合、病院で死亡したこととしてカウントされるからである。事実上は、在宅のまま見殺しにされ亡くなったにもかかわらず、だ。=Zoom会議ここまで=
~発熱外来の点数加算なくす~
感染爆発に拍車をかけるような施策を厚労省が取っていることが分かった。
発熱外来の点数加算をなくしたのである。発熱外来はコストがかかる。PCR検査キット、エプロン、N95サージカルマスクなどを装備しなければならないからだ。点数加算がなくなれば、クリニックのような小規模医院は赤字となる。
ただでさえコロナの影響で一般の患者が減り、経営が苦しくなっているところに、赤字要因を持ち込まれたら、クリニックは潰れる。
神奈川県のある自治体では、点数加算があった頃は10軒あった発熱外来対応のクリニックが1軒にまで減ってしまった。
感染防止に欠かせない早期発見、早期隔離、早期治療の道は閉ざされてしまった。それも厚労省によって。
残る1軒となったクリニックで発熱外来を担当する医師は憤る。「政府は足を引っ張ることしかやっていない」。
「菅首相では感染爆発を止めることができない」との見方が医療現場では支配的だ。=撮影:田中龍作=
~重症化してからでは遅い「カクテル療法」~
「やってる感」を演出したい菅首相が厚労官僚の尻を叩いて打ち出したのが「抗体カクテル療法」だ。
2種類の抗体を投与してウイルスの増殖を抑える「抗体カクテル療法」。早めに投与すれば重症化を防げる。
だが「抗体カクテル療法」は医療施設においてでしかできない。在宅での投与は厚労省が認可していないのだ。
前出の医師は「在宅で重症化する前にカクテル療法をできるようにすれば、重症化せずに済むのに」と悔しがる。
菅政権は抗体カクテル療法を行う拠点を整備する方針だ。だが、在宅の患者にどうやって治療拠点にたどり着けというのか。ハードルが横たわる。
「救える方法があるのに救えていない。これは人災だ」。医師はやり切れなさで一杯の表情で語った。
~終わり~
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