1. 総務省が「令和3年版情報通信白書」を公表
7月30日、総務省は令和3年の「情報通信白書」を公表した。昭和48年の第1回公表以来、今回で49回目の公表になる。
本年の白書の特集テーマは「デジタルで支える暮らしと経済」とし、日本のこれまでのデジタル化に対する取り組みについて振り返るとともに、国民生活、企業活動、公的分野におけるデジタル活用の現状と課題についてまとめている。また、コロナ禍で加速したデジタル化による変化についても扱っている。喫緊の課題である感染症や自然災害に対応できるレジリエントな社会の実現に向けて、利用者のデジタル活用能力の向上、そして公的分野や民間企業におけるデジタル化を戦略的・一体的に進める必要があることを指摘している。
なお、全文は総務省のウェブページより閲覧が可能である。
ニュースソース
- 令和3年「情報通信に関する現状報告」(令和3年版情報通信白書)の公表[総務省]
2. 経済産業省が「電子商取引に関する市場調査」の結果を公表
7月30日、経済産業省は令和2年度の「電子商取引に関する市場調査」の結果を公表した。それによると、令和2年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、19.3兆円(前年19.4兆円、前年比0.43%減)とほぼ横ばいに推移した。また、令和2年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は334.9兆円(前年353.0兆円、前年比5.1%減)と減少した。これについて、経済産業省は「新型コロナウイルスの感染症拡大の対策として、外出自粛の呼びかけ及びECの利用が推奨された結果、物販系分野の大幅な市場規模拡大につながった一方、主として旅行サービスの縮小に伴い、サービス系分野の市場規模は、大幅に減少した」と分析している。
また、EC化率は、BtoC-ECで8.08%(前年比1.32ポイント増)、BtoB-ECで33.5%(前年比1.8ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化は進んでいるとみられる。
なお、全文は経済産業省のウェブページより閲覧可能である。
ニュースソース
- 電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました[経済産業省]
3. オリンピアンとSNS
オリンピアンの中にはインターネットを使って選手村の様子を動画SNSに流したり、記念撮影した写真をSNSで公表したりしている人も多い。競技や選手を応援するファンとの関係づくり、新たなファンを獲得するための活動が、オリンピックの回を重ねるごとに変化している印象をあらためて受ける。
そのようななか、裏目に出ている事例も報じられている。日刊スポーツでは体操女子個人総合での金メダリストであるスニサ・リー選手が種目別段違い平行棒で銅メダルに終わった要因は「『SNSのやりすぎだった』と反省し、ツイッターを削除する意思を示した」と報じている。これは「SNSのフォロワーが一気に増えたことが要因」としている(日刊スポーツ)。
また、選手のSNSに試合内容や採点方法をついて国内外から誹謗中傷の書き込みが相次いでいることが報じられている。
いずれの事例もファンと直接の関係を築くことができるツールのデメリットがクローズアップされた事例といえよう。IOCも対策に乗り出すとしているが、決定打となる対策は難しいのではないか。こうした傾向は今後もますます強まるのではないかとも思われ、インターネット社会全体で解決すべき課題となるだろう。
4. オリンピックに乗じたサイバー攻撃と各種詐欺案件
案じていたとおり、オリンピックに乗じたネットワークの不正行為が報じられている。もちろん、これ以外にも多数の事案があるだろうということは想像に難くない。
まず、Cloudflare社のレポートによると「東京オリンピックの競技開始後の日本国内におけるDDoS攻撃が、通常の10倍以上に増加した」と指摘している(INTERNET Watch)。また、Kaspersky社は東京オリンピックに便乗したフィッシング詐欺の手口を同社の公式サイトで紹介している。例えば「五輪関係団体を装ったサイトや購入済みチケットの払い戻しをうたうサイト」などがあるという(ITmedia)。
世界的な注目を集めるイベントであり、しかもコロナ禍でさまざまなイレギュラーなできごとがあるなかで、こうした不正行為には十分な留意が必要だ。
ニュースソース
- オリンピック開始後、DDoS攻撃が10倍超に増加。Cloudflareがトラフィック動向を発表 特設サイト「Tokyo Olympics 2020 Internet Insights」で情報公開中[INTERNET Watch]
- 五輪に便乗した詐欺サイト、5つの手口 「チケット払い戻し」やIOC偽サイトなど Kasperskyが注意喚起[ITmedia]
5. エストニアの国のデータベースから情報流出
エストニアといえば「世界で唯一国政選挙に電子投票を導入している他、個人情報の確認がオンラインで行えるなど、ITの活用に注力している国」として認識されている(ITmedia)。日本でも、一時期、この話題は多く報じられ、近未来的な電子行政の形として紹介されてきた。
しかし、このデータベースの脆弱性が狙われ、「『国民IDカード』にひも付いた顔写真データ28万6438枚が不正にダウンロードされた」と政府が発表した。すでに脆弱性は修正され、犯人も逮捕、犯人のデータベースから外部へ流出した形跡はないという。
日本も行政の電子化を推進しようとしているところだが、デジタルインフラでのセキュリティリスクは常につきまとう。あらためていうまでもなく、デジタル化による利便性の向上と内包するリスクについて、どのように理解し、どのようなバランスを取り、どのように多くの人が納得できるかが最大の課題。
ニュースソース
- エストニアで全人口約2割の顔写真データが流出 国のデータベースに脆弱性[ITmedia]