グヌヌ……! ちょっとこれは問題作と言わざるを得ない──。何の話かというと、2021年8月4日からスシローで販売開始となった新メニュー『漆黒の誘惑 スシ アロス ネグロ』のことである。
これまでスシローでは数えきれないほどのメニューを平らげてきたが、正直こんなに難しいメニューは初めて。難しい……実に難しい。いったい何がそんなに難しいのかというと……。
・匠の一皿シリーズ
足繫くスシローに通っている方ならば「匠の一皿プロジェクト」のことはご存じであろう。これまでの回転寿司の常識を変える “新定番商品” を作るためのプロジェクトで、過去にも名だたる有名店が同プロジェクトに参加してきた。
今回『漆黒の誘惑 スシ アロス ネグロ』を手掛けたのは、石川県が世界に誇る2つ星スペイン料理の名店「respiración」のシェフ・梅氏、八木氏、北川氏の3名。スシローのアグレッシブな姿勢がよくわかる一皿だ。
「アロス・ネグロ」とはスペイン語で “黒い米” という意味らしく、イカ墨を使った真っ黒なパエリア風のスペインの郷土料理のことを指すという。果たしてメキシコのプロレスラーのような名前の『スシ アロス ネグロ』はどんな味なのだろうか?
・価格は最高級ランク
というわけで、スシローで『漆黒の誘惑 スシ アロス ネグロ』をオーダー。価格は330円なので、スシローでは大トロなどと同じ最高級ランクのメニューとなっている。
で、到着した『スシ アロス ネグロ』は……黒い。ドライトマトの赤やフライドオニオンの茶色も加わっているが “漆黒” の名に偽りはない黒い寿司だ。気になるお味はというと……。
なんだこれ……マジでなんだこれ?
まず断っておくと、決してマズいということはない。ざっくり言うと細切れのイカの寿司であり、そういうものとして食べれば「なるほど」とギリ納得はできる。ただし、それも本当に “ギリ” である。
では「美味しいか?」と言われたら、少なくとも「美味しい!」と即答はできない。濃厚と言えば濃厚なのだろうが、かなりボンヤリした味付けなので「俺は何を食べてるんだ感」がどうしても付きまとってしまう。
さらに「じゃあ普通?」と言われたら「普通でもない」というのが正直なところだ。マズくもなければ美味しくもない、さらに言えば「普通」ですらない。個人的には「スシロー史上最も何とも言えないメニュー」に認定したいところだ。
・ただただ混乱する
もしかしたらスペイン人が食べたら「美味しい」「美味しくない」のジャッジが出来るのかもしれないが、そこまでスペイン料理に精通していない人は記者と同じような感想になるのであるまいか? 真面目な話、本当に何とも言えない。
ちなみに「respiración」が監修した「禁断のスパニッシュポテト & シュリンプ」(363円)と「2つ星シェフのチョコバナナ」(264円)はどちらも美味しゅうございました。特に「2つ星シェフのチョコバナナ」は定番メニュー化して欲しいウマさ。かなりイイ。
というわけで『漆黒の誘惑 スシ アロス ネグロ』は、食べた者を混乱させるメダパニ系のメニューなので、逆に多くの人に1度はご賞味いただきたい。美味しいのか、美味しくないのか? それとも何なのか? あなたの舌で確かめて欲しい。