新素材のTBMが135億円調達でトップに–2021年7月の資金調達・時価総額ランキング

CNET Japan

 フォースタートアップスは、成長産業領域に特化した情報プラットフォーム「STARTUP DB」において、2021年1月から7月までを対象とした「国内スタートアップ資金調達額ランキング」を発表。それによると、紙やプラスチックの代替となる新素材「LIMEX(ライメックス)」を展開するTBMが135億円の調達により、ランキング1位となった。

 トップ20にランクインしている企業のうち、累計調達金額が100億円を超えている企業はTBM、MobilityTechnologies、ヘイ、SmartHR、スマートニュース、Paidy、ispace、ネットプロテクションホールディングス、ディーカレット、アトナープの10社。今回のランキングで新規ランクインしたのは、ヘイ、ispace、SODA、アトナープ、atama plus、menu、ユビタス、Wovn Technologiesの8社となっている。

 
 

 2011年8月に設立されたTBMは、炭酸カルシウムなど無機物を50%以上含む、無機フィラー分散系の複合素材「LIMEX」の開発・製造・販売を手がけている。同素材は、世界40カ国以上で特許を取得しており、COPやG20の国際会議で紹介されるほか、UNIDO(国際連合工業開発機関)のサステナブル技術普及プラットフォームに登録されている。

 2021年7月には、韓国大手財閥であるSKグループの4社(SK、SKC、SKMaterials、SK Siltron)が共同出資したSK Japan Investmentと、135億円の資本提携を締結した。SKグループは、石油精製、石油化学、通信や半導体事業を軸としながら、ESG領域のベストカンパニーを目指して、グローバルに展開している。

 この提携を受けて、TBMはSKグループとのサプライチェーンの連携・販路の活用を通じてLIMEXの生産体制を強化。SKグループおよび、その顧客ニーズにマッチした「LIMEXPellet(ライメックスペレット)」と「LIMEX Sheet(ライメックスシート)」の用途開発を推進している。同社では、韓国のみならずグローバルに向けて製品を販売することで、世界のプラスチック問題や地域によって異なる環境素材のニーズに対応する方針。

 3位にランクインしたヘイは、本格的なネットショップが、誰でもかんたんに作成できるサービス「STORES(ストアーズ)」を展開。ショップのこだわりを表現する高いデザイン性と、はじめてでも分かりやすい操作性、販売スタイルに合わせたシンプルな料金プランを提供している。

 7月には、登記簿からおよそ162億円の調達を確認。これにより、同社の企業評価額は約922億円に達した。また、実店舗とネットショップがひとつになった新しいレジアプリ「STORES レジ」を6月15日にリリース。同サービスは、実店鋪とネットショップの商品・在庫・売上データの一元管理を可能にしている。

 7位にランクインしたispaceは、月面探査プログラム「HAKUTO-R」を通じて、民間による月面資源開発の実現を目指している。6月末に三井住友銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行、日本政策金融公庫からの19億5000万円の融資を実施。8月4日には、インキュベイトファンドをリードインベスターとした全7社を引受先とする、合計約50億7000万円のシリーズCの第三者割当増資を発表。累計資金調達金額は約213億円となっている。調達資金は、今後予定されている月面ミッションに用いられるランダーのサイズアップに充てられるという。

 11位にランクシンしたSODAは、国内最大級のスニーカーフリマ「SNKRDUNK(スニーカーダンク)」を展開。シリーズCにて約62億円の調達を実施しており、引受先はNAVERの子会社であるKREAMCorporationをリード投資家に、Altos Ventures、SoftBank Ventures Asia、ジャフコグループ、既存全投資家となっている。調達した資金は、国内事業の拡大および、強化に加え、インドネシア、フィリピンなどアジア市場獲得のために積極投資を行う方針。

 13位にはAI教材を学習塾を中心に展開するatama plusがランクインした。同社は7月21日に既存投資家であるDCMベンチャーズ、ジャフコグループに加え、新たにシンガポールのテマセク・ホールディングス傘下のPavilionCapital、米運用会社大手のT. Rowe Priceなどを引受先とした、シリーズBラウンドによる約51億円の資金調達を実施している。今回の資金調達により、プロダクト開発の速度を上げるとともに、顧客支援体制を強化する方針。また、マーケティング活動への投資により、生徒・保護者に対して「atama+」の認知・利用拡大を目指す。

評価額1000億円以上の企業数は12社に

 同社では、8月4日時点での「国内スタートアップ想定時価総額ランキング」も発表している。同ランキングは、登記簿情報に記載されている発行済みの顕在株、潜在株をもとに算出。また、子会社やINCJ主導で設立した企業は除外されている。

 
 

 それによると、評価額1000億円以上の企業数は12社になっているという。ランキング12位に新規ランクインしたHIROTSUバイオサイエンスは、がんの一次スクリーニング検査「N-NOSE」を提供。評価額は1026億円に達している。

 今後は自宅にいながら検査申込・検体提出・結果受領までが完結する「N-NOSEat home」の全国展開を進めるとともに、3カ所目の検査センターを東京に新設し、検査処理能力を向上させる方針。あわせて、MS&ADインシュアランスグループのネットワークを通じて、「N-NOSE」を活用した新たな保険商品の開発などに注力するとしている。

 3位のSmartHRは、以前公表した調達の情報が登記簿に反映されたことにより、先月から評価額を31億円伸ばし、1731億円に達した。

 8位にランクアップしたリキッドグループは、仮想通貨交換会社のQUOINEの親会社。仮想通貨取引プラットフォーム「Liquidby Quoine」を開発・運営している。今回、登記簿から新株予約権の発行を確認。先月より評価額が上昇し、1176億円となった。

 なお、トップ20企業の累計資金調達金額をみると、累計資金調達金額が100億円を超える企業数は12社、300億円を突破した企業数は6社となっている。

 
 

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