3年ぶりに幕張で開催した去年のCEATEC、その「手ごたえ」と「課題」とは? 「2023年のCEATECはなんだか面白そうだぞ、と伝えたい」

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 2022年10月18日~21日の4日間にわたって開催された「CEATEC 2022」は、3年ぶりに、千葉県幕張の幕張メッセでのリアル展示が行われ、会場には8万1612人が来場。出展各社の展示ブースで説明を聞く来場者の熱心な姿が多く見られたほか、初めて設置された「パートナーズパーク」にも、来場者の大きな関心が集まった。さらに、2022年10月1日~31日の1カ月間は、100を超えるコンファレンスを、オンラインで配信。3万307人が参加した。

 そして、CEATECは、すでに2023年の開催(会期:2023年10月17日~20日)に向けてスタートを切ろうとしている。1月31日には、開催概要説明会がオンラインで開催される予定だ。CEATECの鹿野清エグゼクティブプロデューサーに、CEATEC 2022の振り返りとともに、CEATEC 2023に向けた意気込みを聞いた。

リアル来場者は3年前の約6割、ただし「ハイブリット開催ならではの価値」も

鹿野清エグゼクティブプロデューサー

――CEATEC 2022は3年ぶりのリアル会場での展示、そして、オンラインを加えた初のハイブリッド開催となりました。その成果はどう評価していますか。

[鹿野氏] CEATEC 2022は、2019年までの20年間にわたるリアル会場での開催実績と、過去2年間の完全オンラインでの開催ノウハウを組み合わせたCEATEC初のハイブリッド開催となりました。リアル会場では、感染症対策を十分に行い、会期中、天候にも恵まれ、事故もなく、安全に開催できたことは主催、運営する側としては大きな達成感があります。

 また、リアル会場への来場者数は8万1612人となりました。前回のリアル開催だった2019年の14万4491人に比べると、約6割の水準となり、CEATECの歴史のなかでも、初めて来場者数が10万人を切りました。しかし、コロナ禍で、この水準の来場者数を得たことを評価する声や、オンライン開催にはユニーク数で3万307人が参加していることを捉えると、ハイブリッド開催ならではの価値を生むことができたとの評価もいただいています。

 CEATEC 2022の開催趣旨は、「経済発展と社会課題の解決を両立する「Society 5.0」の実現を目指し、あらゆる産業・業種の人と技術・情報が集い、共創によって未来を描く」とし、これまでと同様に、Society 5.0の実現に向けた共創の場を目指しましたが、従来は共創のきっかけづくりが中心であったのに比べて、CEATEC 2022では、共創の取り組みや成果を見せ、そこからさらに共創を作り上げる場に進化させることができました。これは、前回のリアル開催から3年間を経たなかでの大きな変化です。

 その変化を象徴した展示が、初めて設置したパートナーズパークになります。日本政府が掲げる「デジタル田園都市」をテーマに、国内外の企業が中心となり、ともに共創する企業が一緒に出展するブースが集まり、共創が現実のものになっていること、そして、そこから新たな共創が広がる場が生まれました。いまから5年前のCEATECでは、「Society 5.0とはなにか」という話から始まっていましたが、2022年は共創の「成果」を、デジタル田園都市に落とし込んだ展示として見せることができ、Society 5.0に対する来場者の納得度が高まったのではないでしょうか。

 一方、電機大手企業などが出展するトータルソリューションエリアにも多くの人たちが訪れ、81社のスタートアップ企業が出展したスタートアップ&ユニバーシティエリアにも注目が集まりました。グローバルエリアには、コロナ禍ではありながら、9カ国がパビリオンを設置し、会場全体では、27の国と地域から、146社/団体が出展。想定以上の規模となりました。

 さらに、6000人以上の学生が来場し、次世代の人材育成の場としての役割を果たすことができました。主催者であるJEITA(電子情報技術産業協会)の半導体部会は、タカラトミーの協力により、等身大の「半導体産業人生ゲーム」をつくり、半導体産業にはどんな職種があるのか、社会にどんな貢献ができるのかといったことが体験できるようにしました。

学生向け企画「半導体産業人生ゲーム」

 会期中に、約700人の学生がゲームに参加し、ここでも私たちの想定を上回る学生が体験をしてくれました。半導体業界に興味を持ってもらえる機会になったと思っています。ゲーム参加者の半分は高校生で、大学と高専/専門学校生がそれぞれ4分の1ずつでしたが、参加者の4分の1は、当初、半導体産業にまったく興味を持っていなかったものの、アンケート回答者の98%が半導体産業に興味を持ったと回答、約半分が半導体産業に就職したい、あるいは選択肢に入れたいと回答しました。

 また、CEATEC 2022では、経済産業省、総務省、デジタル庁の後援に加えて、内閣官房との連携を強化し、政府の方針との連動性を高めたほか、全国の経済産業局を通じて、地方活性化の事例を示すなど、都市圏型の展示会から、全国区の展示会への変貌に向けて、一歩を踏み出せたともいえます。

出展数は3年前の7割、限定された中で「共創の成果」を見せることができたリアル会場

――コロナ禍が続くなかで、初めてのハイブリッド開催となったことで、苦労した点も多かったのではないでしょうか。

限られた予算のなかで内容を吟味し、パートナーズパークや学生向け企画のプライオリティを高めました(鹿野氏)

[鹿野氏]出展者数は562社/団体(そのうちオンライン会場だけの出展が21社/団体)となり、2019年の787社/団体と比較して約7割となりました。言い換えれば、7割の規模で展示会を運営しなくてはならない一方、3年前にはなかった感染症対策や、密にならない会場レイアウト、テレワークが可能なワークブースの設置など、時代の変化にあわせた新たな投資も必要となりました。限られた予算のなかでは、企画展示の内容も吟味し、内容を特化、そのなかでも、目玉となるパートナーズパークや、学生の来場に対する投資はプライオリティを高めました。

 その一方で、反省点もあります。例えば、来場者誘致では、これまでにCEATECに参加したことがある人たちへのアプローチに留まり、時間や費用の問題からCEATECに新たに興味を持ってもらえそうな人たちへのリーチが十分にできませんでした。出展者の47%が新規出展者であり、それにもかかわらず、これまでとは異なる層に対するアプローチが欠けていたといえます。また、これまで出展をしてきた企業が、コロナ禍において発生したさまざまな事情により、展示を取りやめるといったケースもありました。CEATECに出展するメリットが充分に伝えきれなかったという反省もあります。

 もうひとつ誤算だったことがありました。実は、ハイブリッド開催のメリットを生かし、リアル会場に出展する全ての企業に対して、オンライン展示会場にもブースが設置できるような仕組みを用意しました。10月1日からオンライン展示をオープンし、来場者には、そこで興味を持ってもらったものを、10月18日からの会期中に、現地でじっくりと見てもらうという、出展者にも、来場者にもメリットがある仕組みを目指しました。

 しかし、実態はリアル会場に出展した企業の多くで、オンライン展示会場には、ほとんどコンテンツが入っていないという状況でした。出展企業にとっては、3年ぶりとなった幕張メッセ会場への展示に時間と費用、人を集中的に投資したため「オンライン展示会場までは手が回らなかった」という声を多くいただきました。その結果、CEATECのオンライン展示会場に行くと、コンテンツが入っていないページも見受けられる状態となってしまいました。主催者の考えと、出展企業の状況に大きなギャップがあった結果であり、これは大いに反省しています。

 また、米国で開催されるCESや、ドイツで開催されるIFAでは、独自のスマホアプリを用意し、展示会場の案内やコンファレンスの情報を提供していますが、CEATECでは、残念ながらできませんでした。

 今回は紙の会場案内図をやめてデジタルマップを採用、リアルとオンラインの両会場が分かるようにしましたが、CEATECは、デジタル化を牽引している業界の展示会でもあります。今後、そのポジションに恥じないデジタル化をより一層図っていきたいと思います。

CEATEC 2022のデジタルマップ

 CEATECは、2016年に、家電見本市から脱却し、その後、IoTと共創によって、未来の社会や暮らしを描く「Society 5.0の総合展」として、成長を遂げてきました。実際、2019年にかけては、来場者数や出展者数が再び上昇傾向にありました。しかし、2年間の完全オンライン開催となり、それを経た2022年は、CEATEC初のハイブリッド開催となりました。

 2022年は、2016年から継続してきた成長へと流れを戻したいという気持ちはありましたが、全ての環境がもとには戻らないなかで、もう一度、立ち止まって、新たなCEATECのかたちを考えることが重要であることに気がつきました。

 2023年以降のCEATECは、どこに向かうのかという答えは、まだ完全には出ていません。ただ、パートナーズパークによって、共創の成果を見せることができる展示会になったことは、CEATECの今後のひとつの方向性を示すことにつながるといえます。

「厳しく見たら40点」、解決すべき課題は見えてきた

――CEATEC 2022の成果を自己評価をすると何点ぐらいですか。

滞在時間は2019年とほぼ横ばい。共創の成果を見ていただく点からすれば、もっとじっくりと会場を見ていただきたかった(鹿野氏)

[鹿野氏]状況を考えれば80点といったところでしょうか。ただ、個人的に厳しく見たら40点ぐらいですね。やるべきことが多く残りましたし、CEATEC 2023に向けて解決すべき課題も多く見えてきました。

 例えば、重視した指標のひとつが滞在時間です。結果からいいますと、2019年とほぼ横ばいでした。会場でのコンファレンスが行われていないため、その分の滞在時間が減っているということを勘案すれば、展示会場にいる時間は実質的には伸びているともいえますが、共創の成果をお見せする展示会ですから、来場者のみなさんには、もっとじっくりと会場を見ていただきたいと思っています。

 課題はまだまだたくさんあります。さらに幅広い産業界からの出展者や来場者を募りたいと考えていますし、2022年からは、オウンドメディアである「ceatec experience」をスタートして、さまざまな情報発信を行いましたが、これも、年間を通じて常に情報を発信し、CEATECに対して、より関心を持ってもらえる活動につなげたいですね。

――出展者を対象に優れた展示物を表彰するCEATEC AWARDは、経済産業大臣賞、総務大臣賞に加えて、2022年からはデジタル大臣賞が加わりました。

[鹿野氏]CEATEC AWARDは、出展者が応募した出展品や案件を、有識者によって構成される審査委員会が、学術的、技術的観点、市場性や将来性などの視点から、イノベーション性が高く、優れていると評価できるものを審査、選考し、表彰しています。これまでにも、複数のスタートアップ企業が大臣賞を受賞しており、多くの企業がこれをきっかけに事業を拡大しています。

 2022年は、応募企業だけをまとめた見どころ集を初めて制作し、来場者に配布しました。2023年は、CEATEC AWARDの価値をさらに高めたいと思っています。部門ごとに応募数に偏りが出ないように、区分を大括りにするなどの見直しを行おうと思います。より多くの出展企業に参加してもらえるようにしたり、CEATEC AWARDに応募した企業、表彰された企業にとってどんなメリットがあるのかということも、より明確にしたいと思っています。

「なんだか面白そうだぞ」が伝わる、さらに新しいCEATECに

――CEATEC 2023に向けた動きが、すでにスタートするようですね。

[鹿野氏]2023年1月31日に、開催概要説明会を実施します。これまでの概要説明会では、前年の実績や全体構成の説明、出展費用などの事務的な情報提供が中心になっていました。そのため、出展してもらいたい企業に対して、しっかりとした声掛けができていないことや、企業にとって、出展したくなるような魅力的なメニューを提示できていないこと、出展するメリットを充分に伝えられたいなかったと反省しており、まずは、その点を見直します。

 CEATEC 2023の最初の一歩となる開催概要説明会から、やり方を変え、新たなCEATECに挑戦するという決意を示したいと思います。CEATECに出展することによって得られる成功のイメージをもってもらえるような内容をお伝えしたいですし、これまでCEATECにつながりがなかったような企業にも参加をしてもらうきっかけを示し、「なんだか面白そうだぞ」という印象を与えるものにしなくてはならないと思っています。

 その一方で、2年間の完全オンライン開催における大きな成果のひとつが、コンファレンスです。会場のキャパシテイの制約がなくなり、より多くの人に聴講してもらえるようになりました。幕張メッセの国際会議場では、最大でも1000人の聴講が精一杯でしたが、オンラインでは5000人以上が参加した実績が生まれています。ただし、リアル会場でのコンファレンス開催は、本当に不要なのかという議論も始めています。リアル会場だからこそ魅力を感じることができるコンファレンスがあるのではないかといった議論や、「リアルの講演とリアルの展示を組み合わせる」ことによる価値創出についても模索しているところです。

 一方で、パートナーズパークは、CEATEC 2023も継続で実施する方針です。もちろん、同じかたちを踏襲するのではなく、どう進化させるかが重要であり、それを検討しているところです。2022年のパートナーズパークでは、AWS、Meta、日本マイクロソフトといった外資系企業が中心となったブースが話題となった一方、そのブース内に共創パートナーとして一緒に出展している日本の企業の成果が表面には出にくかったという側面もありました。また、国内大手企業の場合は、各社ごとのプライベートショーのなかで、共創パートナーと連携した展示を行うケースが多く、CEATECで共同展示を行うメリットが感じにくいといった課題も浮き彫りになりました。

 2023年は、CEATECにおける共同展示のメリットをしっかりと提案していきたいですね。そして、パートナーズパークのなかでは、地方での取り組みももっと紹介をしていきたいと思っています。自治体同士が連携した取り組みが増えていますし、すでにデジタルを実装した新たな取り組みも数多くあるのですが、都市部の人たちはその成果を知らなかったり、地方の人たちも、別の地域ではなにをやっているのかが分かりなかったりという状況にあるのが実態です。地方では、想像以上に多くの実装事例が生まれていますから、これをもっと見えるかたちにしたいと思っています。

 Society 5.0に向かうデジタル田園都市の姿を、目で見て、体験できるようにすることが、CEATECには求められています。2023年は、この点も充実させたいですね。

テレワークブースや学生向け展示など、新たな試みが奏功

――CEATEC 2022では、展示ブースにおける「サステナブル」への取り組みが加速したのが特徴的でした。この流れは2023年も続きますか。

[鹿野氏]3年前の展示内容を振り返りますと、その当時でも、グリーンやエコといった言葉自体はかなり使われていました。しかし、CEATEC 2022で注目が集まったのは、「各社が共通の言葉としてサステナブルを使い、持続性を持った取り組みをかたちにし、より身近なものとして提案していること」です。ソニーグループやシャープ、日本マイクロソフトなどが、再生可能な素材を活用し、簡単に、短期間に、展示ブースを展開していたのも印象的です。

シャープの展示ブース。リユース素材を用いて展示会終了後の廃棄物の最小化を図った

 CEATEC 2022は、日本におけるサステナブルな展示ブースづくりの先駆けになったのではないかと自負しています。CEATECにとって、サステナブルは重要なテーマです。2023年は、主催者展示はもちろん、多くの出展企業が、サステナブルなブースづくり、サステナブルな展示を行えるように提案し、CEATECを通じて、ブースづくりの考え方をシフトし、展示会のイノベーションを起こすきっかけにしたいですね。

こちらはソニーグループの展示ブース。段ボールを活用している。

――3年前のリアル会場になかったのが、テレワークが行えるワークブースの設置でした。この評価はどうでしたか。

[鹿野氏]ワークブースの利用率は私たちの想定以上で、会期中、埋まりっぱなしでした。ワークブースは、ハイブリッドワークが広がるなかで、これからの展示会に必須なものになるかもしれませんね。CEATECでは、共創の事例を見学するために1日かけて会場を回ってもらいたいという思いがありますから、より快適なワークブースを多数用意し、展示会を回りながら、働ける環境も一緒に提供したいと思っています。

 CEATEC 2022でのワークブースの設置は、数多くの来場者に求められているサービスであるという成果を得ることができましたから、これをもとに、2023年は、ワークブースをもっと強化したいと思っています。

会場内のテレワークブース

――学生を対象にした取り組みも目立ちました。CEATECにおいて、どんな変化が起きているのですか。

[鹿野氏]CEATEC 2022では、さまざまな学生向けの企画を用意しました。

 学生が自由に利用できるラウンジや見学をサポートするコンシェルジュデスクを設置したほか、会場に設置したスタジオから学生に向けたコンテンツを配信したり、文部科学省の「数理・データサイエンス・AI 教育」の全国展開と連動し、CEATECでの講演内容を学生向け教材コンテンツとして配信し、CEATECの終了後には、これを全国の大学に教材として使えるように提供するといった取り組みも行っています。また、JEITA半導体部会による「JEITA半導体フォーラム2022」では、「半導体人材関連コンファレンス」なども開催しました。

 デジタル人材不足はあらゆる企業において共通の課題になっています。それは、CEATEC出展各社も同様です。実は、かつてのCEATECでは「学生に展示内容を説明しても、すぐにビジネスにはつながらないので、本音では学生には来てほしくない」という出展者の声があったのも事実です。しかし、その意識はずいぶん変化しています。むしろ、CEATECには、次世代人材の育成のため、あるいは優秀な人材に興味を持ってもらうための場という役割も生まれてきたと感じています。

 CEATEC 2022では、専門性を持った大学生や高専、専門学校生だけでなく、まだ進路が決まっていない高校生に対しても、業界の良さを訴求するといった動きもありました。また、学生や先生も、単に会場を見学するというだけでなく、熱心にメモを取ったり、あらかじめ用意された学習シートを使って展示を見学したりするなど、授業の一環としてCEATECを活用しているケースも増えています。

 2023年のCEATECでも、次世代人材育成は重要なテーマになることは明らかです。理系の学生だけでなく、文系の学生にも、デジタルに関心をもってもらえる機会を創出したいですね。

「共創の実績を見せる」ことがCEATEC 2023のテーマに

――いままでさまざまな話を聞いてきましたが、CEATEC 2023は、どんな展示会になりますか。

「今、ここまでできているのであれば、そこにわが社はこんな連携ができる」と、将来の共創につながる展示会になるでしょう(鹿野氏)

[鹿野氏]2022年のCEATEC以上に、共創の実績を見せることができる展示会になると思っています。そして、より体験型の展示を増やしていきたいですね。さらに、共創の実績から、次の共創が生まれるという動きを、より加速させたいと思っています。実績を見ると、次にどんな連携ができるのかといったことが分かりやすく伝わります。

 「今、ここまでできているのであれば、そこにわが社はこんな連携ができる」といった新たな共創が、CEATEC 2023の会場のあちこちで生まれることを期待しています。これまでのように、将来に向けた共創や、夢を見せる展示会から、いまの共創を見て、そこから将来の共創につながる展示会へと変化していくことになるでしょう。そのメッセージは、CEATEC 2023の重要な切り口として、強力に訴求していきたいと思います。そのためには、パートナーズパークにはもっと多くの企業に参加をしていただきたいと思っていますし、トータルソリューションエリアなどに出展している大手企業にも、共創の成果を数多く展示してほしいですね。さらに地方におけるデジタル化や共創の取り組みも、より積極的に紹介したいと思っています。日本で最も幅広い産業界をカバーしている総合展示会がCEATECです。共創の場としての役割はますます重要になります。

 また、来場者が関心を持っているカテゴリーやテーマごとに、どのブースを回ればいいのかということを示したり、カテゴリー別での会場レイアウトといったことにもアイデアを広げたいと思っています。目的のものにたどり着きやすいかたちでCEATEC 2023の会場を構成したり、ガイドするといった機能を、来場者視点で用意したいですね。

 スタートアップ企業のエリアも、単に「100社が出展しています」というメッセージではなく、カテゴリーごとに分かりやすく回ることができることを重視します。大手企業のブースや目玉の展示企画を目立つところに配置するというような、これまでの出展者目線の展示から、来場者がいかに目的のテーマに、分かりやすくたどり着くことができるか、来場した価値をしっかりと感じてもらえるかといった来場者目線での展示会へとシフトしていくつもりです。

 CEATEC 2023も、Society 5.0の総合展という軸は変わりません。しかし、それを支える柱の本数が増えたり、太くなったりしています。「デジタル田園都市」に加えて「サステナブル」、さらには「ウェルビーイング」「次世代人材育成」など、太い柱が増え、テクノロジーで社会課題を解決するソリューションや未来の社会や暮らしが体験できる展示が、2022年に以上に増えると思っています。次のCEATECの姿に向けて、新たな階段の一歩目を踏み出す展示会にしていきます。

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