漫画には、多種多様な効果線が存在する。中でも目にする機会が多いのは、「集中線」ではないだろうか。対象に向かって直線が引いてあるだけなのに、簡単に迫力を出すことができる。漫画の中でも、決めゴマやバトルシーンなどでよく見かける。先日のオリンピックの開会式でも、国名のプラカードに使用されていたよね。汎用性が高すぎる。
しかし、ここで1つ気になったことが。そんな最強の集中線でも、迫力の出せないものがあるのではないか? さっそく検証してみよう!!
・いざ実践!
かわいいものなら、その愛らしさで集中線の迫力が相殺されるのではないか。そんなわけで、まずは自宅の犬とぬいぐるみの写真で試してみた。
「これかわいい!! 見て!!」感がすごい。この写真にキャプションをつけるとしたら、確実に文末に「!」が複数個つくやつ。迫力がないとはお世辞にも言えないなあ……。
それでは、植物ならどうだろう? 癒しアイテムとして部屋に置いている人も多いし、さすがの集中線でも迫力を追加することは難しいんじゃ……
迫&力。
2枚目の写真にいたっては、苔の地面に叩きつけられる寸前のような印象になっている。画面いっぱいに同じようなものが並んでいれば単調になって少しは迫力が減るかと思ったのだが、むしろ加速してしまった感。惨敗である。
・一筋の光
動物も植物も集中線様の前には歯が立たなかった……。何人も、集中線の前には無力だというのだろうか……!? 諦めかけたその時、筆者はあることに気づく。上記で検証したものたちは、どれも対象物が1種類だけだということに。犬やぬいぐるみは言わずもがな、桜や苔も同じ物が画面に複数個存在しているものの、別の種類の物体(他の花や植物など)はない。
集中線を使うと、中点に存在するものが最も強調されるため、同じ種類のものであれば数に関係なく迫力のある写真になってしまうのではないか? たとえば、複数の物が組み合わさってできている風景であれば、集中線の効果も多少は薄まるのでは……!?
勝った。これは勝った。さっそく風景写真に集中線をつけてみよう!!
迫力以外の何物でもない写真ができてしまった。
頑張って色々考えても、報われない。人生においてはよくあることだが、まさかこんなところでもこの苦い思いを味わうことになるとは思っていなかったぞ……。
その後、なんとか迫力の出ないものを探そうと数うちゃ当たる精神で様々な物に集中線をつけてみたが……
どうあがいても迫力しか出ません本当にありがとうございました。
・まとめ
今回記事に使用した写真は、記事用に新たに撮影したものではなく、筆者が過去に何気なく撮影したものばかりである。何の意図も持たずに撮影した写真でもここまで迫力が出てしまうのだから、集中線って本当にすごい。改めて、漫画表現の巧みさに気づかされた検証だった。
執筆:うどん粉
Photo:RocketNews24.